ずっと「特別」に選ばれたかった。
例えば、宝くじで高額当選するとか。
あるいは、街中でスカウトされるだとか。
もしくはある日、超能力に目覚めるだとか。
わたしは、そういう「特別」に憧れて止まない子どもだった。
空想が大好きな子どもで、本を読んではよく自分を主人公に置き換えて、自由に空想をした。その中ではわたしはヒーローだったり、悲劇のヒロインだったり、なんだったら世界を救ったりした。
とにかく自分が何かしら「特別」でありたい、特別な何かに選ばれたいと思っていた。劇的な変化が訪れて、いっぺんに世界が変わるようなことが起こる。
いつか、そんな日が来ると思っていた。
実際には宝くじはおろか懸賞にすら当たらないし、
そもそもスカウトマンがいるような都会に住んでいなかったし、
超能力以前に霊感ですら「強い」と言えるようなものじゃなかった。
ああ、わたしは全然特別なんかじゃないんだ。
そういう劇的なことは起こらないんだ、わたしの人生。
✳︎
劇的なことが起こらない人生は、基本的には穏やかでのんびりした日々だったと思う。
でも、毎日のように夫は私に笑いかけてくれるし、本音で話せる友だちもいる。
noteやインスタグラムに投稿すれば、反応をくださる方々がいる。
そういうのも、全部「特別」なんじゃないのかな。
「私だから」みんながくれたものって、実はたくさんあるんじゃないかな。
散々「特別」じゃないとか言ったけど、夫がいることも友だちがいることも、当たり前のことなんかじゃない。
私は不特定多数の人たちから、劇的に、シンデレラみたいに「特別」に選ばれることはなかったかもしれない。
でも私は、欲しいものとか好きな人とか居場所とか、ちゃんと自分で選んで掴みとってきたじゃないか。
私には「自分で掴みとる力」があるんだ。劇的な何かに選ばれなくても、自力できっと「特別」になれる。
私だけじゃない。きっと、みんな「特別」だ。
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