見出し画像

石油は昔、○○として使われていた

 燃料やプラスチックの原料として私たちの背活に欠かせない石油。

 古代から世界各地で「燃える水」として存在が知られていました。日本でも、7世紀の天智天皇の時代、越後(新潟県)から「燃える水」が献上されたと記録されています。

 しかし、未精製の石油は燃料として使い勝手が悪く、燃料として実用化されたのは近代のアメリカが最初でした。

アメリカの当初の石油事情

 アメリカ大陸では、18世紀にペンシルベニア州やオハイオ州、ケンタッキー州などで産出することが知られていました。

 ネイティブ・アメリカンのセネカ族が住む地域で産出したことから、「セネカ・オイル」という名でも知られました。

 実は、この頃の石油はネイティブ・アメリカンが「塗り薬」として使用していました。内臓疾患、リウマチ、切り傷、打撲などに「効く」のだそうです。入植した白人もそれに倣い、薬品として石油を使用し始めました。

石油が燃料になったきっかけ

 1849年、ペンシルベニア州の薬剤師サミュエル・キーアが石油を採取して「万能薬」の触れ込みで発売。キーアは世界初の石油王として財を成しました。

 しかし、やがて石油の供給が需要を上回るようになり、薬品以外の用途も考えなくてはならなくなります。

 研究を進めたキーアは、石油を精製すれば良質の灯火油になることを発見します。

 当時、ランプの油に使われていたのは鯨油でした(アメリカでさかんだった捕鯨は日本開国の一因にもなりました)。しかし、灯油は鯨油よりも悪臭が少ないなどの利点があり、灯油は鯨油を駆逐していきました。

 こうして、燃料の中心が石油となる「エネルギー革命」が始まったのです。

(出典:竹田いさみ「海の地政学」中公新書)

この記事が参加している募集

世界史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?