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森保ジャパンCK戦術ドイツ戦

ドイツ戦、勝ちました!!!
日本にとってワールドカップ史上初となる逆転勝利。素晴らしかったです。

その中で、

「セットプレー、全然ダメじゃん」

「本番も無策なの?」

そんな風に感じた方もいたのではないでしょうか。私もリアルタイム観戦中は、少し思いました。「工夫はしてるけど、シンプル過ぎるかな?」と。

しかし、試合後しっかり分析すれば、明確な狙いが見えました。それをまとめたいと思います。以下の過去記事を前提に、話を進めます。

日本の守備

日本は3ストーン+マンマークでした。これまでは、ほぼ一貫して2ストーン+マンマークでしたが、唯一6月のブラジル戦で試していた形(ストーンの配置が僅かに異なりましたが)を本番で見せました。

過去記事で「強豪ブラジル相手に本番仕様を試しているのではないか」と予想しましたが、大当たりだったかもしれません(笑)。全員がエリア内に入り、守りを厚くする意図があったのだと推測します。ブラジル戦以降は隠していたことから、しっかりとした中期的な戦略を感じます。

ストーン役は伊藤・鎌田・吉田でした。ニアへのボール等、跳ね返していました。
その他マンマーク担当者も、かなり頑張っていました。特に後半終盤は何度もCKを与えてしまいましたが、凌ぎ切ってくれました。

日本の攻撃

まず、ドイツの守備戦術はゾーンです。ゴール前にはキミッヒ、ハヴァーツ、リュディガー、シュロッターベック、ズーレ、ラウム、と6人の選手が立ちました。キミッヒ以外は非常に高さと強さのある、圧巻の並びです。過去記事ではここに5人が立つと紹介していましたが、ネーションズリーグでは6人立つこともあったので、大きな驚きはありません。

この守備に対して、日本はどう挑んだか。キッカーは一貫して鎌田でした。右と左から、インスイングとアウトスイングのボールを蹴りました。

基本的に狙っていたのは、上記6人のエアバトラーがいない、よりゴールから離れた位置でした。そこには、ニャブリ、ミュラー、ムシアラ、空中戦では劣る選手たちがいます。そこで競り勝つことを戦略としていたようでした。

全体で6本あったコーナーキックのうち、4回はそこを狙っていました。
まず前半の1本目と3本目、シンプルなクロスを上げました。
後半には2度、ファーサイド側を狙いました。板倉がムシアラ相手にヘディングシュートを放つビッグチャンスを作ったので、もう1回そこを狙ったようでした。試合中の状況判断もできていたと感じました。

ショートコーナーもありました。前半の2本目です。一番近くに立つ久保を飛ばしてフリーになっている田中まで下げ、ファーサイドにクロス。そこには吉田・板倉・酒井。ラウム1人に対して、なんと3人です。明らかに狙っていた形でしょう。どれも決して偶然ではありません。
久保の立ち位置によってドイツのショートコーナー対応要員を引き付け、田中をフリーにする。ドイツはゾーンなので、ファーを1人で守るラウムに対し、日本先発メンバーの中で空中戦に最も強い3人をぶつける。過去記事でもドイツ攻略法の一つとして提案していた、見事なオーバーロードでした。

最後に、ニアサイドも狙いました。前述の通り、ドイツはゴール前に6人立ちましたが、唯一キミッヒは、身長が低く空中戦が得意とは言えないでしょう。ネーションズリーグでも、ニア側に立つシーンはなかったと記憶しています。それにハーフタイムで気付いたのでしょうか。後半の1本目はそこを狙いました。

まとめると、
・エアバトラーたちがいないエリアを狙う、という事前分析に基づく戦略があったこと
・ショートコーナー&オーバーロードの形を準備していたこと
・ハーフタイムや試合中の気付きを活かしていたこと
が分かります。

冒頭で述べたように、これだけ準備・実践していても得点に繋がらないと、あたかも工夫がなかったかのように見えてしまうのは辛いところですね。もちろん結果が全てではあるのですが。

試合全体

最後に、試合全体についても簡潔にまとめます。

前半は、ドイツの3-2ビルドアップに対して、 2トップのプレスが全くはまりませんでした。さらに4バックに5レーンアタックされたことで、右サイドを攻められまくって、伊藤がSB化してしまい、カウンターもできなくなってしまいました。失点は当然の流れでした。

後半開始と同時に、冨安を投入することで3-4-2-1に変更し、リスクを冒してオールコートマンツーマンのような形にしました。マーク担当が明確化され、例えば田中はかなり前まで出てキミッヒに付く等、人を捕まえられるようになりました。これで一気に流れが変わりました。

その後は、三笘のWB、浅野・堂安・南野で強度維持をしながら勝負を掛け、鎌田ボランチ、伊藤までWG、という見たことも聞いたことも試したこともない強気な姿勢を貫きました。

そして、三笘・南野のコンビネーションでポケットに侵入してから堂安の同点ゴール!板倉・浅野のリハビリコンビで逆転ゴール!

何よりも、森保采配が圧巻でしたよね。恐怖すら感じました。大胆なシステム変更、次々と切る攻撃的カード、こんな采配見たことない!あのキャラと真面目さで、この大舞台で、やるんですね。素直に尊敬します。

次のコスタリカ戦も楽しみですね!ドイツと違ってマンマーク守備のチームなので、大きく異なる戦術を見せてくれるでしょう。

以上です!
では、また。



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