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ととろん
2021年11月19日 15:27
・・・・まもなく、貨物列車が通過します 黄色い線の内側にお入りください・・・・まもなく、貨物列車が通過します・・・・・ ・・・黄色い線の内側にお入りください・・・沈み始めた夕焼けの色が、貨物列車の赤色と重なる美しさで、「もう思い残すこともないな、この駅に」そんな思いが湧いてきて、体がどう動いていたか、覚えていない。赤が紅になって、目の前一面が真っ赤になり
2021年11月20日 14:46
誰もいないホーム、散らかった荷物をとぼとぼと拾い、肩紐がちぎれて破れた作品バックを風呂敷の様に結びなおして、家に帰る電車を待っていると、貨物列車の赤と同じ色だった夕暮れの空は、一気に濃い青と黒にグラデーションを変えていく。心が赤信号だったのが、意識だけは何とか青信号に切り替えてくれるように今の自分の状態をぼんやりとたたずみながらも、冷静に振り返っていた。・・・・・・・・
2021年11月20日 17:24
家に帰りつくと、大きな三つの荷物を、引きはがすように、畳の上に置いた。大したものじゃないといった荷物たち、おそらくほとんどの人には、本当に大したものじゃない。けれど、僕にとっては、どの荷物も、大事なもの。これまで向き合ってきた、子ども達との時間の中で使ってきた。先生としてやってきた中で使った道具たち。「今度はいつ、力を貸してもらうことになるかわからんくなったね」「ご
2021年11月22日 23:21
なんとか、どうにか、まずは最初の二つの課題をクリアできた。本当だったら、自分自身に、よくやった。そんな思いを感じても良いはずだけど決して、自分が成長するための行動ではない。受け持った子どもたちと向き合うための前向きな行動ではない。命を手放しかけた自分を必死につなぎとめて、とっさに同じことを起こさないように、繋ぎとめるために必要だと思った二つの課題はクリアしたからと言
2021年11月23日 20:01
月曜日、保険証を確認して家を出る。不思議な縁だ。昨年度、先月まで勤めていた小学校の校区にその病院はあった。異動して、降りる駅も変わって半月もしないうちに、10年乗り降りしたなじみの駅から、歩き出している自分がいる。「初診なのですが」「はい、今日は保険証はありますか。」「持ってきました。」「では、保険証を診察券代わりにお預かりしますね。 帰りのお会計の際にお
2021年11月26日 17:29
今が夜なのか昼なのか自分が眠っていたのか起きていたのか。だめだ、何にもはっきりとわからない。何にもする気がしない。・・・・・・・・・・・・・・・診断書を渡して、家に帰りつくと。そのまままベッドに座り込んで、・・・・・・・・・・・何もする気がしない。自分の呼吸が浅く小さく耳に聞こえる。静かだ。部屋の中の空気がそのまま時間も停止させているかのように。紺色のカ
2021年11月27日 11:35
うつ病という病名は、聞いたことがない人の方が少ない今では広く名前は知られた病気で。でも、その病気がどんな症状になって、どう苦しいのか。実は病名ほどに、そういった詳しいことについては知らない人が多いのも、この病気の特徴に思う。少なくとも僕にとって、うつ病という病気は、自分に関わってくる病気ではない。そう思っていた。心の病気は、風邪や身体的な病気のように、鼻
2021年11月28日 09:05
それでも時間は流れる。何にもしなくても、時間は流れる。こんな状況になって、何にもしない時間。それでもそんな時間も、止まってはくれない。朝になるとカーテン越しでも真っ暗な部屋は薄暗がりになり、昼を過ぎると、紺のカーテンを突き抜けて日差しは入り込んでくる。夕方になると部屋はオレンジ色に染まり。夜になれば真っ暗な闇が、部屋中を占拠する。そんな一日を、ただ、何もせず、眺める
2021年11月28日 21:09
助けてくれたのはもう一人の自分だけか。実際に、一人でここまで何とか踏みとどまるのは、本当に一人だけでは、無理な事だった。3人の親友。3人の親友に助けられた。落ちそうになる自分の腕を引っ張り上げて落ちていくのを何とか救ってくれた。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一人目のゆかさんは、僕に心療内科を紹介してくれた親友。昨年度1年間一緒の学校で働いた、栄養教諭の
2021年11月29日 08:27
救ってくれた二人目の親友は、ケンちゃん。大学時代の同級生で、こちらは20年来の付き合いがある長い友人。ケンちゃんは僕と同じく、学校の現場で働いている教員だったが、僕が病んで不登校になる半年前に、赴任校の管理職からのパワハラで、相当なストレスの末、うつ病診断で病休→休職中の、不登校先生仲間でもあり、不登校の先輩でもあるともいえる親友だ。「ホームから飛び込みそうになったよ。
2021年11月30日 11:31
不登校先生になっちゃうかもしれん。家に帰って最初に冷静に電話をかけたのは、実は、ゆかさんでもなく、ケンちゃんでもなく、3人目の親友。たてなくんだ。彼は大学生時代に出会った親友。説明するとなんだか不思議で縁深い。大学時代は一つ下の後輩だった。学部は違ったのだが、僕がアルバイトをしていたコンビニエンスストアで深夜勤務をしていた同僚の部活の後輩でもあり、アルバイトの後輩と
2021年12月1日 06:15
無気力になった僕が、かろうじて毎週1回の診察と、校長先生への連絡ができたのは、だいぶ元気を回復して、振り返ってみると、なかなかに頑張ったなと思ってしまう。無気力の状態でも、かろうじて僕を日常とつないでいてくれたのはわずかばかりのスケジュールと、もともとの自分の神経質のせいなのかもしれない。行く気も起きないなら、病院にすらいかなかっただろうし、校長先生への連絡も、どん
2021年12月2日 07:07
二回目の診察、そして病休生活は本格的に。二度のゴミ出しを数えて、もう学校は始まっている8時半過ぎにようやく、自転車に乗って家を出る。行き先は、初診を受け付けてもらえた心療内科だ。初診後の一週間、とにかく、何もできなかった。ひとまずの管理職への連絡と、病休開始申請のための診断書の提出それだけが終わると、もう、何もする気が起きない無気力状態と、眠いのに寝付けないの繰り返しで
2021年12月3日 06:38
薬の効果は絶大で、でも一時だけのものだった。処方された日、正直もう病院に向った時から、すごく眠いのに眠れない。朝まで起きていたのかねていたのかわからない。そんな状態だったので、家に帰りつくや否や、台所で、処方された薬を飲んだ。喉は大きい方だが、それでも割らないと飲めない位の大きさで。ガリッ、ガリッ。と口の中で3かけらに割ると、一気に飲み込む。薬特有の苦みなどはな