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デューン 砂の惑星 PART2

映画史に残る没入体験とは、アバターではなく、間違いなくこのデューン。

IMAXでの鑑賞は言うまでもなく必須。
何度もサンドワームから振り落とされそうなくらい用語や設定に困惑するかもしれませんが、そんな世界観をも受け入れられる【圧巻】の五感で感じるスペースオペラがパート2にはありました。

圧巻① 砂の惑星と無色の惑星

ドゥニ監督版の本デューンが成功し、過去のデューンが失敗した理由、それは砂の惑星の創造性と映像化のクオリティ(それと技術力)なのだと再確認しました。
映像を通して、前作以上に砂の惑星の大自然と生態系を理解することができました。
そのうえでようやく、デューンに渦巻く信仰と社会と資源戦争を理解することができます。生活習慣や武器、文化、信仰なども。異次元の異文化体験です。

そしてパート2ではもう一つ圧倒的魅力を放つ星があります。
ハルコンネンの母星、ジエディ・プライム。黒色太陽の影響で、全てがモノクロで色がないという、独特な惑星。
まばゆい白と不吉な黒とのコントラストで映し出されるハルコンネン統治社会は、これだけで映画一本作れるんじゃないかと思うくらいです。
H・R・ギーガーを彷彿とさせますし、マリリン・マンソンやラムシュタインをBGMに流したくなるようなインダストリアル感溢れるフェチズムが漂っていましたね。好き。

圧巻② ポールの成長記

名前いくつあるの?ポールであり、アトレイデスであり、フェダキンであり、ムデアディブであり、ウスールであり、マフディーであり、クウィサッツ・ハデラックであり、リサーン・アル=ガイブであり、そのうえ・・・。彼を呼ぶ名の多さは映画史上最多かもしれません(笑)

呼び名の数は、ポールをどういう人物として接触し、関係を持ち、期待されているのかの現れ。それだけに、ポール本人の心は大きく揺れます(このあたりは、マトリックス・リローデッドを想い出して見てました。スティルガーは、モーフィアスでしかなかったw)
道徳を人一倍持ちながらも責任感の強い彼が「力」を得たとき、それは正義なのか、復讐なのか、制裁なのか。
ポールの成長を中心に置いている作品なだけに、この止められない激動記が圧巻でした。

圧巻③ 不動のチャニ

チャニだけがずっと変わらずに、激変のデューンの中で立ち続けています。
デューンの中でははみ出し者でも、最も僕らに近い感情の持ち主。この未知なる映像体験を、ただの未知で手放すことがないのは彼女の存在があるから。
それゆえに、彼女の目を通して見えるデューンやポールに、喜びや哀しみを抱いてしまいました。
ちなみに、若手女性俳優が今回は豪華でしたね。ゼンデイヤの他、フローレンス・ピュー、レア・セドゥ、そして未来のビジョンに現れるアノ人も。
全員パート3続投となると、すごいことになりそうです。

圧巻④ ハンス・ジマーの音楽

遥か彼方の銀河系で録音したのかなと思うほど、音楽も未知なるもので、DUNEの世界を作り出す重要な役割を果たしていました。
砂漠のように壮大で、重たく、時に砂面や手に取る砂のように軽やかで。
IMAXで本作を観る理由は、映像だけでなく、この音楽にもありました。

おまけ スター・ウォーズと照らし合わせて

スター・ウォーズがデューンの影響を受けているのか、もしくは現代に至っては、デューンもまたスター・ウォーズを参考としているのか、と思うように似ている部分を感じられます。

デューンと他惑星の対比は、タトゥイーンとコルサントや、デススターとの関係に似ています。ただ、SWでは貧しい星から飛び出し、宇宙に繋がっている運命と対峙し、英雄となる物語でした。デューンは恵まれた環境から、政治的支配によって貧しさを強いられる砂の惑星が宇宙の中心となって、主人公の運命と対峙していきます。SWの方がロマンティックで、デューンは結構現実と重なるところがありますね。

SW3部構成の鉄板、「①旅立ちと新たな仲間」「②血統による運命と闇」「③決意と葛藤と宇宙の運命」みたいな展開は、デューンでも感じます。パート2は、若干、①と③の要素も含んでいるので盛りだくさんです。
③はSWにおいて、旧新続がそれぞれ若干異なるので、パート3がどんな終わりを描くか気になります。

他にも救世主論や、魔女の暗躍、刀の決闘など、こんなこと考えながら観るのも楽しいです。
個人的には前述にも触れましたが、マトリックス三部作も重なるぶぶんがめちゃくちゃあります。


できたらもう一度IMAXで鑑賞しておきたい。今度は物語を考えず、ただただこの世界を五感で感じるためだけに。
オッペンハイマーが始まって、途端にIMAXシアター公開が激減しているので、お早めの鑑賞をオススメします!

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