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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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#オリンピック

【投機の流儀 セレクション】「感動」はメディアが押し売りするものではない

日本のスポーツ界の周辺には「感動」という言葉があふれすぎている。 また、「感動を与えたい」などとインタビューでこたえている選手がいる。 「感動を与えたいとは何事だ」と言いたくなる。感動は与えられるものではないし強要されるものでもなく、観客が勝手に感ずるものである。メディアは選手の苦労話しや家族ドラマまで含めて色々なストーリーを語り、感動を押し売りしようとする。選手も図に乗って「感動を与えたい」などと実に僭越極まることを平気で口にする。 また言うが、感動は与えられるものではない

【投機の流儀 セレクション】妙に符合する株価の節目

先週号の発行日7月18日は60年前の今月この日、1961年7月18日、高度成長期が始まって6年、所得倍増政策の真っ最中、当時で言えば「歴史上最高値」の1,829円(桁違いではない)を示現した日だった。そしてそれから4年後の1965年が7月12日が「昭和40年不況」(証券不況)のどん底で1,020円を付けたのが1週間早い7月12日だった。 そこから戦後初めての赤字財政を発行して、①新幹線の整備、②高速道路整備、③住宅公団の増設を軸とし、国民に分かりやすい財政出動を発動し、株価は

【投機の流儀 セレクション】脱炭素に特化した投信が流行る

国内の資産運用会社で温暖ガスの排出量削減などの「脱炭素に貢献する企業を対象とする投資信託」が続いている。しかし、一時の流行だけで失速するテーマになる可能性だってある。2000年に始まった野村の「1兆円ファンド 」と揶揄されたIT株ファンドはたちまちロスカットシステムの作動によって4割も減価した。2週間で1兆円を募集したという野村の販売力を誇るだけのものだった。 これまでもESG(環境・社会性・ガバナンス)を意識した投信は色々あった。特に「グローバルESGハイクオリティ成長株フ

【投機の流儀】名門三菱電機の「組織的な不正」を惜しむ

歴史もあるし、三菱の名門電機会社であるし、大袈裟に言えば筆者の青春とともにあった株である。その社風も嫌いではなかったので2015年に起きた東芝の「不適切会計」の時と似たような気持で日経新聞7月3日付けのトップ記事と13ページの記事を読んだ。社長の引責辞任の件は爽やかで判りやすかった。自ら「信頼回復には相当の時間を要するであろう」と述べた。しかもそれが30年間続いたというのだから、惜しむらくは筆者の知らないところにあった三菱電機の隠れた社風である。そしてその不正は「社内の常識が

【投機の流儀】コロナ禍のもとでの東京五輪、良きにつけ悪しきにつけ、いずれにしても現代史に大きな事変として刻まれる。株式市場に無縁ではない

コロナ禍での五輪開催は「あうんの呼吸」とか「空気が決める」などという日本の意思決定の歴史を繰り返しているように見える。既報で述べたが、第2次大戦の開戦や戦艦大和の出撃命令などは誰が見ても明らかな失敗の結果を予測しながら誰も止めることができなかった。そして、予想通りの結果になった。 英国では6月21日に予定されていた規制緩和を延期することが決まった。「その延期の発表時には、専門家の見解が最新のデータとともに示され、それを参考に政治的決定が下されたことも伝えられた」(英オックスフ

【投機の流儀 セレクション】一部海外投資家はオリ・パラの中止を警戒しているという話がある

オリ・パラを決行するには東京都医師会長の意見に対して説明力がなければならないことは本稿の別の項目で述べた。世論はオリパラ開催に反対の者が半数以上を占める。21年夏の五輪に対して21年に五輪をやる日本だからといって諸外国は協力してくれたところが多い。それらに対して今さら中止したら「顔が立たない」という説も多い。しかし、為政者やJOCの顔を立てるために五輪をやるわけではない。「多数の民意を優先した。これが民主主義の基本だ」と言えば一応の「顔は立つはず」である。民意といってもバカが

【投機の流儀 セレクション】五輪を損切りできない日本に晴れない霧――埋没費用(サンクコスト)の呪縛

「サンクコストの呪縛」というのは、ある目的のために資金や努力を投ずると途中で止めるべきだと判っていても止められなくなることを言う。ある銘柄を本気で研究し、財務内容を分析し、工場見学までして調べた結果これは買わない方がいいと判断しても、「今まで費やした時間や労力がもったいないから買わないという決断ができず買ってしまう」、というようなことをサンクコストの呪縛と言う。日本の五輪にかけてきた今までの期待や経費や労力から見ると、今さら止められないのが「サンクコストの呪縛」である。 過

【投機の流儀 セレクション】五輪は決行される。そして失敗する。首相はバッハ会長が決めると言い、バッハは日本国民が決めるという。止められるのは小池百合子の目立ちたがり屋の行動あるのみ

五輪は決行される。それが、失敗と分かっていてもだれも止められないのが日本国の意思決定方式だ。第2次大戦の開戦、戦艦大和の沖縄戦への出航、こういう形で失敗すると判っていながら誰も止められない。結果、突き進む。結果は予想通りの失敗、そして失敗から学ぶのだ。それが日本国の近代以降の意思決定方式だった。今、保守系で五輪を止められる者は小池百合子知事しかいない。彼女は都民のために何も働かず、目立つことが好きで目立ちたがり屋の才能を発揮してきて今日を得た。(出自の胡散臭さ、学歴の胡散臭さ