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バズワード化する「不動産ID」〜日経新聞の記事についての感想

今年度は、不動産IDにまつわる動きが少しだけありました。しばらく前になりますが、日経新聞が「中古住宅、データは伏魔殿 不動産IDに既得権の壁」と「データ連携、生産性に直結」という記事を出しています。

これ「ひょっとしたら・・・」と思って確認したら図星で、書いたのはこのnoteのフォロワーさんでありました。しばらく前に記者さんからのフォロー通知があった段階で、「あ、記事が出るんだろうな」となんとなく想定はしていました。私の書いた文章が少しでも参考になりましたら幸いであります。

もしまだの方は、是非ご一読を。(有料記事ですが、会員登録すれば月10記事まで無料で読めます)

記事の内容としては、一般紙の記者さんにしては良く勉強されているのは確かだと思います。日経新聞で、このように不動産業界の無策について一歩踏み込んだ記事を書いて頂いたこと自体はとても素晴らしいことでもあります。

ただ、ですね・・・誠に申し訳ないのですが、この記事を詳細に読むと、読めば読むほど色々と問題というか間違いも多くありまして・・・、私の立場としては、今後も踏まえて色々とコメントをしておきたい点が多々あります。

(日経は日本のメディアでも一番まともで評価しているメディアでありますが、ITが絡むと、以前も書いたような「ガラパゴス」の用法を露骨に間違えるというような、初歩的なヘマをやらかしたりします。さらに言うと、すべてカタカナ表記とするアホなことをやらかします)

もともと、日本の不動産業界関連の話題は、ステークホルダーというか、関連する企業、団体、業界が多すぎて、それぞれの利害関係も把握するのが難しいほど複雑なものです。また、直面している課題も多く、様々です。それに加えて、IT技術が絡むとさらに難易度が高くなるのも分かります。

それは分かるんですが・・・しかし、それらを全部ひとまとめにしては単純化しすぎですし、一緒くたに論じてしまうのは誤解を生むばかりで、問題を明らかにするどころか、間違った前提を広めてしまいかねないと思います。

基本的な事実誤認も多く・・・

順番に行きましょう。

まず、「中古住宅、データは伏魔殿 不動産IDに既得権の壁」というタイトルなんですが、前半はまぁその通りとも言えますので良い(が、別に中古住宅のデータだけではない)のですが、後半部分の「不動産IDに既得権の壁」が、一体なんだそれ、であります。不動産を一意に識別出来るように「不動産ID」という仕様を定めます、というだけの話しに「既得権」が何の関係があるのでしょうか。別に誰も反対していませんが。

これ、そもそも「不動産IDとは何か」を誤解されていると思います。

次に、本文の初っ端から「中古住宅の売買取引を透明化する官民プロジェクトが10年以上も迷走している」っていきなり一体なんのこった、って話しであります。不動産IDとはなんの関係もない話しです。にも関わらず「中古不動産売買取引の透明化プロジェクトの不動産ID」であるとか誤解して読む人達が多数発生しています。

全くなんてこった・・・。

「10年以上も〜」という所から推測するに、後段で登場する「08年の国交省研究会の提言」の事を言っているのであれば、これ(「不動産ID・EDI研究会報告書」)の事であって、改めて後述しますが、その内容は、「不動産EDI(Electronic Data Interchange)」を主眼とした研究会にすぎません。これ、つまりは標準化した物件情報流通規格のことを言っているのであります。「中古住宅の売買取引を透明化する官民プロジェクト」でもなんでもありません。

基本的な間違いであります

さらにそれに続く「不動産業界がオープンな情報システムによって既得権を脅かされると警戒しているからだ」というのも大きな問題だと思っています。

まず、「オープンな情報システム」ってのが曖昧すぎる表現で、具体的に一体何を指しているのか誰も全く分からない言葉を使っています。Linuxのような「オープン」なシステムの事を言っているのでしょうか?それとも、これはいわゆる「レインズの一般公開(オープン化)」のような事を言っているのでしょうか、それであれば、これも不動産IDとも無関係でデータ連携とも別次元の話しです。

具体的に、「誰」に対して「何」を「オープン」にする話しをしているのか、というのが最も重要なポイントで、それ次第で全く違った話しになります。そこを曖昧にしたまま、「オープン」「オープン」言っても、絶対に話しが噛み合わないことは100%保証します。

賛成か反対を言う以前に、まず言葉の具体的な意味と、論点を整理しなければ、そもそも議論すら噛み合いません。

追記:この件、別途詳しく「巷の、「レインズの『オープン化』論」の論点を整理してみる」を書きました。是非お読みください。(他にも以前書いた、「レインズの情報を一般公開しない理由とは」を参照)

また、「不動産業界が」というのも大きすぎる主語で、宅建業者でも(中でも大手と中小、仲介客付けメインと自社物メインの会社では正反対の立場だったりする)それぞれ全く異なる立場です。

「不動産業界が・・・既得権を脅かされると警戒」と書くならば、業界を代表する全宅連などの業界団体からのコメントを引き出すべきでしょう、少なくとも。

そもそも、一体全体どんな既得権がどういう風に脅かされるというのでしょう。根拠を挙げて欲しいです。何でもかんでも「不動産業界の既得権を脅かされる」みたいな警戒自体が誤解の元に成り立っているのです。

この種の誤解のせいで、日本の不動産業界では情報流通のITデジタル化において何も前に進まない所があります。にも関わらず、一般紙でこの誤解を解かずにそのまま話しを進めるので、不動産IDや標準化を進めると本当に「不動産業界の既得権益」が損なわれるのではないか、というような虚構を読者に広めるだけになってしまっているのではないか、という大きな懸念があります。

記事では、「不動産IDは不動産取引を透明化する為のもの」、みたいな間違った前提で話している為、すべて話しがずれています。

細かいことを言えば、「建物や土地を登記簿の番号で管理する『不動産ID』の構想」という「管理する」という曖昧な表現なので、巷では「不動産IDという制度」という風に書く人や、なんらかのシステムだと誤解する人まで現れています。「不動産ID」は管理するものではなく識別するIDの仕様に過ぎません。

「不動産ID」は、以前(「不動産ID」についてひとこと)で書きました通り、それだけでは「データ連携」が実現するでもなく、IDの仕様に過ぎず、単にIDで一意に識別ができるようになり、データの重複などを防ぐ事が可能となり結果として各種データの紐づけも(やろうとすれば)できるようになるというだけのものであって、それ以上でもそれ以下でもないのです。

ですから記事中の「不動産IDのデータ連携」や「不動産IDを使ったデータ連携」というような、「不動産IDさえあれば(使えば)データ連携ができる」みたいな誤解を与えやすい表現は避けるべきです。

引用されている政府答申(PDF)にも「不動産IDとしての不動産登記簿のIDの活用」としか書いていなくて、「不動産IDを使ったデータ連携を求めており」なんてことはありません。

そもそも「データ連携」って何を指して言っているのでしょうか。記事では「データのオープン化と連携」のような事と同義語で理解(誤解)してしまっているようです。

図なども含めて全体を通して読むと、一部で「不動産ID」と「データ連携」と「オープン化」を混同してしまっているようにさえ見受けられ、相互に言葉を入れ替えても意味が通じてしまうレベルです。

「不動産ID」はもとより、まず「データ連携」とは具体的に何を指すのかはっきりさせほうが良いでしょう。「(不動産関連)行政情報の集約と物件データとの紐づけ」を想定して「データ連携」という言葉を使うのは間違いではありませんが、実際はもっと幅広いですし、集約紐づけ連携というのはそれぞれ別の概念です。私は「異なるシステム間での物件データのやり取り」という意味も含めて「データ連携」という言葉を使っています。

「オープン」ではない「データ連携」もあるのですよ。

この件、詳しく「巷の、「レインズの『オープン化』論」の論点を整理してみる」で、書きましたのでご参照ください。

また、記事中で触れられている「08年の国交省研究会の提言」の「不動産IDの構想」なるものとはこれ(「不動産ID・EDI研究会報告書」)の事であって、その内容は、「不動産EDI(Electronic Data Interchange)」を主眼として提言しているのでありまして、つまりは標準化した物件情報流通規格のことを言っているのであります。

IDの仕様策定はEDIをやる上で必要・前提となる仕様のうち単なる一つの付随事項にすぎないのです、本来は。

なので、記事にある「『不動産ID』の構想も骨抜き」という一文は明らかな間違いで、あえて言うなら「『不動産EDIの構想』が骨抜き(でIDだけになっちゃった)」、なら正しくて意味も通じる、って話しです。

普通に読んでも「不動産IDの仕様を決める」ってだけの話で「不動産ID構想が骨抜きに」って日本語的にもオカシイでしょう。骨抜きしようの無い話しなんだから

今からでも記事に訂正入れた方が良いレベルの明らかな間違いです

しかも、あれ「構想」ではなく実際には研究会が報告書で提言しているに過ぎませんし。

因みに、EDIとは、「不動産情報デジタル標準化の覚書」の中の「EDIという用語について」の項でも詳しく書きましたが、インターネット以前の大昔(1970年代)に登場していた技術を引きずった表現で、今やほぼ死語というか過去の遺物です。あの国交省研究会の参加者はIT技術者でも無い上に、インターネット以前の大昔の世代の人達なのでw内容も微妙なのです。今で言うならWebサービスAPIですが通常それを省略してWeb APIと言い、それをさらに省略して単にAPIと言う場合もあります。(さらに言えば、EDIにしろAPIにしろ、プライバシー云々はAPIと次元が異なる無関係の話しであります)

ですから、「不動産IDを使ったデータ連携」ではなく、「不動産APIを使ったデータ連携」とかなら意味が通るというか、日本語的にも技術的にも正解です。日経も以前「銀行API」って言葉使っているじゃないですか(ガラパゴス化の用法間違えてるけどw)。

APIをやるにしても集約・紐づけするにしても、まずは基本「ID」が必要でしょ、って話しなんですよ、単に

なので、「不動産ID」でデータ連携が可能になるとか言うのは、EDIやAPIと混同してしまっていて不正確で、勝手な願望に過ぎず、不動産IDの仕様を決めたからと言って、魔法のようにデータ連携や集約がされる訳ではありません。

「不動産IDとデータ連携は別の議論」なのですよ。

にも関わらず、巷でも不動産IDで***が実現!みたいな話しが巷で出回っているのは滑稽ですらあります。これはそもそも国交省の発表資料からしてツッコミどころが満載で誇大広告なのでしかたがないのかもしれまえせんが・・・。

不動産関連の行政情報の集約や紐づけや連携ってったって実現するにはそれ誰が主体(政府行政?自治体?業界団体?レインズ?民間企業?)でどうやってやるの?ってのが問題なのであって・・・。あと、不動産IDでオトリ広告が自動的に無くなる!とか??みたいな。いやいや罰則でも規定して物件検索サイト運営者側がアクテイブに取り締まらない限りオトリ広告なんて無くならないよw、不動産IDで「これはオトリ広告」なんて判定する術はないんだから、みたいな。

追記で、別途あらたに「不動産IDで『おとり広告』が無くなる、というデタラメ」を書いて詳しく解説しましたので、是非お読みください。

一体どこの**野郎が「不動産IDで市場の透明性の向上」とかあることないこと言い出したんだ?と。あ、国交省か(追記>「いまだに蔓延する『霞が関パワポ』の問題点」を書きました)、ったくw

完全に「不動産ID」という言葉が陳腐なバズワードしています。

乱暴なたとえ話をすると、「住所を割り振ったから郵便配達網が出来る!」とか言うようなものです。論理飛躍しているところが。この例えで言えば、今回の不動産IDというのは単に「郵便配達網が無いと思ったら住所すら整備されていなかったので、とりあえず住所だけ割り振ってみただけ」みたいな話しであります。

なので、記事のタイトル「不動産IDに既得権の壁」ってところからして、そもそも有りえない話しなのです。なんで不動産にID振るだけで既得権が脅かされるのか、っていう筋が通っていない話しでありまして・・・

ありえんのです。

誤報レベルです。

あれもこれも、「不動産ID」は「不動産取引を透明化する為のもの」で「不動産IDさえあればデータ連携ができる>オープンになる>透明化される」という誤解に基づいて記事を書いてしまっているからだと思われます

「不動産IDとデータ連携は別の議論」なのです。

記事では、「既得権に配慮してか『不動産IDとデータ連携は別の議論』と及び腰の官民検討会」とありますが、国が「不動産ID」を策定するだけでもやり過ぎなのに、その先のその仕様の使い方まで指示するのはありえない事なので当然です。

この場合、米国の様に、業界団体が標準化団体を作って標準化作業の中で仕様を策定していくのが定石なのですよ。参照>「不動産の標準化組織 RESO(Real Estate Standards Organization)とは

こういった仕様というのは、どう使うかなんて指定されてしまったら元も子もありません。ましてや国に指定される筋合いはないものです。参照>「不動産IDの仕様策定も標準化団体を設立してそこでやるべき

記事中の「不動産IDをつくっても、その先の個々のデータ連携にまで国は口を出さない」というのは当然の話しです。そもそも「不動産ID」の仕様策定に国が出てくる話しですら無かったのです。業界団体や標準化団体で、ずっとむかしに標準化の一環としてやっておくべきことの一つに過ぎません。しかも、その「不動産ID」の利用方法に国が一々指図するなんてありえませんので。

基本をご理解頂きたいですね。

繰り返しますが、APIをやるにしても集約・紐づけするにしても、まずは基本「ID」が必要でしょ、って話しなんですよ、単に。今までなかったのかよ、レベルの話しです。

だから、「不動産IDとデータ連携は別の議論」。

そもそも、既存の非効率的なデータのやり取りを連携しやすくすることが、どうして「異業種も交えた」「一般消費者が得る」「情報がガラス張り」になるのか、根拠がゼロです。

前述したように、「不動産ID」で具体的に何が出来て何の為では無いのか、を正しく正確に理解しておく必要があります。異なるシステム間での物件情報のやり取り(データ連携)に必要なのはAPIと標準化です(「不動産APIを分かり易く解説してみる」、「日本、気づけばガラパゴス 不動産API連携に後れ」を参照)。

ですから記事中で引用されている匿名の「都内の仲介会社社長」が言うような「新規参入企業や一般消費者が得るデータが増えれば、既得権が脅かされる」とか「異業種も交えたデータ連携に発展して情報がガラス張りになるのは避けたい」みたいな話しは、次元の異なる無関係な話しであって、単なる基本的な無知に基づく根拠のない誤解であり、論理飛躍を前提としたさらなる論理飛躍であります。

記者さんが、どのような説明をしてこのコメントを引き出したのか分かりませんが、「不動産ID」は「不動産取引を透明化する為のもの」で「不動産IDさえあればデータ連携ができる>オープンになる>透明化される」という誤解を前提に質問をしてコメントを引き出したように見受けられます。

不動産IDにしろデータ連携が具体的に誰のどんな「既得権」をどういう風に脅かすのか、(デタラメなコメントは引用しても)一切解説されていないのがこの記事の致命的な点であります。

誤解の上に誤解を重ねた意味のないコメント。

あえてその線で書くとしたら、「不動産IDで既得権なんて脅かされないのに、勝手に勘違いして無知の故に思い込みで反対している誰それ」という風に書くのが正解でしょう。

そもそも、宅建業法を抜本的に改正でもしなければ「情報がガラス張り」なんてならんでしょう。守秘義務もあるんだから。あえて言うなら個人情報保護法も廃止するなりしないとね。基本的過ぎる話しで、本気で脱力します。しかも、そうなったらなったで何がどう脅威なのか教えてもらいたいところです。

というか、便利になるのは良いけれど「新規参入企業」も便利になると脅威だ、みたいな話は、あんたそもそもビジネス向いていないんじゃないの?ってレベルの話しで論外でしょう。そんな話しをまともに聞いていたら、産業ごと衰退するわ、と。日経もそんなコメントを無批判に垂れ流すのもどうかと思われ。

関連で、「標準化が進まない日本〜理由は『自分が損をしてでも人の足を引っ張ろうとする日本人』? 」を書きました。

また、異業種とデータ連携なんて、別にする必要性も無いし、嫌ならしなければ良いだけの話しですし、そもそも別次元の議論です。せっかくのデータを腐らせて活用しないで損をするのも自分の勝手です。

ていうか、現状で、既に物件検索サイトという「異業種」のテック企業に物件情報を「広告」として流して「データ連携」しているのが普通の状態なのですが、みたいな。

もうですね、不動産に固有IDを振るだけで一体何が変ると思っているのかね?と小一時間問い詰めたくなります。ID振っただけで「異業種を交えたデータ連携」が実現して「情報がガラス張り」になるんだったら誰も苦労しねーわ、というw

100歩譲って想像力で補完して「レインズのデータをまるまる異業種に提供するようなのはオカシイ」という話しをしているのであれば、言いたいことはまだわかります。「レインズの情報を一般公開しない理由とは」や「あらためてレインズの問題を考える 」でも書きましたが、日本の場合「業者間流通」という名目で業法のもとに強制登録させられているレインズのデータを他業種が自由に使えるように開放するなんてのはレインズの存在自体の抜本的見直しと「物件情報は誰のものか」を含めて、業法の法改正をすべきレベルで、色々と慎重に議論してから決めるべき問題です。ですが、そもそもそれ不動産IDとは一切まったくなんの関係もありませんから!ここでは誰もそんな話しはしていませんがな、みたいな。

巷の、「レインズの『オープン化』論」の論点を整理してみる」を書きましたので、そちらをお読みください。

「不動産IDとデータ連携は別の議論」なのですよ。

あとですね、米国の事例として記事中に挙げられた「MLSも多くは業界団体系列で、かつては外部とのデータ連携を制限していたというのも間違いで、「外部」でもなく「異業種」でもなく、同じ不動産業者同士への情報提供を「しないオプション」を提供するポリシーが問題になった、です。MLSは元々「外部」へデータを流す規格まであって「外部」へは既に普通に連携していたし。

米国の司法省のサイトから直接参照して引用すると、"traditional brokers"が、"discriminate against innovative brokers"ということですから、「伝統的な不動産会社が(オンラインベースの)革新的な不動産会社への情報共有を阻害できるようにしているNARの規定が健全なる競争を妨げている」というのが司法省側の主張の趣旨です。

因みに「MLSデータからAI(人工知能)で価格査定する検索サイト『Zillow』など不動産テック企業が成長した」というのも間違いです。Zillowはデータソースを公表していませんし。

追記で、この件詳しく日本と米国、「不動産テック企業」の決定的な違いとは」で解説しました。関連で「米国の不動産業におけるMLS(multiple listing service)とは何か」もお目通しください。

この記事は、間違いが多すぎますね。

それに、「プライバシー保護などを理由に不動産業界が賛同しなかった」みたいな話しも、個人情報保護法もある中で、不動産業界は違法な事をすべきだった、とでも?

間違いを挙げたらキリがなくなってきたので、この辺にしますが、こういう誤解を広める片棒を担いでいるのが、残念ながら日経を始めとしたメディア、という風にも言えるでしょう。

本来は、このような誤解をそのまま事実のように報じるのではなく、そういう層に向けて「分かりやすく解説して啓蒙して誤解を解く」のがメディアの役割かと思います。

日本の不動産業界には問題点が多すぎて、一つの記事にまとめて詰め込みたくなる気持ちは良く分かるのですが、基本的な誤解を助長するかのようにそのまま報じてしまったり、様々な課題をごっちゃにして単純化しようとしてしまうと、色々と問題だ、という感想です。

つまり、囲い込み(両手取引)の問題や取引の透明化といった業法と商習慣の問題、レインズ自体の問題、中古住宅情報のストック化や関連行政情報の集約と紐付けと言ったインフラ的な問題、そして不動産業界として物件情報の標準化が出来てないという問題は、それぞれ別の話しであることを明らかにした上で、きっちりと切り離して論じるべきであると思います。

これらを全部ひっくるめて無関係の不動産IDを無理やり絡めて語るのはあまりにも無理がありすぎです。ちゃんと切り分けて整理して話さないと、何が問題で、誰が何に対してどんあ反対しているのか全く分からない論点がずれた話しになってしまいますし、誤解を広められると前に進められる話しまで全部進まなくなってしまいます

という訳で、記事の第二弾を期待しています

続き>「不動産業界の諸悪の根源〜『不動産流通推進センター』という天下り団体の問題点まとめ」、さらに続き>「国交省、『民間企業がレインズより便利なものを作ればいい』 < イヤそういう話しではないでしょ

*関連で、あらたに「標準化が進まない日本〜理由は『自分が損をしてでも人の足を引っ張ろうとする日本人』? 」と、「不動産IDで『おとり広告』が無くなるというのは本当か 」と、「巷の、「レインズの『オープン化』論」の論点を整理してみる 」、「いまだに蔓延する『霞が関パワポ』の問題点」、「『不動産流通推進センター』という天下り団体の問題点まとめ 」、「国交省、『民間企業がレインズより便利なものを作ればいい』 < イヤそういう話しではないでしょ」を書きました。

さらに、

「不動産ID」が「ルール」でも「ガイドライン」でもあるべきではない理由
相変わらず酷すぎる 〜 国交省が、「『不動産IDルールガイドライン』を策定」して公開したのだけれども・・・

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