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小売業界のDX戦略 「リテールメディア化」の本質とは【東洋経済 Brand Lab Live すごいベンチャーNEXT 協賛対談②】

こんにちは、東洋経済ブランドスタジオです。

2021年9月27日に開催された、イベント『東洋経済Brand Lab Live すごいベンチャーNEXT ウィズコロナに躍進 攻め続ける挑戦者たち』の内容を文字転載しました。

このエントリーでは、イベントの協賛対談その2「小売業界のDX戦略 「リテールメディア化」の本質とは」の内容をお伝えします。

登壇者は株式会社unerryの内山 英俊 氏と、サントリー酒類株式会社の中村 直人 氏です。

株式会社unerry 代表取締役CEO
内山 英俊 氏

外資系コンサルティング会社、モバルコンテンツ会社を経て、2015年(株)unerryを創業。リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」で実社会をデータ化し「販促DX支援」サービスやスマートシティ・MaaS向け「人流・混雑可視化、行動レコメンド」等を提供。


サントリー酒類株式会社 広域営業本部 部長 兼
リテールAI推進チーム シニアリーダー
中村 直人 氏

1992年サントリー株式会社入社。営業とマーケティング部署を経験し、直近では全国のリテール部門にてテクノロジーを活用したカテゴリーマネジメント及びショッパーマーケティングの革新に取組んでいる。

“リテールメディア”の本質


内山:私の話をさせていただくと、株式会社unerryというのは、リアル行動ビッグデータを使ったリテールDXサービスを提供している会社です。いわゆる人流データで、GPSとかBeaconや、IoTセンサーも独自に開発をしまして、いろんな流通系の企業、小売さんの企業からID-POSの連携もいただきまして、そのデータを使って人流データをリサーチする。その結果に基づいて、来店を促すようなコミュニケーションをし、店内に入ったら店内でスマートフォンにプッシュが来て、そしてデジタルサイネージを見て、その人が買ったかどうかってことまで分かる。そしてその方がまた外に行くと、人流を捕まえてその方に再来訪を促すような、そんな仕掛けをご提供させていただいてる会社です。
それを踏まえ、リテールDXやリテールメディアの課題認識を、先に共有させていただきます。
2000年より前は、アナログ中心だったので、すべての世界がリアルだったと。そのときはマスメディアが非常に強い時代だった。
そして、2000年から2015年にPCを中心としてインターネットが発達しても、リアルとデジタルが分かれた世界だった。そのときってGoogleさんとかYahooさんみたいなポータルがすごく強い時代だったんじゃないかなと思うんです。
2015年からアフターデジタル。非常に有名な言葉になりましたけども、リアルとデジタルが一体となった。
そして、今は消費者はリアルとデジタルを境目なく行動する時代なんじゃないかなと。リアルで屋外広告見て、ネットで広告見て、ウェブサイト見て、街を回遊して、店で買うこともあればECで買うこともあると。
課題としては、2020年の最初の実績では日本の最終消費支出のうち、ECで物を買う割合が8%しかないことです。

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もう1つ重要なのは、屋外広告とかDMとか交通広告とかチラシとか、昔からのメディア、プロモーションメディアが1.7兆円くらいありまして、全くデータ化がされていない、されづらい領域です。なので、この小売さんもメーカーさんも、恐らくサントリーさんもなんですが、ここをどどうやって消費者に対して最適なコミュニケーションをしていったら良いのか。その課題に対するリテールメディアという新しい取り組みについて、ぜひお話を伺いたいと思っております。

中村:よろしくお願いします。

内山:では、中村さんが今お取り組みをされていることを、ぜひお話を伺えればと思ってます。

中村:我々が取り組みをしていく背景には一つの危機感があります。残念ながらお酒の市場というのは、毎年右肩下がりの市場になってるんですね。特に日本においては、人口減少の中でも若い人がお酒を飲まなくなっている。そういったことも起因して、厳しい環境に置かれてます。ですので我々はお酒に携わるメーカーとして、なんとか右肩上がりになるような形のマーケティングをしていきたい。

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そうなったときにですね、特に日本において若い人達と、お酒を消費する団塊世代の60代70代っていった方々の、価値観や消費形態にかなり違いがあるんですね。ですので今までのように、4マス媒体でマスマーケティングをしていれば売れるっていう時代ではなくなったんですね。だからこそ我々はこういったデジタル時代の進化しているものを、うまく手段として使いながら、需要を作っていくことに取り組んでいます。

内山:今日のテーマは、リテールのメディア化っていうテーマなんですが、最近サントリーさんがお取り組みになられてること、ご紹介いただいてもよろしいでしょうか。

中村:スマートフォンやパソコンというものが出てきたことによって、日々お客様が情報に接している。なので単純にテレビにCMを流すだけで、お客様の認知から購買までのこのファネルを繋げていくことができなくなってきている。もはや情報を捨てる時代になってきてるんですね。我々は、この認知から最終的に購買に、ひいては人口が減っていく中で、いわゆるサントリーのファンを作る、「ロイヤル化」のところまでの流れを、効率的に見える化しながら物事を進めていかないと、今までのやり方では中々商品も売れない。認知からロイヤル化までの中のファネルを、見える化することがリテールメディアだと思ってます。
お客様が購買するその瞬間に、最適なタイミングで最適なコンテンツでお客様にアプローチをしていくっていうことが、まさにこれから求められるリテールメディアの領域になっていくんだろうなと思っています。

内山:リテールメディア・DX分野で、いろんな小売関係の会社さんとお付き合いがあるんですけれども、どこに行ってもサントリーの中村さんっていう名前が出てきて、それだけいろんな会社との関係をお作りになられて。サントリーそのものもDXを推進している。メーカーさんの中では先駆けとなる会社さんなんじゃないかなと思います。

中村:そう言っていただけるだけで、ありがたいお話です。60歳代・70歳代と、ミレニアム世代やZ世代っていわれる方々のお酒の接点や、お酒に求める価値観っていうのが全然違います。ですのでこの実際の飲用率においても、例えばビールは、団塊世代の人達は週4日以上飲む方が約半数ぐらいいる一方で、若い世代の方々は6%しかいない。それぐらい嗜好性や価値観の違いが多様化している。
そうなったときに我々がお客様を理解しながら、マーケティングの精度を上げる時、結局デジタルの力を使っていかなきゃいけないんですね。

ECがこれだけ台頭しているということはつまり、PCやスマホ上で、お客様の認知から検索から購買まで、全てがログで残って。トレースができる・分析できる状況にある。なので今まで見えなかったものが、デジタルIoT技術によって見える化されたからこそ、ECのマーケティングが高度化されたんだと思うんですね。
かたや、9割あるリアルの市場っていうのは、結局全てがブラックボックスじゃないですか。

お客様が来店されてから買い物してるタイミングで、そこの後ろを追っ駆けて、「あ、この人どこの売り場で何を入れたか」なんていうことはできないですよね。マスマーケティングに頼っていたが故です。これはよく勘違いされるんですけどマスマーケティングを否定する話ではなくて、マスマーケティングは重要です。ただ、さらにこれからは、デジタルを活用したデジタルマーケティングの領域もやっていかないと、我々としては生き残れない
だから、リテールのビジネスにおいても、この点をしっかり入れていこうということで、DXの領域に取り組みを始めました。

リテールメディアとはどういうものなのか


内山:リテールのメディア化って、広告と結構勘違いされるんじゃないかと。

中村:そうですね。

内山:リテールのデータを使って広告を配信して、売れた売れないではなく、人の行動データや、実際に買ったなどのデータをいかに把握するかが大事だと思っています。
デジタル広告だけではなくて、総合的なメディアやコミュニケーション方法、そしてそれをきちんと改善サイクルを回す。これがとても大事なんじゃないかなと思います。
我々は人流データということでGPSとBeaconとIoT、この三つを把握することによって、ほぼ日本人をほぼ100%捕まえることができるようになっています。かつ小売の購買データもGMS・スーパー・ホームセンター・ドラッグストア、あとPOSの会社などと連携がありますので、これだけでも1億円くらいIDが今集まってきてると思います。それをしっかりと分析するよう顧客のファネルだったり、あとLTVで見ていくことを大切だと考えています。
中村さんが考えるリテールメディアにおける課題など、ぜひお話伺えればと思います。

中村:まさにメーカーにとって、このバリューチェーンを作っていくというところにおいて、今までは売り手が主軸で物を作って、それをお客様にお届けをするという流れのバリューチェーンっていうのが主流でした。
ただ、今はやはりもうお客様を軸とした逆算で、そのお客様にファンになっていただくための付加価値を、どの段階で作っていくのかっていうことを考えていかなきゃいけない。ただ、情報過多の時代になったときに、お客様がその商品を欲しいタイミングはいつか?っていうことを考えなきゃいけないと思うんですね。そうなったとき、実はメーカーとして、お客様を理解するために持ち合わせてるデータって少ないんですよ。

物を主語としたどの商品がどこに出荷された、というデータはたくさんあります。ただ、あくまで売り手発想のデータなんですね。お客様が「いつ・どのタイミングで・どういう気持ちで、その商品がほしいのか、消費したいのか」のデータって、メーカーは持ち合わせてないんです。

だからこそ、お客様が、常にスマホを携帯し、どんどんお客様の行動データがスマホの中に、ログとして残っている。そういったところを個人情報に触れない形で、様々なデータを掛け合わせながら、お客様を理解するためによりお客様に近いデータを、しっかりマーケティングに活かしていくってことが必要だと考えてます。

内山:お客様の今の状態をいかに知るのかとか、最適なタイミングでコミュニケーションをするってことが、きっと大事なんでしょうね。その辺りでコミュニケーションの手法みたいなところで、今何か工夫されてることってあるんですか?

中村:そうですね、まさにその領域は、これから作っていかなきゃいけないと思ってまして。今のお客様は、特に若い世代、買っているユーザーの生の声をリアルに検索することで、消費に繋がる。ですのでインフルエンサーを含めたユーザーが、「この商品を買って美味しかった」「こういうときに飲んで良かった」と思ってもらえるようなコンテンツを上手く作っていく必要がある。
なのでそれも、団塊の世代と、Z世代・ミレニアム世代とは全然違いますから。そこも分けて、コンテンツを作っていく。そういう意味でのきめ細かさみたいなものも、これからメーカーには求められると思ってます。

我々も、お客様へのコミュニケーションの在り方を考えてるんですけど、あくまでメーカー目線でのバリューチェーンの変遷なんです。そして、メーカーのバリューチェーンとリアルな小売業のバリューチェーンは、今まで分断されてたんですね。メーカーはメーカーの部分最適。小売は小売さんで部分最適のバリューチェーンを考える。ただ実はこれって、お客様のいわゆるバリュージャーニー、ライフスタイルからするバリュージャーニーから考えると、繋がったものなんですよね。

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内山:そうですね。

中村:なので、メーカーバリューチェーンと小売業のバリューチェーンというものが、ここにMECEな、一気通貫な、シームレスな体験を提供していかなきゃいけないとなる。そうすると、我々ももっと小売業さんのことを理解しなきゃいけないし、お客様が買おうとしている、その意識の瞬間に入り込めるかどうかっていうのが、ポイントになってくる。
まさに内山さんがやられてる、Beaconによってお客様がその瞬間に近づきましたよっていう、アラートをうまく活用しながら、お客様に寄り添っていくってことが必要なんだろうなと思ってます。

内山:unerryという会社は、小売業側のDXをご支援するってところから入ってるので、サントリーさんとご一緒させていただいて、すごく学びが深くてですね。小売さんの一番のメインは、が売りたい商品を売るとか、基本的には集客がメイン。ただメーカーさん側からすると、集客するよりも、カテゴリー全体の売上を上げることや、ご自身の会社をの商品を売っていくとか。手法は同じでも、目線が異なる。その辺りで小売さんと、どういう関係を築かれているんですか?

中村:そうですね。我々も小売業さんのバリューチェーンを勉強していく中で、今までは小売さんも物基点での考え方をされる企業さんが多かった。
ただ昨今、お客様の価値観や買い物体験の仕方が変わってきている中で、人を主軸とした、いわゆるマーチャンダイジングからマーケティングに、変えていかなきゃいけないとおっしゃる小売企業さんが増えてきてるんですよね。ですので、そういった小売業さんとしっかりと取り組みをさせていただこうってことで、自ら営業もかけさせていただきながら、取り組みを進めているっていうとこですね。

内山:僕はいろんな小売業さんでサントリーさんの話を伺うときに、サントリーさんというよりは中村さんっていう主語をよく聞くんですよね。「サントリーの中村さん」ここまでが一つのセットの言葉を。小売さんに対して物を売るとかというスタンスではなくて、他のメーカーさんとは、少し違ったスタンスでいらっしゃるんじゃないかなって思います。

中村:そうですね。「サントリーの中村」と言われる、個人格で評価をしていただくっていうのは、私個人として嬉しいですが、会社としたらそれは実はあまり良くないことだと私は思っていて。極論サントリーの誰が行っても「やっぱサントリーさんさすがだ」と言っていただけるようなチームにしなきゃいけないとは思ってます。
ただその中で私が心がけているのは、商品を売るっていうことが先に立つよりは、その流通さんにいかにお役立ちをするかっていうことを第一に考えてます。
共通主語は、あくまでもお客様です。その流通様に足繁く通っていただいて一緒にファンになるお客様を作りましょう、と。サントリーを継続的に愛飲していただけるファンを作らせてください。っていうところで、あくまでもまずはお客様主語のお役立ち。で、そこの手段として、サントリーのお酒だったり、飲料を活用していただくっていうことを心がけてはいます。そこが、その流通様からはご評価いただいてるのかなという気はしてます。

内山:お客様を同じ目線で理解をして、で、結果的にご自身のメーカーの商品が売れていく。この順番なんですね。

ベンチャー企業の強みと課題

内山:ありがとうございます。すごく腹落ちしまして。今年、お取り組みにご一緒させていただきましたけども、非常に面白い結果が出たかなと思っておりまして。この取り組みについて、率直な感想を教えていただきたいです。

中村:こういう形でダイレクトに、お客様の過去の購買データから嗜好性をターゲット化し、具体的にスマートフォンに広告配信をして、流通様に来店していただき、かつお酒売り場に来たかどうかも検証し、最終的にはサントリーの商品を買っていただいたかまでを検証するっていうのは、本当初めての流れです。どれぐらいのコストが掛かって、どれだけのアウトプットに繋がるのかっていうのが分からなかった。それがまず見えたっていうことが、一番大きな収穫です。
それから、今までサントリーと接点を持ってた方が一度離れて、そこからまたそれを呼び戻すことができたということも大きな成果でしたし、実際その流通さんにとっても、しばらくトライアルさんに店舗に来られてなかった方が、来店していただいたっていうことも、これはまたそのトライアルさんにとってのプラスにもなりました。正直いい意味での予期もしない、良い結果が生まれたって私自身は捉えてます。

内山:ありがとうございます。報告会の中でいろいろ報告させていただいて、「これなら持って帰れる」って確かおしゃっていただいたのを覚えてます。(笑)

中村:聞いてる側は「お互い様だからそう言うんでしょ、いいことしか言わないんでしょ」とかって思っちゃうと思うんですけど。これ実際にでもやってみなきゃ、良し悪しの判断判断はできないので。まずは私は他のメーカーさんから聞かれたときは、「1回やってみたほうがいい」っていうのは必ず言います。

内山:逆にまだまだ手法が確立されていないがゆえに、課題点もまだ多いんじゃないかなって思いますがいかがでしょうか?

中村:そうですね。お客様のインサイトを見越した形でのコンテンツは動画コンテンツのほうがいいと思います。それはスピーディーに、かつその人に合った形のコンテンツを作って、実際流してみて検証する。このPDCAサイクルを、いかにスピード早くやっていくかが、これから勝負になってくるだろうなと。

内山:ありがとうございます。あとは恐縮なんですが、他の会社と比べてunerryの良さとか、課題点ってどんなとこにあるでしょうか?

中村:そうですね。これはunerryさん筆頭に、ベンチャー企業さんはクライアントに対して、真摯に向き合っていただける。かつ対応してから動いていただくそのスピード感っていうのはすごく早くて、unerryさんとお付き合いさせていただいて、初めてよく分かりました。かつ、気軽にいろいろご相談させていただきながら、臨機応変に対応していただけたっていうのは、unerry内山さんならではのご判断があるからかなと。一方で、これはベンチャー企業さんの場合は、どうしてもその部分がデメリットになっちゃう部分なのかなとは思うんですけど。例えば「unerryさんと組んでこういうことをやるんです」って話をしても、「ん? unerryって何の会社だ?」っていうような話になっちゃうんですよね。申し訳ないんですけど。

内山:そりゃそうですね(笑)

中村:なので、万人が聞いて名前が知れてるっていうことも、聞いてる人間の安心感というか、どういう企業か想像できるっていうところと、ただベンチャーの場合は名前を出しても、すぐ理解を示してくれる人があまり多くないので、まさにunerryさんも成長していく段階の中で苦労される部分でもあるのかなと思います。
ただこういう形で我々は、unerryさんのような機動力が大企業でジレンマとして感じる部分もありますし、そこがうまくミックスすることが、これからの流通を変えていくポイントにもなると、個人的に思ってますけどね。

内山:ありがとうございます。最後に中村さんからも、ぜひご質問ください。

中村:今の話にも繋がるんですけど、入社してからサントリー一筋で、ある程度規模の大きい企業の中で仕事をさせていただいてる。大きな会社に守られた状態でずっと働いてきました。内山さんの場合、自分でスピンアウトして起業されてやっている。これってベンチャー企業のオーナー企業の皆さんは皆そうだと思うんですけど、すごい不安しかないじゃないですか。なぜ起業をされようとしたのか、そのときの期待や不安など、その辺りを教えていただきたいです。

内山:分かりました。元々アメリカで、データの研究員をやっていたときにGoogleの創業者の方でラリー・ペイジっていう方が同じ大学におりまして、Googleが創業した直後だったんですね。最初の画面を見せてもらったときに、窓が一個しかないと。検索窓が一個しかない。これ絶対にうまくいかないサービスの一個だと思ってましたが、一年で大きくなって、今では世界のGAFAと呼ばれるような存在になると。
つまり一人のエンジニアとか、一人のクリエイターが、世界を変えられる時代なんだなって思ったんですよね。それを肌感で理解をして。
で、2015年度に、まさにGoogleのインターネット黎明期と同じようなことが起きてるなと思ってまして。リアルの世界がどんどんデータ化されようとする。それをうまく我々がまとめて、ソリューションとしていろんな方に使っていただけるようにする。なのでリアル版Googleって言ったほうがいいかもしれないです。あのとき一人が世界を変えられるかもしれないという、あの感覚が何か残ってるんだと思います。
なのでリスクより一人が世界を変えられることを信じるとか、そっちなんだろうなと。

unerryって会社を創業して、99.99%の人から、「こんなのうまくいくわけがない」と虐げられて生きてきた数年間があった。この数年間の最初はどう生き延びるか。そのときに自分が思い描いてる構想力をいかにぶらさずにより大きくしてくか、常にそこに立ち戻っていく。でもそれは進化していくっていう。そこがすごく重要だったような気がします。

リテールメディア・DXにおいて大事なポイント

中村:日本の流通企業は特に、日本のGDPの約半分を担うといわれてます。特に日本の労働生産性を上げていくっていうところにおいては、流通業界自体をムリ・ムダ・ムラをなくしていきながら、メーカーも流通企業さんも、そこにまつわるいろいろなベンダーさんも含めて、よりデジタル技術も活用しながら、パートナーとして取り組む余地っていうのは、まだまだあるんだろうなと思ってます。そのときの主語は、お客様。ここの買い物体験や、その食卓生活をどう豊かにしていくかっていうことも含めて、これからもっともっと我々も頑張っていかなきゃいけないし、より企業さんとのアライアンスも含めて、考えていきたいので、ぜひこういうような縁もいただきながら、さらに成長していけるように、頑張っていきたいなと思ってます。

内山:ありがとうございます。リテールメディア=デジタル広告ではなく、「消費者の体験」をどう作っていくかが一番重要で、そのためにメーカーさんがお持ちのデータ、小売さんがお持ちのデータ、今まで使ったことのあるメディア、そうでないメディアで総合的により良い体験を作り、そしてそれを見える化し、課題をひとつずつ解決していくこと。この辺りが大事だっていうことでしょうか?

中村:そうですね。

内山:ありがとうございます。非常に勉強になりました。

中村:いえいえ。ありがとうございました。

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