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トップリーダーに学ぶ次世代育成「組織づくり」の最前線 【東洋経済 Brand Lab Live すごいベンチャーNEXT協賛対談①】

こんにちは、東洋経済ブランドスタジオです。

2021年9月27日に開催された、イベント『東洋経済Brand Lab Live すごいベンチャーNEXT ウィズコロナに躍進 攻め続ける挑戦者たち』の内容を文字転載しました。

このエントリーでは、イベントの協賛対談その1「トップリーダーに学ぶ次世代育成「組織づくり」の最前線」の内容をお伝えします。

登壇者は、株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長 柴田 紳氏、FC今治オーナー/サッカー日本代表元監督 岡田 武史氏です。

柴田 紳氏:株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長
一橋大学卒業、日商岩井(株)(現・双日(株))に入社。IT系投資会社であるITX(株)に移り、(株)ネットプロテクションズの買収に従事。出向後ゼロから日本初のリスク保証型後払い決済『NP後払い』を築く。2017年アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞。日本後払い決済サービス協会会長。
●岡田 武史氏:FC今治オーナー/サッカー日本代表元監督
1997年に日本代表監督となり史上初のW杯本選出場を実現。その後、Jリーグの札幌や横浜での監督を経て、2007年から再び日本代表監督を務め、2010年のW杯南アフリカ大会でチームをベスト16に導く。2014年11月、四国リーグ(現在JFL所属)FC今治のオーナーに就任。

柴田:ネットプロテクションズ代表取締役社長の柴田と申します。まずは会社のご紹介をさせていただきます。
弊社は後払い決済というサービスをやっています。ショップさんからデータをいただいて、当社から請求書を送って、お客さんには物が届いた後にうちの請求書で、後から払ってもらうというようなビジネスモデルです。加えて最近伸びている分野が、BtoBのNP掛け払いです。スタートアップの会社さんや卸事業のショップさん・売り手さんに導入が進んでいます。AFTEE(アフティ)っていうサービスで台湾にも進出しております。
実は世界的にBNPL(Buy Now, Pay Later)という名前で、非常に各地で勃興していまして、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカでも時価総額が数兆円を超えるようなプレイヤーが出てきています。日本でのナンバーワンプレイヤーは当社かなというふうに考えております。
NP後払いのほうだと年間でユニークユーザー1600万人弱というところになっているので、実は日本人の7人に1人が利用するようなサービスになっています。掛け払いも8社に1社が利用するようなサービスになっております。

岡田:私は愛媛県の今治でFC今治というプロサッカーチームを運営する会社、株式会社今治夢スポーツの代表取締役会長をしてます岡田と申します。
うちはサッカーのプロチームの経営なんですけど、それだけではなくていろんなことをやってます。教育、環境教育とか野外体験教育、そういうようなことを含め、また街づくりということを始めました。
元々サッカーのことだけを考えて今治に行ったんですけど、行ってみたら街の中心にデパートの跡地の更地があったり、商店街に誰も歩いてないと。このままだったら俺達が成功しても立ってる場所がなくなる。見に来てくれる人が居なくなるなと。それなら一緒になって元気になる方法はないかと、いろんなことを始めました。
最初の内は全然受け入れてもらえず、自分の車にポスターを貼って街中を走ったり、駅でビラを配ったりしましたが、何をしても駄目でした。その後、残業を夜8時までにして街に皆で出て行って友達を作るといった地道な努力を積み重ねて、徐々に皆さんに認めていただけるようになって、今5000人のスタジアムが出来てそれが満杯になり、そして今J3というところに来ました。現在はJ2に行くために新たなスタジアムを建設しなきゃいけないということで、資金調達等に飛び回っています。

いかにして強い組織を作るべきか

柴田:ティール組織(社長や上司がマイクロマネジメントしなくても、メンバーが自分たちのルールや仕組みを理解して意思決定していく組織)を目指したわけではなくて、頑張っていい組織を作っていて、ふと気付くとティール組織って言葉が出てきていて。なのでティール組織っていうのを、当社でも言い始めているっていうところですね。
20年経営していく中で、やはりトップダウンで僕が何かを判断して、皆に指示を出していくやり方を最初はとってましたけど、中々皆のモチベーションも上がらない。かつ若い人が苦しんで辞めていったりっていう姿を見ていると、やり方がおかしいんじゃないかと。どうやったらいいんだろうなと考えて出した答えが、シンプルですが、いかに若い人に裁量を渡していくか。それでいながらいかに会社が壊れないようにしていくか。そこのバランスを考えて少しずつ手を打って、気付くとだいぶ成熟した組織になってきたんじゃないかなと思います。

岡田:サッカーのチームを作ってるときから、生物的組織っていうのが一番強いんじゃないかと思ってて。
僕が若い頃タスクにうるさくて、「お前これやれ、これ、これ」僕の言う通りにやったら結果は出るんですよ、確率論でいうと。ところがそこに選手の判断がどんどんなくなっていって、俺って選手を育ててるのかな?チーム育ててるのかな?って悩んだんです。
そのときに生物学者の福岡伸一さんが「岡田さん。岡田さんの今日の体と明日の体は違うんですよ。新しい細胞が入って…」「そんなこと知ってるわいと。新陳代謝やろ」って。ところが、その後福岡さんが言ったのが「古い細胞が死んで新しい細胞が入ってきても、脳は何も命令してない」「えっ、脳が命令してないのに同じ形になるの? どうしてんの?」って聞いたら、「新しい細胞が入ってきたら、周りの古い細胞が折り合いをなして同じ形を作る」。
脳を監督だとして細胞を選手だとしたら、監督がいないとやっぱりビジョンとか方向性を見失うけど、細胞同士、選手同士が折り合いをなして解決していくチーム、そういうチームを作りたいってずっといろいろトライしてきたんですよ。
で、そういう組織にしようと思って丸投げみたいなことをしたら、潰れそうになった。「こらやばい。どうしたらいいんだ」と思って、いろんな本を読んだり勉強してた中で、柴田さんとの出会いがあったんですね。
あの頃、僕と最初にお会いさせてもらった頃ってもう、ある程度その完成の域に入ってたんですかね?

柴田:そうです。まあ一方で組織って絶対100点はありえなくて。ずっと問題はあってっていうところですけど。ただ、おそらく社員の大多数はある程度幸せなんじゃないかという状況にはいってた気はしますね。

現在の組織になった転換点

柴田:2012から2013年の1年にかけて、全員でビジョンを話し合ったんです。社員に自分自身が社長だと思って、この会社をどうしていきたいか、どうありたいのかを考えてくれと。まだその頃、そんなに価値観が折り合ってなかったりしたので、全然違う意見も出て来ます。そのプロセスを続ける一方で、メンバーの入れ替わりも経て、志向・価値観が一致するような人が社内に残り、かなりベクトルが一致していきました。

岡田:僕らが6年前に立ち上げるときに、志向ってのは同じ思いのやつが集まって来て。最初僕らも、僕の借りていた家に皆夜な夜な集まって、壁にビニール貼って「こんな会社にしよう」「あんな会社にしよう」って、学生みたいな生活をしていて。途中から丸投げしようって丸投げしたら潰れそうになって。
当時中国にコーチを送ってて、いいビジネスになっていたんですが、向こうの社長から連絡が来て、「一人のコーチを変えてくれ」と言われたんです。
でも、シーズン中にいいコーチなんて浮いてるわけないから。うちに居るコーチを送らなきゃいけない。日本での契約になっているし大事なコーチだから、どうしたらいいんだって。
翌日コーチ全員に集まってもらって、「いや、実はうちの会社の財務状況はこうだ。この中国の収入が来年なくなるとこれぐらい困る」と。「我々はどうしても続けたい。今居るメンバーはこれしか居ない。どうしたらいいか考えている」ということを全部オープンにしました。そしたら皆で話し合って一人が来て、「岡田さん。誰々を出すことにしました」と。そしてその穴は僕ら全員で埋めます。もう涙出そうになった。
「ああ、そうか。情報をちゃんと与えてやれば、こいつらも考えてくれるんだ」と。それからうちは取締役会も人事情報以外全てをオープンにして。組織をフラットにして権限委譲してってまでは何となく分かってたんだけど、情報公開ってこんなに大事なんだと教わったんです。そういうところはもうやられてるんですか?

情報の共有の仕方

柴田:そうですね。そこはもうかなり早い段階からずっと意識していて。僕が前に大企業に居たときに、やっぱりどんなに考えようと思っても情報がないと考えきれないんで。良いインプットがないとアウトプットを出せるわけがないとずっと思っていたんで。なのでこの会社で問題にならない限り、情報はずっと開示してました。
とはいえ情報量が増えていくと、やっぱり皆中々入らなくなっていくので、なので社内でフロー情報をちゃんと把握できる仕組みも必要ですし、ストック情報をちゃんと参照していける仕組み、これを数年前から構築しているので、今のまさにナレッジのマネジメントみたいなところは、滅茶苦茶自信を持っていますね。

岡田:うちはね、ちょっとそれを今改革したら情報が溢れ過ぎて。今は皆が全部の情報を見られるようにしてるんですよ。そうするともう情報が溢れて皆「ああ。そんなん、なんか来てましたね」とか言ってスルーされる。そこが一つポイントなんですね。

柴田:そうですね。全部見えると逆に皆、見なくなるんですよね。各部署の重要情報が集約される場みたいのは作っていて、そこを見れば大体の会社の動きはほぼ取れるみたいな。そういうのがいくつかあるのと、あとはやっぱりストック情報はちゃんとしっかり残していて、自助努力でいつでも欲しい情報を手に入れられるみたいな、その環境整備はすごい重要な気がしますね。

岡田:ああ。なるほど。いい勉強になったな。ちょっとこれは帰ってやってもらおう。

会社の本質は「人と人のつながり」

岡田:要は結果として、社員達が活き活きとやりがいを感じて働けるようにするかどうか。やり方にこだわると、よくない。

柴田:そうですね。やり方はあんまり関係ないと思います。

岡田:ティールにこだわり過ぎると、マズいなと。社員満足度向上とかってよくいうんだけど、それと社員のエンゲージメントを上げるのは違いますよね。

柴田:そうですね。何かあんまり別に満足度にせよエンゲージメントにせよ、それをまた目的にはしてなくて。根本的にはもちろん事業のほうの結果を出すことも重要ですけども、それに加えて個人的に強く思ってるのは、この会社を創って若者がしっかり成長していって、行きたい未来に進んでいけるみたいな。そういう環境でありたいなと思っているので、そのためにいろんな手を打ってきたっていう感じですね。

岡田:僕もまだ7年しかやってないけどね、会社って定款があったり、本社があったりするけど、何か得体が知れないじゃないですか。会社って何なんだろう。人、物、情報、金とかっていうんですけど、結局人と人との繋がり。これが会社なんじゃないかなと思ってて。それでその繋がりがたまたま会社の外に出て辞めていく奴も居るかもしれないけど、常にうちと繋がってて欲しいと。成長して新しいことにチャレンジしていく奴もいるかもしれない。また戻ってくる奴もいるかもしれない。そういうのがあってもいいのかなと思ってますね。

柴田:会社は何ていうか、資本とかで捉えるのか法的な存在として捉えるのか。もしかしたら人との繋がり、コミュニティとして捉えるのかみたいな。コミュニティとしてやっぱり捉え続けたいなと思いますね。


「どの会社もまずはやるべきこと」とは

柴田: 10年くらい前までは、僕もあんまり分かってなかったので、本当にスキルがある、技術がある、頭がいいみたいな人を集めたら上手くいくんじゃないかなと思ったんです。しかしやっぱり行きたい方向、行くべき方向を皆全然違うように捉えちゃうので、本当にバラバラになっていって。トップダウンを強める以外に経営のしようがなかったんですよね。
なので、行きたい方向を擦り合わせる、擦り合わせるためには一定の価値観とかがある程度合致してないと、本当に難しいなというのは感じましたね。
岡田さんはいかがですかその辺りは?

岡田:そうですね。例えばサッカーのチームで、短期的に勝たせようと思うと、能力のある奴を集めてある程度「これ、これ」みたいに固めていったら、短期的には勝てるんだけど、やっぱりワンシーズンとか戦ってツーシーズンと戦っていくと考えると、同じように理念みたいなものを、擦り合わせておかないと続かないんですよね。
だから僕がいくチームでは必ずフィロソフィーっていうのを作ってそれを徹底して毎回ミーティングで話すし手紙書いたりして。代表チームでもそうで。そういう考え方みたいなものを落とし込んでいくんです。それでリーダーっていうのはもちろん、最後に決断をしなきゃいけないけど、ある程度フィロソフィーに沿ってるかどうかで決断をするんです。


柴田:僕はこれをどの会社もやったほうがいいんじゃないかと思ってることが一つあって。それまでも個人の価値観を大事にする。うちに入ってるメンバーとしてこういう価値観を持っていて欲しい。それは採用基準でもあるんですけど。一方でその価値観は一緒のはずなんだけど、組織としてどういうふうになっていきたいかみたいな価値観は、やっぱりそこは話さないとズレたままなので、なので組織価値観を皆で話して擦り合わせる、ここは決定的だなと思います。

岡田:それは例えば会社の未来図みたいなイメージ?

柴田:事業の未来図かもしれないですし。僕らはでも事業の未来図から話していたんですけど、結局もっと深堀っていて、会社のあり方とか、考え方の軸に置くものとか、その辺りになりましたね。

岡田:なるほど。要は自分達の会社ってこんな会社にしたいと。そういうところを合わせていくんですね。

柴田:そうですね。絶対ここはずらしたくないとか。だからうちでいくと一番強い思いって、「歪みがない事業、歪みがない組織を作っていきたい」ってところなんですよね。

岡田:うちも実は企業理念に、「次世代のために物の豊かさより心の豊かさを大切にする、社会作りに貢献する」ってしたんですよ。僕は環境問題を40数年やってるし、環境教育でいろんなことやってんで、じゃあ自分のモットーみたいなのにしようと思ってよ。
そしたら皆に「何でサッカークラブの理念がこんなものなんだ」って言われたんですけど、でも目に見える売上とかより、数字で表せない信頼とか共感とかを大事にしようよと。それを次世代のために残そうと。これに共感して結構人が集まってきてくれる。
このコロナでJリーグの7割のチームが赤字で半分が債務超過なんだけど、うちはパートナーさんが1社も降りないでいてくれた。そういう意味では我々も今おっしゃったように、そういう理念みたいなところに皆が共感してくれてる、目指してくれてるっていう。それをどうやって社員に落とし込むんだってよく聞かれるんですけど。何かやられていることってあるんですか?

柴田:会社の風土がしっかり存在しているので、中に入ると勝手に染まってくれるっていうのが一つありますね。ただ、まさに最近社内でも議論になってるんですけど、2018年くらいに全社合宿をやってるんですけど、そこから3年間やってないんです。なので来年度くらいに全社合宿を絶対やろうねとは言って。

岡田:そういうのいいですよね。

柴田:これ楽しいんですよね。5・6人でばーっとチームを分けて、それで2日間くらいでこの会社をどうしていきたいのかとか、どうなりたいのかみたいなそれを皆が考えていく。これ無茶苦茶いいんですよね。

岡田:うちはね、事件なんですよ。何か事件とかトラブルが起こったときに、「おい、企業理念ってどうだっけ」と。そこで判断していくことによって、皆で理念だけじゃなくて、ミッションとかすそういうのも落とし込んでいけて。だから会社っていうのは、時々潰れそうになったほうがいいんじゃないかという。潰れそうになったときに、皆必死で考えるじゃないですか。

柴田:ああ、そうなんですよね。うちの会社も何度も危機を迎えてますけど、危機の度に危機があってこそ皆本気で会社のために頑張ったりしてくれるので。

岡田:で、その考えるときに決断する柱がないから「じゃあもうこれでやろうよ」って言って。

柴田:そうですね。原理・原則になるんですよね。その原理・原則に沿った上での判断になるので、そこでまさに磨かれるし本当に定着するなって気がしますね。


経営者のつらいところ

岡田:そこでトップである柴田さんの役割というか。どういうことをやられますか?

柴田:年々仕事がなくなってきていて(笑)。なんですけどまだ全体がちゃんと上手くバランスが取れてるかっていうウォッチはずっとしているので。あとは一応傍に居ると安心はしてくれてるみたいなので。

岡田:社内で何か上手くいってない人間関係とか、何か部署同士がちょっと縦割りなってくとか、そういうのの調整とかもされるんですかね?

柴田:前はしてましたけど、今はもう自立的に解決してくれるので、そこもあんまり出番なくなったんですよね。前だと2つ3つくらい僕が事実上見てる・マネジメントしてるみたいなのもあったんですけど、今は全くそれもないので。

岡田:僕は今まで男20人から30人のチームいっぱい作ってるけど、残念ながら全員仲良しって一回もないですよ。見て分かるんですね。コイツとコイツはまあ、合わないなって。でもいいんですよ。コイツとコイツはソリが合わないけど、コイツにパスしたら絶対点取りまくる。コイツは馬が合わないけど、任せたら絶対止めてくれるっていう。お互いを認め合うこと。それで仲良しだったらもっといいんですけど、お互いの存在を認め合えと。そのためにはやっぱり相手の話を聞かなきゃいけないし、知らなきゃいけない。
昔、河合隼雄さんがご存命のときにあの人に「岡田さんね、本当に人を尊敬するとか人を認めるなんてね、自分に自信がなかったらできませんよ」って言われたんです。
僕それ意味が分からなかった。45〜46歳のときに言われて、「あ。そうですか」って言ってて。50歳も終わるくらいになった頃から「ああ、河合さんこういうこと言ってたんだ」って分かるようになりました。
それまでは、自分がやったことに完全な自信がないから、誰かが優勝したら「くっそう。俺も絶対優勝してやる」って嫉妬心がありました。ところが60歳前になりだしたときに自分が今までやってきたことは、比べることじゃないけど自分にしかできなかったという自信ができたときに、「本当良かったな。おめでとう」って言えるようになったんですよ。
「あ、こういうことか」と。自分に自信がないからと思えたんですね。
うちはちょうどそういう意味では柴田さんのところも最初の頃になるのかもしれないですね。そしたらリーダーが楽になるんですね。もうちょっとしたら。

柴田:楽ですけれど、逆に苦しいですね。こっちも思いっきり頑張って背中で見せたいんですけど、最早あんまり直接的な出番はないので。皆滅茶苦茶頑張ってる脇でこう、ずっと見てるしかなくなるので。逆に僕が何かの仕事を思いっきりしようって歪みやすいので。

岡田:それめっちゃくちゃ辛いじゃないですか。

柴田:結構辛いです。だからティール組織って実は本読むと、大体代表って結構辞めちゃってるんですよ。

岡田:笑

柴田:代表は自分の存在意義を感じにくくなるんですよ。なので、とはいえ僕はこの会社が好きなので、そこに耐えながら、ずっとウォッチして支えていけるかみたいなところが、まさにこれからの実際のチャレンジだなと思いますね。

岡田:そうか。ティールはトップが…辞めていくのか。

柴田:辞めますね。日本でもティールっぽくやっていた関係者を何人か知ってますけど、実は結構、大体辞めてるんですよね。本当に居場所がなくなっていくんですよ。

岡田:もう必要ないってくらいチームというか会社が成長しちゃうんだ。

柴田:そうですね。だからたまに何か問題が僕のところに出番来ると滅茶苦茶嬉しいんですよ。

岡田:笑

柴田:「やった! 来た!」みたいな。

岡田:それで資金調達とかそういうほうをやれって言われて、回らなきゃいけないわけね。

柴田:そうですね。

岡田:トップはそれでやらなきゃいけない。

柴田:振り返ると、自分個人の成長・成熟考えると、結局辛い体験を乗り越えたときに、何か成長しているなと思ってるので。

岡田:それはもう。おっしゃる通りですよ。自分の成長を振り返ると、あんだけ「もう二度と」って思うときから変わり始めたんですよね。人生は。

次世代の育成のためにできること

柴田:まさに今治さんもそうですし、当社も次世代の育成ってことにすごい力を入れていますけど、僕としてここを考えたのはいくつも理由はあるんですけど、僕自身が若い頃に苦しんで、そういうエネルギーのある人が本当に真っ直ぐ育てる場を作りたいなと思ったことも大きいです。
ただ、経営をしてみるともっと大きい目で捉えてですね、日本はやっぱり閉塞感が強いなと思っていて。この中で思いっきりチャレンジして思いっきり社会を引っ張っていける・変えていけるような、そういうリーダーが育つ場所って少な過ぎるんじゃないかなと思っていて。なので、うちの会社がそういった場になれないものかっていうのは、ずっと考えて何とかやってきている形ですね。
何かその辺りでいかがですか?

岡田:元々、大きくは経営理念に次世代と入れたのは、本当に1千100兆円を超える財務赤字、そして環境破壊とか、隣国との緊張とか。このままの社会を子ども達に残していいのかなというところがスタートで。
生物は我々の時代はまだ大丈夫なんですよ。恐らく。子ども達の時代、孫達の時代が大変なことになるかもしれない。我々が豊かだって作ってきた社会を見たら、一つの公園で怪我人が出たら全部の遊具が使えない。便利・快適・安全、こんなに守られてていつ強くなるんだって話。遺伝子にスイッチ入れるチャンスを与えてやんなきゃいけないと思って、野外体験教育とか、冒険教育とかを始めたんです。
要は何もないフラットなところ、何もしなくても生きていける、素晴らしい社会かもしれないけど、それって決して人間を強くする社会ではないと思うんですね。
だから、我々の時代って生きていくためにはまだ未完がまだあったんだけど、今の子ども達は何もしなくても生きていける。自分で夢や目標という山を自分で作って自分で登んなきゃいけない。だからそういうものを提供してあげる組織であり、企業であり、我々がそういう教育をしていきたいって思ってますね。

柴田:そうですよね。お話を伺ってて、僕も過去何百回でも修羅場があって、何回仕事で泣いたことがあったかって感じなので、何かやっぱりそこでスイッチ入りますよね。

岡田:結局リーダーって勉強するもんじゃなくて、いかにそういう経験をするかですよね。

柴田:体験するかですよね。本当に。その体験の場が、やっぱり少ないと思っているので、そこを少しでも提供していきたいです。あともちろんその人が何か、まさに次代に繋ぐではないですけど、より良い思想を持った上で、力のあるリーダーになれると、きっと社会に対していいことができるはずなので。それをまさに育てていきたいんですよね。

岡田:御社の社員を育てるのは、うちの体験教育でお手伝いできます。ちょっと高いですけども。ぜひ、社員教育でお使いください。

柴田:(笑)ぜひよろしくお願いします。

岡田:今日は、ありがとうございました。

柴田:ありがとうございました。


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