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【投機の流儀 セレクション】妙に符合する株価の節目

先週号の発行日7月18日は60年前の今月この日、1961年7月18日、高度成長期が始まって6年、所得倍増政策の真っ最中、当時で言えば「歴史上最高値」の1,829円(桁違いではない)を示現した日だった。そしてそれから4年後の1965年が7月12日が「昭和40年不況」(証券不況)のどん底で1,020円を付けたのが1週間早い7月12日だった。
そこから戦後初めての赤字財政を発行して、①新幹線の整備、②高速道路整備、③住宅公団の増設を軸とし、国民に分かりやすい財政出動を発動し、株価は2倍半になる「いざなぎ景気」の始動の日となった。
その1965年はアメリカの失われた20年“Death of Equities”と呼ばれた年の始まりの年となった。そこから20年間アメリカ株は1000ドルを中心にした保合が続いて、レーガンが出て初めてそれを突破した。レーガンがサッチャーという同盟者を得て(副作用はいくつもあったが)「新自由主義」を米英が標榜し、「失われた20年」を鮮やかに脱出して80年代の最後の年の最後の月の最後の日の最後の株価(終値)が1989年12月29日の史上最高値3万8,915円を示現した日であった。

そこから株価は日本経済自らの内因によって「日本の失われた13年」を作出し、2003年4月に7,600円まで下がって株価は約5分の1になった。そこから小泉郵政改革相場が始動し株価が2倍半になった、その大天井が7月9日であった。
7月という年は色々な記録を刻む年であった。アベノミクス相場が始動してから青春期相場を経て一段落してそれから壮年期相場を経て8,665円は2万8,000円台まで昇り詰めて所謂チャイナショックで1,000円の大台を6回割って1万4,952円が2016年2月、そして新興市場銘柄を中心として二千数百円を戻ったが、BREXITショックでまた下がって1万4,952円であった。つまり、2016年の2月12日と6月24日は1円も違わないダブルボトムを付けた。
これを本稿では厳密に言えば0.41円の違いであったから「1円びっこのダブルボトム」(「1円びっこの毛抜き底」)と称し、「後年これが大相場のもとになるのかもしれない」と本稿で何度か述べた。

果然、これが次の老年期相場の始動点となり、1万4,900円台はアベノミクス相場の老年期相場の大天井2万4,400円まで駆け上り、2018年10月2日でアベノミクス相場は一旦終えた。そこからの下げはアベノミクスが一旦終えたことの下げによって1年3ヶ月は弱含み膠着状態であったが、2021年の1月まで2万4,000円強を粘りに粘ったが、遂に2月にコロナショックで3月は1万6,500円の大底を見た。
この時である。
本稿が2018年10月の大天井以来、「換金してキャッシュポジションを高く持って次の機会を待とう」と長い間呼びかけてきたのは「この日に買うためだ」と檄を飛ばし、1905年の世界最大のバルチック艦隊をたった一日で撃滅した際の帝国海軍が用いたという言葉「百年兵を養うは一日これを用いんがため」を冒頭から引用し、コロナ相場の始動点に檄を飛ばしたことがあった。20年3月15日号だった。
振り返ってみると個々の銘柄はともかくとして日経平均で見ると劇的な変化をした日には妙な因縁があり、時々黄金分割比の下げが現れ、黄金分割比の上げが現れ、「中抜きの倍返し」が現れ、後講釈で言えば或る意味では理屈通りに動いてきた。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)当面の市況
(2)米景気ややピークアウト感、米景気が鈍化すれば「世界一の景気敏感株たる
日本株」の割安感が強まる可能性がある
(3)コロナ後の経済回復についての視界不良、菅政権不支持率についても視界不良、米長期金利低下への警戒、先行き不透明感はなお払拭できていない
(4)来年4月予定の東証の市場区分の移行で小波乱
(5)政策金利と株式市場
(6)海外投資家は日本国内債を4ヶ月連続で買い越した
(7)所謂「逆イールド現象」
(8)好決算発表でもコロナ影響によって明暗が分かれた
(9)「投資家は経済再開を楽観視しすぎていたように思える」(THE WALLSTREET JOURNAL発)
(10)当面の円ドル相場:
第2部 中長期の見方
(1)日本株が出遅れている
(2)菅政権不支持率が高まるのは当然、この間隙を縫って「小池総理」の画策始まる
(3)妙に符合する株価の節目
(4)郵政3社の低迷はどこにあるか
(5)最低賃金の引き上げは格差是正や消費拡大の効果を上げるにはこれからも継続的にしていく必要がある
(6)五輪中止の経済損失は1.8兆円、緊急事態宣言発動の経済損失は5兆円
(7)中長期で横たわる米金利上昇の件
(8)「軸がブレれば収益もブレる。低迷時は方針ではなく手法の見直し」
(9)日本の「株式文化」の改善点
(10)「日経平均は秋にかけて3万2,000円がある」
(11)「中国は世界の覇者か、落日の老大国か」
(12)米中激突、2050年のGDPは米・中・インド・日本の順になる
(13)中国の将来について――インド化する?
(14)ジャーナリスト嶌信彦通信(2021年 7月 16日 vol.279)


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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