2021年に読んだおすすめ本5冊
今年も2021年に読んだ(not 発売された)ベスト本の紹介記事を書いたぞ!(2020年、2019年)
2021年(に読んだ)おすすめ本5冊
『世界標準の経営理論』
2020年に読み始めて、2021年の中頃にやっと読み終わった分厚い経営書。僕は経営書を読むのが趣味なのだけれど、もし一冊だけ経営書をおすすめするなら間違いなくこの本。数多ある経営理論について、その思想やそれが依拠する学術的な背景(要は「根本」)を平易な言葉で短く解説しているところが新しい。「ポーターの競争の戦略ってそういうことだったのかー」といった感じでとても腹落ちするため、仕事に役立てやすい(実際役立った)。「世界標準」と銘打っているように、著者が考える重要な経営理論の全てがカバーされており、守備範囲が広いところも非常によかった。やたらと影響されてしまって、「成果は、能力というよりは「強いつながり」」「乃木坂46が勝ち続けているのはチームワークが良いから」「ブレストは、アイデアを出すためにやるのではない」と3つも引用して記事を書いてしまった。2021年に読んだ本の中でダントツベスト。
『世に棲む日々 (一〜四)』
吉田松陰と高杉晋作を主人公とした、幕末初期から倒幕直前までを描いた司馬遼太郎による歴史小説。国が大きく動く時に人が何を考え、どう動いたのか。大いに脚色され、編集されているようだけれど、その分リアリティを持ってそれに触れることができる怪作。歴史に名を残すような人物は、戦略家・思想家として素晴らしいというよりは、自分の信念に従ったリスクを取り、結果として(多分に偶然によって)居るべき場所に居る人間であることがよくわかった。「お前がそこにいる時に丁度それが起きるの?まじ?」と何度も驚嘆した。
『肉食の思想』(内容サマリー)
例えば週に数時間だけ働いて莫大な収入を得ている人がいたら、欧米では尊敬されるが、日本では尊敬されないと聞く。実感としては本当だろうと思う。どうしてだろうか。そういったことを食文化の違い、もっというと農業環境の違いから説明するという試みに挑戦している本。1966年初版なので少し古い本だけど、とても面白かった。冒頭の質問に簡単に答えると、日本の農業(気候)は欧米と比べて時間をかければかけるほど生産量が高まるという特徴があり、そのため日本では「一生懸命働く=良いこと」という文化が育った一方、欧米では「時間をかけている人=無駄」という視点が育ち、冒頭のような「尊敬」に関する考え方の違いが生まれたという。
『京大驚きのウイルス学講座』(内容サマリー)
コロナ禍を過ごす中で、ワクチンに関する最低限の知識を手に入れようと思って読み始めたら想像の10倍面白かった激烈オススメ本。新書なのでボリュームもちょうど良き。例えばアストラゼネカは(ファイザーおよびモデルナと異なり)「遺伝子組み換えワクチン」であるため、2回接種すると、それ以降の接種をしてもワクチンのウイルスが中和されてしまうそう。ブースターショットに影響がありそうだ。ウイルスの「変異のしやすさ」に関する話も面白かった。インフルエンザウイルスは変異がとても大きいため、A型に効くワクチンを打ってもB型には罹ってしまうことはみなさんも知っていると思う。一方で、コロナウイルスは変異をしにくい構造を持っているため、型が異なってもワクチンの効果が認められる。
『嫌われた監督+采配』
唯一三冠王(打率、本塁打数、打点の全てで1位)を3回獲得し、ドラゴンズの監督として8年の在籍中4度のリーグ優勝と1度の日本一など、最強の野球人である落合博満について、本人の周りにいる人々に行ったインタビューからその姿に迫る『嫌われた監督』と、落合監督本人によって綴られた勝負の方程式『采配』の2冊をセットで今年読んだベスト本として挙げたい。そもそも監督本人が活躍している時にその戦略を話すわけがないし、チームを離れたとしても現役の選手について多くを語ることは許されない。在籍から10年が経過した今こそ味わい深く楽しめる伝説の選手・監督の戦略論。
その他のよかった本
次の東京オリンピックが来てしまう前に:コロナ禍が発生する前から東京オリンピックはロクなことにならないと綴り、世の中と彼の論調が同調していく過程で著者である菊地成孔が段々と「キレ」ていく、エッセイ集の体をしたスリリングなドキュメンタリーとして面白すぎた(本書と全く関係ないオマージュ記事もどうぞ)
ALL ABOUT TOSHIO SUZUKI:いいものを読んだ感でいうと2021年ベスト
コトラーのマーケティング4.0:そんなに面白くもなく、発見があるわけでもないものの、近年のマーケティングの変化について綺麗に整理されており、マーケティングに曲がりなりにも携わる人間として読んでおいて損はなかったかなと思った一冊
Four Seasons Nogizaka 46:春夏秋冬の花が表現された7点の日本美術と、乃木坂46を重ね合わせ紹介する、東京国立博物館で行われた展覧会「春夏秋冬 フォーシーズンズ 乃木坂46」による公式図録。とにかく美しかった
初音ミクはなぜ世界を変えたのか?:YOASOBIや米津玄師らの活躍を挙げるまでもなく、2021年は引き続き2007年に生まれた初音ミク(ボカロ)文化による遠因・影響を感じさせる一年だったわけだけれど、ちょうどその真ん中で執筆された2014年発売のこの本で語られている全ては今こそ読むに値した
「仕事ができる」とはどういうことか?:「みんなスキルを高めようとするけど、結局センスだよね」と元も子もない入り口から、でも「センスって一体何?」に切り込んでいく楽しげな対談
最後のTight Hug:2021年ベストソング
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