世間話に全てをかけた男の話。
今のように障害児支援を主軸とする前は峠工房には成人の知的障害、発達障害の人たちが来ていました。
その中に創立者の中学教師時代の教え子から峠工房に通うようになったKくんがいました。
私よりずっと年上だったのですが、知的障害があり、知能程度は8歳くらいと言われていた彼は、字を書くのはなんとか名前が書けるくらい、大きな数字はよくわからない、おまけに幼少時の大病の後遺症で右半身付随でした。
当時私がまだ学生だったせいか、彼は同年代の気分でいたので、親しみを込めて「くん」付けで呼んでい