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台湾留学2週間目(3/1〜3/7)

台湾留学2週間目(3/1〜3/7)

時がすぎるのが早いとか遅いとか、そういう判断もつかないうちに、ただ時間が流れる。その時間をなんとかせきとめようとも思わないけれど、ただ流れていって何も残らないのが怖くて記録を残す。

今週も5つの項目に沿って、記録を残そうと思う。

1.中国語の勉強

3/1から語学学校(中國文化大學華語中心)の授業が始まる。内容は簡単なレベルではあるものの、基礎の文法を正式に習わなかった人間なので、いい復習機会になっていると思う。特に簡単な言葉でも瞬間的に反応して、対応する練習はとても良い。

開校前日に友人と電話した。彼女は最も信頼し、そして尊敬する友人だ。その国に来ると外国人として間違えられることが怖いとか、語学学校のクラスが低くてショックだったとグダグダと愚痴をこぼしたら。彼女らしい核心のついた明瞭な言葉でそんなくだらないプライドを吹き飛ばしてくれた。

語学を話せる能力に自分の誇りを置くのではなく、常にその語学に向き合い学ぼうとする姿勢をプライドの置きどころにすればいい。そうでないとスペックとして消費されるだけだよ。

友人との電話にて

妙に納得して”他の人と話す”という課題に目を瞑りながらバンジージャンプを飛び降りるように、一歩踏み出してみた。
ルームメイトに話しかけてみたり、店員さんに指差しではなく、メニューを発音して伝えてみたり。Podcastを内容もわからないけど聞いてみたり。効果が発揮されているか微妙だが、心持ちが変わったのは事実だ。

2.台湾のフェミニズム

今週はフェミニズムについては大きな収穫がいくつもあった。

①女書店

1994年に創立されたフェミニズム専門書店、女書店。1994年からずーっとその場所が存在してくれたという意義の大きさを、その空間にいる間噛みしめる。想像もつかない長さなので、噛んでも噛んでもよくわからないほどだ。
フェミニズムに関する本なら翻訳書、文学、行政発行の報告書に近い書籍、雑誌、漫画等、形態を問わずおいてある。スケッチブックが置いてありメッセージを残せるので見てみると、中国語、英語、そして韓国語、少しの日本語が書かれていて台湾だけではなくアジア全体のフェミニストが訪れる場所になっていることを実感する。

ここで2015年発行のレズビアン雑誌が販売しておりそこに蔡依林が表紙の号を見つける。

元々中国語を勉強を始めてすぐに知ったのが蔡依林の「玫瑰少年」という曲だった。

『雨過天青』という本でもあったように、台湾で同性婚法制化の運動が社会に大きな影響を与えたのは2016年からだ。彼女はそれ以前の2015年に表紙を飾っている。その事実は”蔡依林が2016年より前からこのテーマに関して関心を持ってきた”ということでもあり、”2016年より前から台湾ではこの問題が公論化されていた”という証拠だと思う。
そしてこの雑誌を発見したことで、『玫瑰少年』を世の中に出すと決めた蔡依林という人について関心を強く持つようになる。

②月経博物館

「そんなものがあるのか…」

と訪問報告した友人が一同に同じ反応をしたこの博物館。私も最初知った時と同じ反応だった。

様々な主題の博物館があるのに自分の身体についての博物館、空間がないことに気がついた発起人が年に作った月経博物館。

月経にまつわるアートが2階全体にわたって展示されている。

月経という認識が単に血が出るものではなく、子宮からヴァギナまでの身体の部位を含めるものなのだということを展示を通して認識した。何よりグッズのアクセサリーがポップで可愛く、ここでお金を使わなくていつ使うのだ!と思い友人とお揃いで買う。

③AMA MUSEUM

台湾の慰安婦を記録し展示する博物館。ここでの体験はまた別にきちんとまとめるつもりだ。

本当に恥ずべきことだが、この博物館の存在を知ると同時に台湾にも慰安婦が存在したことを知った。慰安婦問題といえば韓国という印象が強かった。しかし台湾も韓国と同じく日本の植民地支配を受けた国であり、アジア全体に広がる慰安婦の被害が存在する国の一つだ。

親日という言葉も慰安婦の被害も埋もれてしまう大きな要因であると感じた。今も台湾というと、親日という修飾語がまっさきに来る。自分の無知について改めて向き合い認識した体験だった。

3.書店巡り 

1週間目と変わらずに、書店を起点として街歩きをする。そうしていると

「なぜ今私は本屋を巡っているのか」

という問いと戦うときが来る。

単に本屋だけを廻ることに意味を見出しにくい時もある。置いてある本が似てくるのはしょうがないことで、個性を見出すことに苦労することもある。

一方で周りの視線を取り込んでしまう時もある。語学学校に通い始めると毎日先生がこの質問をする。

「你昨天做什麼?」(昨日は何をしたの?)

初日はいい。「我昨天去書店,因為我喜歡看書」(昨日は本屋に行った。本を読むのが好きだから)と答えればいいから。だけど、それが毎日なのでだんだん言いにくくなってくる。その質問を繰り返すと私は何のために書店を毎日毎日行っているのか、その意味を考え始めるようになる。

また書店は一種の媒体であり、訪問する自分の境遇や考え、また持っている知識によって大きく見え方が変わる。そのため連続で書店ばかり行っても大して意味をなさないという側面もある。そんな、悩みを持ちつつ3/7に行った書店「小小書房」に行ったらそんな悩みも”ちょっとだけ”どうでも良くなってしまった。そんな出会いがあるからやめられないのだ。

小小書房

4.台湾を知る

これは歩いていて多くのことを考え、そして多くのことを感じたが、文章として形に残すにはもう少し気力と思考が必要だ。

フレーズとしていくつか残しておく。

・総統府、迎賓館を廻って感じる日本の植民地建築に対する韓国との違い、ひいては植民地に対する態度の違い。

・書店における簡体字や繁体字の本の扱われ方
→外国文化の受け入れ方(境界が薄いような気がする)

・新移民(東南アジアからの移民)の存在→電車等でヒジャブを被っている人をよく見かけるので

・公園や他の場所で車椅子を引いて散歩している人をよく見る。障がい者、足の悪い人、車椅子の人、そういう人が過ごしやすい街の設計になっているのだろうか。

・大学街と書店に関して→特に古本屋に関して
・朝ごはん文化

5.記録


フィルムカメラ(インスタント)を買った。日常生活から飛び出すとカメラで写真を撮りたくなるものらしい。少なくとも私は。しかし、問題は「どこで」買うかだ。そもそもフィルムカメラ(インスタント)を最初に買ったのは韓国の書店だった。日本だと多分”カメラのキタムラ”のような写真屋さんだろう。
じゃあ台湾は?

そんな時に万年筆のインクを買おうと寄った文房具屋さんで無事見つけることができた。その店が特別なのか、それとも台湾では文房具屋さんでフィルムカメラも売ることが一般的なのか。どちらかはわからない。ともかく、記録媒体が一つ増えた。

「記録」は、難しい。残そうとすればするほど、記録に残せなかった出来事の多さを実感する。その心残りを感じながらも、1週間遅れで毎回まとめても、それでも今のところは記録し続けたい。

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