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【第32話】ジャンボフェリーでゆく、真冬の小豆島 その①

♪風が恋を運ぶ〜 海を遠く渡り〜 
二人を結ぶ ジャンボフェリ〜

爆音で流れる歌で目を覚まされた。寝そべっている床が少しだけ揺れている。そうだ、今はフェリーに乗っているんだった………。

こんにちは。
今回の舞台は香川県小豆島です。離島を自転車で周ってみたら、とんでもない出来事が連発するのでした……。

なつかしのマップ。制作ツールはIllustratorではなくinDesignだったので、引き続き編集が可能に

大阪から神戸、そして……

2018年、2月1〜2日。1年で最も寒いこの2日間、大阪でグループ会社研修があった。会社の経費で東京から大阪まで行けるのなら、自転車を持って行くほかない。研修は木・金曜日、そして土日がフリーだ。研修が終わったその金曜、ひとり大阪駅へ降り立ち、事前に駐輪場に停めておいたMTBを回収、そのままJR線で三ノ宮駅へと向かった。駅から南へ約1.5㎞。そう、やってきたのは神戸三宮フェリーターミナルだ。ここを午前1時に出港する小豆島行きのフェリーに乗り込む。ターミナルに到着したのは0時30分。人の姿はまばらだった。こんな寒い季節に島へ行く観光客など、そんなに多くないのだろう。行きのチケットのみ購入し、乗船の時を待った。

神戸三宮フェリーターミナル。広い埠頭に施設が一軒ぽつんと建っている

深夜1時のジャンボフェリー

ゴォォォと機械音を鳴らしながら車両乗車口が開く。自転車を押しながら足早に船へと乗り込み、駐輪スペースの係員へ受け渡した。客室フロアは1〜4階。地下駐車場から階段を登り、船内を歩きながら寝床を探す。船旅の醍醐味はなんといってもカーペット敷きの雑魚寝部屋だ。老いも若きも皆このフリースペースに横たわり、朝が来るのを待つのだ。ウルトラライトダウンを枕に、カッパを布団代わりにし、もう寝ることにした。船内は冷房が効いていて少し肌寒い。空調かエンジンか、低い音が鳴り響いている。とても快適な環境とはいえないが、もう午前2時頃で眠気には勝てなかった。瀬戸内海は波が低く、船体も大きいので揺れはほとんどない。ウトウトと眠りについた。

チケットカウンターで「小豆島行」の札を受け取り、自分の自転車にくくりつける
運送用のトラックが次々と乗り込む中、脇を通りこそこそと乗船する

二人を結ぶジャンボフェリー

…………………「♪風が恋を運ぶ〜 海を遠く渡り〜 二人を結ぶ ジャンボフェリ〜」。船内に流れる爆音で目を覚ます。窓の外が明るい。朝の5時前か。ジャンボフェリーは深夜に神戸を出航し、香川県高松を経由し小豆島へと向かう。今はちょうど高松港へ到着するところだ。小豆島はしばらく先だ、わかった。わかったのに音楽は鳴り続ける。「♪風が恋を運ぶ〜 海を遠く渡り〜」。もうわかった、わかったから寝かせてくれ。結局ジャンボフェリーは高松港へ寄港するまで、誰一人として乗客を寝かせてくれなかった。高松〜小豆島間で再び仮眠をとり、少し早めに起きて朝食をとることにした。軽食スペースで迷わず讃岐うどんを注文。お腹を満たしたところで身支度を整え、到着の時を待った。

小豆島の名産品をのせた、オリーブうどん400円

朝7時過ぎ、小豆島坂手港に到着。地下駐輪場に停めていた自転車の元へ降りる。乗降口が開く。手で押しながら外へと向かう。ついに上陸だ。小豆島ツーリングが始まる……。

次回、【第33話】ジャンボフェリーでゆく、真冬の小豆島 その②

つづく…。

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