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#62 サラリーマン、マスタリングを学ぶ

はじめに

こんにちは。マツムラと申します。このnoteは、サラリーマンが作曲活動を始めていく備忘録・軌跡を書き綴っていきます。

今回はマスタリングの話です。
一個の記事にまとめたいので結構長くなると思います。

↓↓ 前回 ↓↓

前回までのおさらい

前回まではミキシングの実践を行ってきました。
ドラム→ベース→ギター...と各パートに対して、音量バランスや各楽器のあるべき音の配置等の適切な調整を行いました。

ここまでの作業で、ただ打ち込んだだけの楽曲とは見違えるような聴きやすさになったのですが、まだ全体としての調整は行ってません。

この全体としての調整をマスタリングといい、楽曲の仕上げ作業には欠かせない作業になります。

マスタリングとは

マスタリングは要するに仕上げ作業なのですが、割と広義な意味合いを持ってます。

音圧をあげたり、音楽をアップする環境用に音を調整したり、アルバムで曲が違和感なく繋がるようにしたり...
のような様々な作業のことを総称してマスタリングと呼びます。

前回の記事でも言ったのですが、マスタリングはそれ専門のエンジニアがいたりするので、一朝一夕でどうにかできる世界ではないです。
さらに言うと、人/曲によってやり方もバラバラで十人十色。
調べてみても中々作業の実態が掴めないものとなっています。

なので今回は、(自分が調べてやってみた感じ)これは外せないなと思った作業をつらつらと綴って行こうと思います。

マスタリングの作業

具体的にどんな作業をすればいいのかを学んでいきましょう。

マスタリングはいろんな作業の総称なんですが、その中でも「音圧UP」は重要な作業です。
「マスタリング=音圧UP」だと勘違いする人がいるくらい、マスタリングの中では必ずと言っていいほど行われます。
作業は様々で十人十色とはいえ、音圧UPの作業はほぼ必ず求められてくるので、
今回はマスタリングの中でも音圧UPの部分を見ていきます。

先にやる作業を以下に書いておきます。

①ラウドネスメーターの挿し込み
②イコライザ
③コンプレッサー
④MS処理
⑤リミッター(マキシマイザー)

一個一個見ていきましょう。

①ラウドネスメーターの挿し込み

めちゃくちゃざっくり言ってしまうと、音圧を数値化してくれるメーターです。
歴史や数値の細かい意味などを知りたい方は以下記事参照。

音圧を上げると言っても今どのくらいでどのくらいを目指せばリスナーにとってちょうど良く聴こえるのか、どうしても人間の耳じゃわからない部分があります。
なので、音自体に変化を持たせるものではないですがラウドネスメーターは挿し込んでおいた方がいいです。

Logicでは以下のように挿しこみます。

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最終的なアウトプットの音圧を測りたいので、「Stereo Out」の「一番最後」に他のエフェクターと同様に挿します。

実際にラウドネスメーターの画面を見てみましょう。

スクリーンショット 2020-10-19 19.12.33

Mは瞬間的な音量、Sは短期間での音量、Iが総合での音量です。曲全体としての音圧を見たいときは、「Start」をクリックした後に曲を通しで流します。その後、
Iの値を見ればいいです。

今回の曲は以下のようになりました。

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「Integrated」は-16.0ですね。
この値は0に近づくほど音圧が高いことを示していて、プロの楽曲だと大体-5dB付近まで持っていっているようです。今全然音圧ないじゃん...

この足りない音圧を後の工程で足していきます。

②イコライザ

これは毎度お馴染みですね。
各楽器は実践済みですが、全体ではどのようにかけるのがいいのでしょう。

結論としては自由
低音がもっと欲しいなら上げましょう。耳がキンキンするなら高音を下げましょう。それだけです。

ただ一つ注意。以下が実際に施したEQですが、波形がいつもより抑えめになってると思います。
ここで、5dB以上の変化をつけないといけないようであれば、それはミキシング段階でどうにかするべき問題です。
ここでは最終的なほんの味付け程度のイコライジングになります。

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③コンプレッサー

コンプレッサーの記事で詳しく見て言ったように音圧上げにはもってこいのエフェクターです。こちらも全体ではどのようにかけるのがいいのでしょう。

こちらも結論としてはほんの味付け程度。
でかい音をごそっと潰して小さい音ごと引き上げれば音圧爆上げじゃん!!と思っていたんですが、それだと曲自体のダイナミクスが無くなってしまいます。

なので以下のように軽めにかけるだけの調整をしてます。
これによってラウドネスメーターの「Integrated」は-16.0→-15.2に。

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④MS処理

MSのMはMid、SはSideの事です。つまり中央と外側のこと。

曲のメイン部分はもちろん中央です。ほとんどの楽器が中央で鳴っています。
音圧をあげようと色々処理をしていっても、中央の音量がピーク(0dB)を超えてしまうのでこれ以上上げられない!という状況に出くわします。

そんなときにMS処理です。MS処理では楽曲をMid部とSide部で考えます。
基本的な楽曲だと、ほぼ100%中央に比べてサイドの音量は小さいです。
つまりサイドの音量だけを上げればまだまだ音圧UPは狙えるということですね。
「中央がだめならサイドを上げればいいじゃない。」イメージは以下。

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具体的にはいろんな方法があるんですが、ここではLogicでの一例を。
「Linear EQ」を挿し、以下の画像のように「Side Only」を選びます。

スクリーンショット 2020-10-19 22.44.26

これはイコライジングをサイドのみ行う、ということです。

しかしながら「サイドだけ音量上げたら音量バランスが崩れるんじゃ??」
と思いませんでした?自分は思いました。

結論から言えば基本は大丈夫です。
サイドの音量を上げるとサイドに振った楽器だけ音量が上がりそうですが、
実際はパンを振っていないベース等の音もサイドから鳴っているので、
その辺も軒並み底上げされます。

自分は↑画像のようにハイの音のみをブーストしてますが、まあそれはそれでバランス取れてていいかなと思ってやってます。

これによってラウドネスメーターの「Integrated」は-15.2→-14.0に。

⑤リミッター(マキシマイザー)

「Integrated」を徐々に引き上げているものの、まだ-14.0dB
目標の-5.0dBにはまだ程遠いです。

そこでリミッター(マキシマイザー)の登場です。通称「音圧爆上げ機」
詳細な仕組みについては省くのですが、最大音量(dB)を保ったまま
音圧を好きに引き上げることができます。

「じゃあ最初から全部これでいいじゃん。」って思いませんでした?自分も思いました。
結論から言えばダメです。実際にやっていきながら理由を説明します。

Logicでのリミッターは「Adaptive Limiter」。以下のように挿します。

スクリーンショット 2020-10-19 23.44.53

画面を開いてみると以下の感じのシンプルな画面です。

スクリーンショット 2020-10-19 23.44.30

基本的にいじるのは左の2つのツマミ(Gain/Out Ceiling)です。

・Gain
Input(今回は楽曲全体)の音量をどれだけ引き上げるか、を指定します。
上げれば上げるほど音圧が上がるが、5dBを超えたあたりから音割れがちらほら出るようになります。
元の楽曲の音圧が足りない程、ここを大きい値に設定しないといけないのでリミッターを挿す前に音圧をできるだけ上げておかなければいけません。
・Out Ceiling
曲のOutputの音量上限は0dB以下にしないと音割れが出るという話は何度かしています。
このOut Ceilingではその音量の上限を定めることができます。
デフォルトは0.0dBなのですが、最終的にオーディオファイルに書き出した際に
変換の都合でちょっと0.0dBを超えちゃったりすることがあるみたいで、
普通は-0.1とか-0.2に設定するみたいです。

これによってラウドネスメーターの「Integrated」は-15.2→-7.5に。

プロが目指す-5.0dBにはまだ届いていないですが、これ以上あげると音質の劣化が目立つようになったので断念。
一応-10dB以上であれば普通の人は差がわからないくらいの音圧はあるらしいです。多分もっと上手にミックスをできていればもっと音圧を上げられていたんだと思います。
Perfume等で有名な中田ヤスタカさんの楽曲とかは-3.0dBくらい音圧あるらしいです。恐るべし。

長くなりましたが、これにてマスタリングの作業は終了です!

マスタリングを終えて

後日比較の音源を上げるんですが、このマスタリング作業によって本当にめちゃくちゃ変わりました。
初心者の音源だなーってかんじから一気にプロっぽい迫力が加わった感じです。

楽しくなっちゃって記事も倍の量くらいになっちゃいました。
皆さんもやってみてください。めちゃくちゃ音源が良くなっておすすめです。

さいごに

今回は一気にマスタリング作業を見ていきました。
これにて最終的にオーディオファイルに書き出す前にやることは一通り全部やりました。

ということで次回は、ミックス/マスタリングをやる前後の比較をしたいと思います。音源の書き出し方の話もできればと。

ここまで見ていただきありがとうございました。

サポートいただけると泣いて喜びます。いただいたサポートは今後の音楽活動に当てていこうかと思っています。