女豹5515

大学時代のあだ名は女豹。街の数だけ恋がある。物語(ストーリー)がある。ただそこには男と…

女豹5515

大学時代のあだ名は女豹。街の数だけ恋がある。物語(ストーリー)がある。ただそこには男と女がいるだけだ。

記事一覧

涙の新開地

その日も雨だった。 新開地駅を出たところにあるスーパーの裏が私たちの待ち合わせ場所だった。 (途中) 「今、何してる?」 「仕事だよ」 メールフォームをそっと閉…

女豹5515
7年前
1

高円寺の彼

「いつもどうしてそんなに寝起きがいいの?」 開いていない目で私の胸に顔を埋め、眠そうにしている。 寝てない、なんて言えるわけがない。 ”隣にいる時間が愛おしくて…

女豹5515
7年前

雨の東品川

ある秋の夜。 「俺、今からここ行くけど来る?」 TYハーバーのマップとともにLINEが入る。 「今、恵比寿にいるよ。充電なくなるかも。とりあえず行くね」 誰と一緒かも…

女豹5515
7年前
1

本庄の朝

6月に入ったある日。 いつものようにバイトからあがって終電に乗ろうとしたが、どうしても帰りたくなかった。 今日帰ったらまた横浜の妻子持ちに連絡してしまう。 …

女豹5515
7年前
2

北浜の夜

大学1年の秋。 オーストラリアから帰国する前、"日本に帰ったら会いたい人"をノートに書き出していた。 2番目に浮かんだのはバイト先の常連客だった。 彼が働くドコモ関…

女豹5515
8年前

涙の新開地

その日も雨だった。

新開地駅を出たところにあるスーパーの裏が私たちの待ち合わせ場所だった。

(途中)

「今、何してる?」

「仕事だよ」

メールフォームをそっと閉じた。

高円寺の彼

「いつもどうしてそんなに寝起きがいいの?」

開いていない目で私の胸に顔を埋め、眠そうにしている。

寝てない、なんて言えるわけがない。

”隣にいる時間が愛おしくて、寝るのが勿体無かった"など言えるわけがなかった。

顔がとても好きだった。

背が高く、彼の選ぶもの(服や家具や植物、仕事)も好きだった。

そのくせ才能もあった。

絵を描くのが上手い彼は、大学時代、イギリスに絵の留学をしていたと

もっとみる

雨の東品川

ある秋の夜。

「俺、今からここ行くけど来る?」

TYハーバーのマップとともにLINEが入る。

「今、恵比寿にいるよ。充電なくなるかも。とりあえず行くね」

誰と一緒かも分からないまま、タクシーに乗って東品川に向かった。

「そこはね、有名だから。住所じゃなくてお店の名前言ってくれたらわかるのに」

白髪のドライバーは笑いながら私を送り出した。

雨をかぶった床がつるつる滑り、ピンヒールの脚は

もっとみる

本庄の朝

6月に入ったある日。

いつものようにバイトからあがって終電に乗ろうとしたが、どうしても帰りたくなかった。

今日帰ったらまた横浜の妻子持ちに連絡してしまう。

そして、何より寂しかった。

気付いたら彼に電話していた。

「あの…今日帰りたくなくて。まだ終電間に合うんですけど」

「どうしたん?俺は今日たまたま早く帰って来てるけど。話聴こうか?」

とにかく誰かに話さないと壊

もっとみる

北浜の夜

大学1年の秋。

オーストラリアから帰国する前、"日本に帰ったら会いたい人"をノートに書き出していた。

2番目に浮かんだのはバイト先の常連客だった。

彼が働くドコモ関西支社の地下にその店はあった。
昼間は蕎麦屋、夜は居酒屋で、
オフィス階から降りて来るサラリーマンで毎夜にぎわった。

店長が客に気に入られるようにと書いた名札のせいで、常連客は皆、私のことをあだ名で呼んだ。

彼だけはあ

もっとみる