乃木坂46が勝ち続けているのはチームワークが良いから【共感経営】

乃木坂46は歴史上のアイドルグループの中で、恐らく1番だと思う。おニャン子クラブ、モーニング娘。、AKB48などと比較しても、その成功の高さも長さも、頭一つ抜けているように思う。

プロダクトの成功をプロダクトやマーケティングで説明することはある程度は可能。でも、成功し続けていることの説明はうまくできないと最近思っている。例えば乃木坂46の場合、その成功ノウハウを踏まえて立ち上げられた欅坂46があまりうまくいっていないことからも、乃木坂46に関わるプロダクトやマーケティングを分析するだけではその成功をうまく説明できないように思える。

では何が乃木坂46の成功要因なのだろうか。僕はチームワークがその答えではないかと考えている。(この記事の下書きを書いたのが数ヶ月前のため、以下の事例がちょっと古いのはご容赦ください!)

私自身も個人として活動しているけれど、OGとしても誇れるように活動したい。
1期(OG) 伊藤万理華
怖いくらい仲が良い
岩下力 (ドキュメンタリー映画"悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46"監督)

上記に上げたアイドルグループたちと乃木坂46の最大の違いの一つは、メンバーおよび卒業生たちが皆、乃木坂の成長にとって自分はどう振る舞うべきかを自分で考えて行動しているところ。他のアイドルグループは離脱する前後で「実は仲良くなかった」とか「やっと自由にやれます」などネガティブな発言をしたり、「何も触れない」メンバーが多く存在する。一方で、乃木坂46の場合は(未完成な初期を除くと)全員が乃木坂46の成長について前向きに触れて卒業・活動している。

ナゴヤドームのリハーサル中は1期生が集まる機会があったので、まいやん含め「私達1期生の先輩が少なくなっていくから後輩たちにも色々なことを伝えていきたいよね、伝えられることは伝えていこう」ということを話しました。
1期 秋元真夏

乃木坂46が成功を持続・成長させられていることの一つのポイントは世代交代が進んでいること。今の乃木坂46は4期生と呼ばれる、4回目のオーディションで入ったメンバーを加えて活動している。2~4期生共に、1期生のメンバーと遜色ないぐらい(人によっては超えて)活躍しているメンバーも多くいる。これも他のアイドルグループと比べると大きく異なる。1期生が「神」で、2期生以降は格が下がるケースがほとんどだけれど、乃木坂46はそれを乗り越えている。そして僕はこれもチームワークが為せる技なのではないかと睨んでいる。

先輩やスタッフさんから教わった“大切なこと”を後輩にもしっかり伝えていきたい
2期 山崎怜奈

ここで紹介したいのが、最近呼んだ共感経営という本。

この本はチームワークに焦点を当てている。メンバーや社員たちがその目指すべき未来像に共感し、戦略にコミットすると、自発的かつ自律的にそれに合うように行動をとるようになると書いている。

曰く、市場の変化がかつてないほど早くなっている。その結果、どれほど緻密に市場を分析し的確な戦略を立てても、その前提としていた市場がすぐに変化してしまうため、立てた戦略がすぐに期限切れになってしまう。そのため、必要なのは戦略ではなく「わくわくする目指すべき物語りの筋書き」と、「腹にガツンとくる行動指針」であると(便宜的にこれらを合わせて「ビジョン」と以下呼ぶ)。緻密な戦略に従って動くのではなく、ビジョンを基に現場一人ひとりが目の前の状況に対応しながら適切に行動し、学んでいくプロセスこそが共感経営であり、現代の勝ち方であると書いている。

これを読んだ時に、すごく乃木坂46っぽいなぁと思った。

乃木坂46に入って9年なのですが、年々居心地が良くなってきていて、無意識のうちに挑戦やリスクを避けていたなあとも気づきました。
1期 高山一実
これから乃木坂46がどうなっていくかとか、どういう風に戦かっていくかみたいなのをしっかり考えなければいけない時期なので。3期生もいつまでもこのままじゃいけないって、3期生自身が一番強く思ってた
3期 山下美月(26thシングル 選抜発表時 コメント)
乃木坂46にもっと貢献できるような人間になろうっていうのが今の目標です
4期 田村真佑(26thシングル 選抜発表時 コメント)
初のフロントポジションも、先輩から祝福された。「(卒業した中田)花奈さんが『おめでとう。頑張ってる子が前に来てくれてうれしい』って言ってくれました」と感謝した。「僕は-」初披露後には、たまたま会う機会があった白石からも「歌、すごいね、すごいよ!」と直接声を掛けられたという。
3期 久保史緒里 インタビューより

これらの発言は、まさに共感経営的。そもそも、どんなリーダーでも、トップから末端までビジョンを浸透させ、そのビジョンに従って行動させ、学び、次につなげていく流れを「マイクロマネジメントする」ことなどできない。現場にいる本人が、ビジョンに照らし合わせて「これではだめだ」と判断して動いている。そして、もしこれが高山さん一人であれば他のアイドルグループと同じだけれど、これが1期生から4期生、センターからアンダー(=レギュラーからベンチ)まで、そして卒業したメンバーに至るまで全員が思っているところに乃木坂46の圧倒的強さの源泉があるように思える。これはシェアード・リーダーシップとも呼ばれる。グループの複数の人間、時には全員がリーダーシップを執るという考え方だ。これがまさに、乃木坂46のダイナミクスそのものを示している。

グループにシェアード・リーダーシップがあるなら、そのメンバー全員がリーダーとしての役割・当事者意識を持てる。すなわち、メンバー全員が「これは自分のグループである」というアイデンティティを持ちやすくなるのだ。
世界標準の経営理論 入山章栄より抜粋

一人のファンとしてだけでなく、経営オタクとしても、乃木坂46のこれからが益々楽しみ。

今日のリハーサルとかでもさ、一期生で集まっていると、なんか9年間みんなでがんばってきたからさ、楽しかった思い出もたくさんだけど、辛かったときもみんなで乗り越えてきたから、ホントに、いい仲間に出会えたなと思って
白石麻衣




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