その日も雨だった。 新開地駅を出たところにあるスーパーの裏が私たちの待ち合わせ場所だった。 (途中) 「今、何してる?」 「仕事だよ」 メールフォームをそっと閉…
「いつもどうしてそんなに寝起きがいいの?」 開いていない目で私の胸に顔を埋め、眠そうにしている。 寝てない、なんて言えるわけがない。 ”隣にいる時間が愛おしくて…
ある秋の夜。 「俺、今からここ行くけど来る?」 TYハーバーのマップとともにLINEが入る。 「今、恵比寿にいるよ。充電なくなるかも。とりあえず行くね」 誰と一緒かも…
6月に入ったある日。 いつものようにバイトからあがって終電に乗ろうとしたが、どうしても帰りたくなかった。 今日帰ったらまた横浜の妻子持ちに連絡してしまう。 …
大学1年の秋。 オーストラリアから帰国する前、"日本に帰ったら会いたい人"をノートに書き出していた。 2番目に浮かんだのはバイト先の常連客だった。 彼が働くドコモ関…
女豹5515
2016年10月11日 11:53
その日も雨だった。新開地駅を出たところにあるスーパーの裏が私たちの待ち合わせ場所だった。(途中)「今、何してる?」「仕事だよ」メールフォームをそっと閉じた。
2016年10月11日 10:02
「いつもどうしてそんなに寝起きがいいの?」開いていない目で私の胸に顔を埋め、眠そうにしている。寝てない、なんて言えるわけがない。”隣にいる時間が愛おしくて、寝るのが勿体無かった"など言えるわけがなかった。顔がとても好きだった。背が高く、彼の選ぶもの(服や家具や植物、仕事)も好きだった。そのくせ才能もあった。絵を描くのが上手い彼は、大学時代、イギリスに絵の留学をしていたと
2016年10月5日 12:01
ある秋の夜。「俺、今からここ行くけど来る?」TYハーバーのマップとともにLINEが入る。「今、恵比寿にいるよ。充電なくなるかも。とりあえず行くね」誰と一緒かも分からないまま、タクシーに乗って東品川に向かった。「そこはね、有名だから。住所じゃなくてお店の名前言ってくれたらわかるのに」白髪のドライバーは笑いながら私を送り出した。雨をかぶった床がつるつる滑り、ピンヒールの脚は
2016年10月1日 20:50
6月に入ったある日。いつものようにバイトからあがって終電に乗ろうとしたが、どうしても帰りたくなかった。 今日帰ったらまた横浜の妻子持ちに連絡してしまう。 そして、何より寂しかった。気付いたら彼に電話していた。 「あの…今日帰りたくなくて。まだ終電間に合うんですけど」 「どうしたん?俺は今日たまたま早く帰って来てるけど。話聴こうか?」 とにかく誰かに話さないと壊
2016年8月18日 17:44
大学1年の秋。オーストラリアから帰国する前、"日本に帰ったら会いたい人"をノートに書き出していた。2番目に浮かんだのはバイト先の常連客だった。彼が働くドコモ関西支社の地下にその店はあった。昼間は蕎麦屋、夜は居酒屋で、オフィス階から降りて来るサラリーマンで毎夜にぎわった。 店長が客に気に入られるようにと書いた名札のせいで、常連客は皆、私のことをあだ名で呼んだ。 彼だけはあ