見出し画像

衣料品撤退の話

タイトルにつられて見てしまったあなた、私と同じボキャブラ世代ですな?

ファッションエトセトラ第5回

さて、今回はイトーヨーカドーの衣料品部門撤退のお話と、私の地元函館のスーパーマーケット、百貨店事情について。

「ファッション好きな人がヨーカドーの話かよ」と思われた方もいらしゃるかもしれませんが、ま~そう言わずに聞いて下さいな。
第一回の記事でも語った様に、小学生の頃に母親に買って貰う服はだいたいヨーカドーで、フォトTシャツがあれば好んで買って貰っていました。


函館のスーパーマーケット、百貨店事情

ここで私の地元函館のお話を少々。
1980年9月3日、函館の美原地区に地上2階、地下1階で1万3000平方メートルの大きさのイトーヨーカドー函館店がオープンしました。
(同年8月には、すぐ隣に長崎屋がオープン)

それまで本州資本のスーパーがひとつもなかった函館にオープンした大型スーパーは函館の人たちに歓迎されます。

オープン当初の様子(NHKより)

店舗の前を通っている道は産業道路と呼ばれており、盆暮れ正月や、セール時期になると、いつも渋滞するほどにぎわっていました。

そんなイトーヨーカドー函館店は2022年7月3日、42年の歴史に幕を閉じました。

函館店閉店のニュースは地元民にとって衝撃的でした。
また、この時点での北海道のヨーカドーの店舗数は札幌4店舗、帯広1店舗、北見1店舗のみになりました。

人口減少や、少子化問題はどの地方都市でも深刻に進んでいる事と思われますが、「とうとうヨーカドーまでもが函館から無くなってしまうのか」という気持ちになったのは私だけではなく函館市民なら誰もが思った事でしょう。

かつて最盛期の函館には多くのスーパーマーケット、百貨店がありました。

丸井今井百貨店 函館店
(1892年函館丸井今井呉服店として開業、2009年倒産後、三越伊勢丹の完全子会社として再建  現在も営業する函館の老舗百貨店)

棒ニ森屋百貨店
(1869年創業金森屋洋物店と1882年創業棒二荻野呉服店が合併し、1936年設立、2019年閉店)

テーオーデパート
(1950年小笠原商店創業、2023年8月閉店予定)

その他、西武百貨店(2003年閉店)、ダイエー(2015年イオンの完全子会社)
長崎屋(2009年閉店)等 ※食品スーパーを除く

と、いくつものスーパーマーケット、百貨店が閉店しています。
本来は一番活気のあるはずの駅前や繁華街はどんどん寂れてゆき、若年層は郊外へ家を建て、市街地はますます空洞化が進んでいくという悪循環を招いています。
これらの問題は全ての地方都市に言える事かもしれませんが、寂しい限りです。


衣料品からの撤退

更に私に衝撃を与えたのが「直営の衣料品部門からの撤退」でした。

イトーヨーカドーは1920年、浅草で「羊華堂洋品店」として開業したのが始まりで、祖業が衣料品という事になります。
小売り業界では「衣料のヨーカドー」と呼ばれる程、衣料品に強いので有名でした。

実は私の社会人としてのスタートはイオン(ジャスコ)で始まりました。
函館の高校を卒業後、仙台の専門学校に進学し、その後就職活動を始めるのですが、当時北海道にはジャスコは無かったので、面接官に「イオンという会社は知っていましたか?」と聞かれ、「すみません、知りませんでした」と答えた記憶があります。
(ちなみに北海道初上陸第1号店は釧路昭和店で2000年にオープンしています)

イオンで働き始めた当時、業界1位はイトーヨーカドーでした。
かつての1位はダイエーでした。
そして現在の1位はイオンです。

現在トップに立つイオンも、色々な部門から撤退しました。
例えば私が初めて配属されたのは文具・時計売り場でしたが、現在直営の売り場は見かけません。
その他、書籍や家電売り場等も直営では見かけなくなりました。
もしかしたら数年後、衣料品部門からも撤退し、直営としては食品スーパーのみになる可能性も無きにしも非ずな気がします。

ユニクロやH&M,ZARA等のファストファッションブランドの台頭や、ZOZOTOWNの様に好きなブランドをネットで買える時代になった今、父親、母親世代の服や、子供服でさえもスーパーマーケットで買う時代では無くなったのは国民全体のオシャレ度が上がったせいでしょうか?
それとも他にも要因があるのか?


百貨店の原点は呉服屋 現代の洋服ブランドは?

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、多くの百貨店、スーパーマーケットは呉服店から始まったところが多い様です。
時代と共に規模が大きくなり、洋服以外の物も扱う様になり、繁盛し、やがては衰退していくのは共通した流れな気がします。

海外で最も古いブランドはブルックスブラザーズで1818年創業です。
なんとアメリカの国旗が誕生したのと同じ年だそうです。
ティファニーとエルメスが1837年。
リーバイスで1853年。
(いずれも日本では江戸時代後期)

どんなブランドもはじまりは個人商店です。
ですが、規模が大きくなったからといって長く続くとは限りません。
私は長く続くブランドには必ず「○○といえば」というものがあるハズだと思っています。
「デニムといえば」
「ブーツといえば」
「ポロシャツといえば」
「スウェットといえば」等々、、、

さてさて、日本のファッションブランドにおける「○○といえば」と聞かれて皆さんはどのブランドのどんな特徴が浮かぶでしょうか?
脈々と受け継がれていく様なファッションブランドとなるにはそれが必要だと思うのですが、皆さんはどう思われるでしょうか?

ガラにもなくちょっとマジメな話になってしまいました。
次回はもっとポップな話題にしようっと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?