プチ先輩保護者の「大丈夫」ほど、当てにはならない現実
この仕事をしていて、必ず毎年のように、(それって違うかな?・・・)と、思うことがあります。
それは、通所されている保護者様から、お聞きすることが多いお話。
お子さんの幼少期。保護者の皆さんはとても不安になられます。
誰もが、恐らく通る道かもしれません。
通常の子育てであれば、先輩の保護者様からの情報は、有益で役に立つことも多いと思います。
しかし、「生きづらさ」をお持ちのお子さんの場合、その情報は役に立つどころか、同じことをしても、悪い方向へ向かうことさえあります。
そして一番困ったアドバイスが、
「大丈夫。うちの子もそうだったから。」
というものです。
そのアドバイスをいただいた保護者のお子さんに、「生きづらさ」がなかった場合、その「大丈夫」ほど、当てにならないものはないのです。
私の息子が、まだ小学1年生だった時。「学童保育」のようなものがありました。そして、放課後は息子はそこで、過ごさせていただいておりました。
ある日、保護者懇談会があり、電車で1時間ぐらいかけて、大きな公園へ出かけるイベントの話が出されました。
当時、超多動だった息子は、目を離したら行方不明になるか、交通事故になるか、命の危険さえ感じるそんな状態でした。
ですので、その会の中で、参加をお断りしました。
ところが、そこにいた先輩の保護者の方から、
「うちの子も目を離せないくらい動き回るけれど、保護者みんなで見れば大丈夫。参加されてはいかがですか?」
とアドバイスをいただきました。
優しいお気持ちから、いただいた助言だとは思いますが、そのころの息子の現状を毎日みているのは、家族です。
家族にしかわからない、子どもの特性があり、子ども自身が楽しめる場所であるかは、ある程度判断できるのです。
しかし、そのことは、どんなに想像力を働かせても、他の保護者には理解できません。
結局、参加は取りやめました。
息子が苦しむ場所に連れ出すことは、彼にとって一つもいいことはないからです。
さて、話を戻します。
通所されている保護者の方から、よくお聞きするのが、
同世代の、少しだけ子育ての先輩からのアドバイスです。
そういう先輩に、我が子の発達の遅れについて相談をされ、
「大丈夫、うちの子も○○ちゃんくらいの歳の時は、同じだったから。」
のような、アドバイスをいただいて来られます。
この言葉は、相手を安心させようとするものではあるのですが、
これほど、当てにならないアドバイスもないと思うのです。
安心された保護者様が、そのアドバイスにより、しばらく様子を見てしまうこと。このことで、早期療育を受けさせる大切な時期を逃し、あと送りされてしまう可能性があります。
今まさに「生きづらさ」を持つお子さんにとっても、ご家族にとっても、実は、「あまりありがたい助言ではない」のです。
この仕事をしていて、あらためて気づいたこと。
一番お子さんの様子を見ているのは、保護者様自身であること。
そのことを忘れずに、お子さんの未来のために、まずは一歩踏み出すこと。
療育は、早ければ、早いほど、未来のお子さんの姿が変わってくる可能性は高いこと。療育に、早すぎることはないこと。
今まさに、その状況にある方は、一歩踏み出してほしいのです。
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