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#02 内水氾濫と外水氾濫の違いを知る

内水氾濫や外水氾濫という言葉は自治体のハザードマップなどでもよく出てきます。気象情報や防災情報も内水氾濫を対象としたもの、外水氾濫を対象としたものがあるので、まずはじめに内水氾濫と外水氾濫の違いや特徴をしっかり理解しておくことが肝心です。では見ていきましょう。

この記事は「デジタル防災リテラシー」マガジンのステップ1の記事です。

内水氾濫と外水氾濫

内水氾濫は大量に降った雨が下水管などで処理できずに堤防の内側(住宅地や農地側)の水で発生する洪水、外水氾濫は堤防の外側(河川)の水が住宅地などに流れ込んで発生する洪水です。 

被害の大きさを比べた場合、外水氾濫の方が内水氾濫よりも被害が一般的に大きくなります。特に大河川の堤防が決壊して外水氾濫が発生した場合には、家屋が流されたり街が川の一部となったりします。内水氾濫の場合は水が流れ込む土地が低い箇所や地下施設、河川沿いなどに被害が集中します。

内水氾濫と外水氾濫に影響する雨量

市街地などはコンクリートで覆われているため降った雨が地面の中に浸透せずにすぐに流れ出します。流れ出た雨が排水施設で対応できる限界を超えると道路や低い場所に水があふれ、内水氾濫が発生します。このため、内水氾濫の場合はその場所にどの程度の雨が降るかが問題となります(氾濫型の内水氾濫と呼ばれるタイプ*の場合)。

*内水氾濫については細かく見るとさらに2種類に分かれます。詳細については03 内水氾濫リスクのある場所の記事で説明します。

外水氾濫では、河川の流域で降った雨の量(流域雨量)が河川の水位上昇に影響します。

内水氾濫と外水氾濫が発生するまでの時間

内水氾濫は短時間のうちに発生することがあります。特に雨の降り方が極端な場合(例えば10分間で15-20ミリ前後など)では、降り出してから20分や30分という極めて短い時間で道路冠水や浸水被害などの影響が出ることもあるでしょう。

中小河川の水位上昇や外水氾濫も雨の降り方によっては比較的短時間のうちに起こります。

2008年に神戸市を流れる都賀川流域で発生した大雨の例では、10分間で水位が1.34m上昇したと記録されています(下図の14:40から14:50の間)。この例では河川沿いの遊歩道で遊んでいた小学生など16人が逃げ遅れ、このうち5人が犠牲となりました。

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国土交通省の資料より転載

大雨が実際に降り始めてから災害が発生するまでの残り時間(リードタイム)という観点で言うと、内水氾濫はリードタイムが少なく、外水氾濫(特に大河川)はリードタイムを多少考慮できる災害*であると言えます。

*リードタイムはそれぞれの河川や雨の降り方などで異なります。大雨で大規模な河川が上昇する際にリードタイムを把握するには、水位を予測する情報(指定河川洪水予報と呼ばれるもの)を使います。
(関連記事)11 特に被害が大きくなる川の外水氾濫の手がかり

あなたが備えるのは内水氾濫?外水氾濫?

次の単元から、内水氾濫と外水氾濫について詳しく見ていきます。次の3つのポイントを念頭におきながら進めてください。

(1)備えるべき水害のタイプ
皆さんが備える必要があるのは、内水氾濫でしょうか、外水氾濫でしょうか?またはその両方でしょうか?自宅周辺だけではなく、避難先への経路も含めて考えておきます。
(2)被害の見込み
内水氾濫と外水氾濫のどちらのタイプの氾濫で、どういった被害が見込まれるでしょうか?
(3)被害を減らすための対策
内水氾濫や外水氾濫による被害を減らすために、普段からできること/緊急時に対応しなければならないことは何でしょうか?

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