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【エクアドル】無限列車!走っている列車の上に乗った事がありますか?怖いけど楽しい列車の旅

鬼滅の刃・無限列車のように、走る列車の屋根に乗って旅ができるところがある。詳しい事はタダではあまり教えたくないが、ちょっとだけならいいかもしれない。

色々とやかましいこの日本という素晴らしい国では、残念ながらそんな危なくて楽しい事はできないし、やってはいけない事になっている。でも僕は20代の頃は定職もつかず、あてもなく世界を放浪をしている旅人だったから、この無限列車に偶然に出会え、走る列車の上で遊ぶ事ができた。

✈︎その体験を少しだけ


それは秘境南米エクアドルの山奥にある山岳列車だった。

現れた無限列車。もう人が乗っている。鬼かも?!

Devil's Nose Train 悪魔の鼻

エクアドルには世界でおそらくここでしかないと思われる珍しい山岳列車がある。
ルーフ・ライディング・トレインと人は呼ぶが、僕は勝手に無限列車と呼ぶ。

アンデス山脈の奥深い山々を縫うようにして走る列車の屋根の上に乗りこみ、風をあびながら突っ走る乗り物だ。

バックパッカーの僕は、バニョスという温泉が湧き出る村でのしばらくの滞在を終えて。リオバンバというまあまあの街に1泊し、そして、アラウシという駅からこの無限列車に乗り込んだ。エクアドルの山奥だ。赤道とバナナだけの国ではなかった。

駅で待っていると、汽笛と共に列車が煙を吐きながら現れた。もうすでに天井には人がわんさかと乗り込んでいる。白人ばかりだ。

別になに国人が乗っていてもいいのだか、その頃の僕は闘争心があったので、白人連中の固まりをみると、日本男児負けてたまるか、お前たちより俺たちは凄いんだぞ、と勝手に意識して向かっていた。ここでも同じ感情が湧き上がっていた。

僕は重いバックパックを担いで白人の固まりが座っている列車の屋根に登ると、奴らを半ば押しのけながら、慣れない図々しさを絞り出して乗り込んで場所をとった。いきなり列車の屋根の上に乗るのだ。

すでに、こんなヤバイ状態

✈︎まさかの女ひとり日本人バックパッカーも登場?!


ぎゅうぎゅう詰めのルーフでやっと自分のスペースを確保したかと思うと、列車が急にゴトンと発車。そんな中、白人連中に囲まれて何か落ち着きがなくなっていた僕は、
『この走る列車の屋根の上で、誰か日本人いないかなあ』と見回していると、なんと1人、女バックパッカーが少し離れた所に白人の固まりの中にポツンと座っているのを発見した。僕の登場を待っていたかのように。

僕はその''女ひとり旅日本人''が気になりずっと目で追っていると、僕の必死の目ぢからに気づいてくれて目が合ってしまった。

走る列車の屋根の上、少し離れた所に座っているので会話を交わせる距離ではない。でもお互いのアイコンタクトは成立した。

✈︎こんな秘境での出会い。普通、ドラマに発展するシチュエーション

列車は走る。
非常に不安定な姿勢で座っている状態なので心配になった。振り落とされたりしないか…と。段々心配になってきた。
でも、
『死ぬなら、こいつらも皆んな一緒に死んでしまうんだ、俺一人ではない』
なんて思ったら開き直ってこの無限列車に慣れてきた。

景色はさすがに素晴らしい。背面には、アンデスの山々が広がりすぐ下は谷底でスリル満天だ。悪魔の鼻と呼ばれる急勾配カーブを通過する時はクライマックスだ。

Devil's Nose Train 悪魔の鼻


スピードが上がるに連れて体は左右に揺れ少しでも気を緩めると振り落とされそうになる。途中、トンネルも通過する。前方にトンネルが見えると女性たちの悲鳴がきこえた。

ぶつかって頭が飛んでしまいそうで恐ろしい

今度は物売りのおじさん登場!



おまけにさすが南米、この動く列車の屋根の上で、どこから来たのか物売りのおじさんまで現れ走る列車の上をひょいひょいと歩き出す。車掌も現れルーフでキップを切ろうとする。こんな危ない状況で切符を確認せんでもえがなぁ、と皆んな叫んでしまった。そして、その車掌が駄目押しで記念Tシャツを売り始めた。たくましすぎる。

車掌さん、落ちまっせ
この白人女性、鬼かも?


アンデス山脈の大自然

先程の"女ひとり旅日本人''はどうか?と気になって目をやると…
周りの白人たちと何やら仲良く談笑しているではないか。座っててもそれと分かる背の低めの白人の男と肩まで組んで楽しそうに会話をしている。僕が期待する女ひとり旅、ではなかった。
お陰で僕は、
この後どうやって女子に声をかけよう?
だったり
次の旅の目的地はどこにしよう?
だったり
仲良くなったらどこの宿に泊まろうかな?
だったり
僕の品行方正な''男ひとり旅''の邪魔をする『悪魔の囁き』からは解放される事ができて助かった。
''あーよかった''
余計な事を考える必要がなくなり、この後の無限列車の旅に集中することができた。

✈︎列車はアンデスの山奥をひた走る


3時間ほどの列車の旅が終わり終着駅についた。興奮と大満足の余韻を引きずりなが、ルーフから降りて僕は生きて次の街を目指す事ができた。
屋根から降りたあとも、もちろんあの女には目もくれずに…(涙)

今は、残念ながらルーフには乗れなくなってしまったらしい。この、アンデス無限列車、おすすめです。

また会おう!旅人よ。

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