見出し画像

ゲーム業界のビッグイベントで講演しました!CEDEC2024での講演内容とリアクションをレポートします

皆さま、突然ですが、ゲームはお好きですか?
今回は大のゲーム好きである筆者・小林Jも大興奮のレポートをお届けします。

なんと、8/21~23パシフィコ横浜ノースで行われたCEDEC2024に東芝のデザイナーが登壇したのです!スピーカーは、このnoteではおなじみ、「デザイナーが教える人間工学シリーズ」の講師の井戸健二さんです。

CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)とは、ゲーム開発に関する技術や知識を共有するための国内最大級のカンファレンスです。ほとんどの講演がゲームの開発や未来像などゲーム業界に特化した内容なのにもかかわらず、東芝はいったい何を語るのでしょう?なんと社会インフラ領域のUXデザインやUIデザインのお話なんです。

この記事では、意外なことにゲーム業界人にも参考になったと評判の東芝のセッションの内容と、異業種交流がもたらした刺激や気づきをお伝えしたいと思います。

会場となったパシフィコ横浜ノース

noteがきっかけのご縁

そもそも何故、インフラ事業がメインの東芝が登壇することになったのか、それはまさにこのnoteがきっかけだったのです。
CEDEC2024企画委員のおひとり、ビジュアルアーツ分野担当 の太田垣沙也子さんから次のような内容でお声がけいただきました。
 
・東芝のUIデザインチームのnoteはゲーム業界でも知名度が高く、話題となっている
・ゲームのビジネスモデルはBtoCだけでなくBtoBtoC、BtoEにも拡大しており、開発者の視座を高めることが急務となっている
・BtoBのUIデザインに長らく関わってきた東芝に、思想や手法、ナレッジなどの情報を発信してほしい

大変ありがたいお話に、もちろん!と、ふたつ返事でお引き受けしました。特に「人間工学シリーズ」などで紹介しているようなUI/UXデザインのナレッジ、またゲーム業界とBtoB業界の考え方の違いなどに興味を持って頂いた様子。
いやはや、noteをきっかけにこのような機会をいただけたことに「noteやっていてよかったなあ・・・」と大変感激いたしました。

講演の内容

会場はパシフィコ横浜ノース。我々note運営チームも応援にやって参りました。
広々としたきれいな会場にはゲーム業界に連なる企業様でいっぱいです。ちょっと私たち、場違いじゃないのかしらと思いながらも先進技術に興味津々で見学をさせて頂きました。

さて、いよいよ東芝のデザイナー・井戸さんの登壇です。480人キャパの会場でステージやスクリーンはとても大きく、見ているこちらが緊張します。

井戸さん登壇の様子

セッションのテーマはうれしさの循環を実現する東芝のデザイン~社会インフラ領域のUXとUIデザイン~」
社会インフラ事業において顧客企業やエンドユーザーの体験価値を最大化することがデザイン部門のミッションであることを前置きに、UIデザインが質の高いUXを生むために重要であること、そのためには顧客の知恵を取り入れ、部門間で協力して価値を創造する共創のアプローチが必要なことを、デザイン事例2つを紹介しながら説明しています。

また、これからのUIデザイナーにもっと求められていることとして以下の考えを語りました。
(1)ビジネスマインドの醸成: 顧客の要求に応えることに加えて、ビジネスの狙いや条件を整理してから製品コンセプトを立てることが求められること
(2)アブダクションの力: 論理的思考だけでなく、逆推論型の発想で新規性の高い解決策を生み出す力が必要なこと
(3)評価スキル: アイデアの良し悪しを迅速に検証するため、デザイナー自身が評価スキルを磨くべきであること
(4)心を動かすUX提案力: BtoB領域でも「面白い」「楽しい」と思わせるようなUX提案が重要になってきていること
特に(4)について、人を楽しませることに熱量が高いゲーム業界からは学ぶべき点が多いと強調し、締めくくっています。

同じ部門の我々が聞いていても、ハッとするような気付きの多い内容でした。
詳しくはぜひこちらの記事をご覧頂きたいと思います。なんと講演後すぐにゲーム情報サイトの4Gamer.netさんで紹介をされていました!スライド一つ一つを挙げ丁寧に分かりやすく説明を書き加えてくださっています。ゲーム業界の目線で書かれているので大変興味深く拝読いたしました。

ちなみに、スライド内で紹介しているデザイン事例はnoteでも記事にしていますのでご紹介します。

セッションの反響は意外にも大きく!

井戸さんのプレゼンテーション終了後は、詳しく話を聞きたい参加者の方々が残ってくださり、質問タイムが始まりました。
ゲーム業界の方が東芝の話にどれほど興味を持ってくれるのか?という心配をよそに、活発にご意見や質問を頂くことができました!(皆さん意欲的!)

講演中にも、講演後にも質問やご意見をたくさんいただきました!

「どのような方法でデザイン案に対するユーザー評価をしているのか」
「デザイナーにどのようにビジネスマインド醸成させているのか」
「インフラという大規模な分野で、関係者を巻き込んでプロジェクトを進めるのは大変ではないか、どのように共創しているのか」
「愛着を持ってもらえるデザインという考え方がいい」
「UIデザイナーだけでなく、プロダクトデザイナー、サービスデザイナー、人間工学の専門家など様々な専門性をもった人々が隣り合っている環境がいい」
「ゲームでも、社会的な意義を考えていく必要があると感じた」
「ゲームデザイナーが社会インフラデザインの現場にいたらどうですか?」←それは素晴らしい化学反応が起こる予感しかしませんよ!などなど、みなさん前のめりで発言をしてくださいました。時間が足りませんねえ!

井戸さんの感想

井戸さん:どうやらCEDECは技術カンファレンスでありながら「ゲーム業界、年に1度の夏祭り」なんだそうです。その言葉通り、会場にいる人はみんなゲームが大好きで、ゲーム作りに情熱を注ぎ、CEDECで一堂に会することを心から楽しんでいる様子でして、それが何よりも印象的でした。ゲーム業界全体が発している熱量に圧倒され、プレーヤーの楽しさをとことん追求する姿勢や美しく・こだわりぬいたビジュアル表現には感服するばかりでした。
 
社会インフラ領域のUIデザインも、「単に使いやすさや安全性の向上だけを考えていれば良い時代」は終わっています。
オペレーターが自分の仕事に誇りや愛着を持てるようなシステムであれば、モチベーションや作業効率の向上が期待できます。オペレーターを想うデザインが離職防止や採用にも好影響を及ぼし、少子高齢化・人手不足という社会課題に立ち向かう力になるとも思っています。
「楽しさ」や「驚き」といった、心に訴えかけるようなUI表現をシステムの特性に合わせて取り入れる。これは社会インフラのUIデザインのこれからの課題であり、ゲーム業界から大いに学ぶべきところだと思っています。CEDECが終わってからずっとデザイン部内でそう言い続けています!

さいごに

今回、他業種との交流が刺激をもたらすという事に改めて気づかされ、noteをやることで、このような交流のきっかけが作られるという事を知り、今後も積極的に発信しチャンスを作っていきたいと思う次第です。
今回のCEDECのように私たちと一緒に何かをしてみたいと感じたら、ぜひ、お気軽にお声がけくださいね!

東芝UIデザインチーム公式webサイト