フィールドレコーディングについて③
立ち木や岩になりきる
かつて僕は、いい音を撮るために、なるべく野鳥や獣を刺激しないように心がけていました。フィールドでは微動だにせず、長い時は12時間同じ場所で録音し続ける。そうすれば彼らは警戒心がなくなり、近くに来てくれるだろうと。
もうひとつ岩になりきる理由があるんですが、僕はレコーダーやマイクの近くで、ヘッドホンをつけながら録音します。自分の体とマイクが近いので、体を動かすと衣擦れの音が入るし、咳はダメ、なんなら呼吸しない、ぐらいの覚悟で長時間。目だけは動かせます。