相変わらず酷すぎる 〜 国交省が、「『不動産IDルールガイドライン』を策定」して公開したのだけれども・・・
ざっと資料を流し読みした段階ですが、幾つか重要な点を指摘しておきたいと思います。
「ルール」ではなく「仕様」
まず、「不動産IDルールガイドライン」を策定と言いますが、これ、基本「不動産IDの仕様(specification)とガイドライン」でしょう。これは以前から何度も指摘してきたことですが、「不動産ID」という一種の規格の仕様であります。「ルール」だ「ルール整備」とか言うから「制度」か何かだと誤解する人が大量発生するのです。(日経新聞も誤報レベルでやらかすし)
「仕様とガイドライン(またはルール)」なら(仕様とそれの取り扱い・実践ガイドラインという意味で)まだ分かる(し良くある)けれども、「ルールガイドライン」ってさ、あのね・・・。
アチャー・・・って感じですね。
「不動産IDガイドラインガイドライン」と言っているようなもの。もうさ、頼むよ。(と、例の「もどかしくて頭を掻き毟りたくなる瞬間」)
追記:この件、別途「不動産IDが『ルール』でなく『仕様』であるべき理由」で詳しく解説しました。
誰が策定したのか
「~不動産IDルール検討会の中間とりまとめを踏まえ、『不動産IDルールガイドライン』を策定~」ということで、主語は省略されていますが、「踏まえて(国交省が)策定した」ということで良いのでしょうか。つまり、「国交省策定不動産ID仕様とガイドライン ver 1.x」、みたいになっていくということで。
で、今後の改定や相互運用性(インターオペラビリティ)にまつわる質問対応などはどこで誰がどうしていくのでしょうか。
不動産IDの仕様書とガイドラインの公開場所が「報道発表資料」に「添付」は酷い
今後、各事業者などの主体が、この不動産IDの仕様書とガイドラインを参照していくと思うのですが、それが、メディア等向けの「報道発表資料」の中の「添付資料」扱いなのはどうなのか、というか、ちゃんとした「不動産IDのページ」を作り、将来的にも向けて、そこで仕様書やガイドラインだけではなく「検討会の議事録等」を含めて、しっかりと整理してまとめて公開していくべきです。
こんな資料がてんでんバラバラなところにあるのはオカシイと思わないのでしょうか。デジタル庁、一体なにをしている。
いまだに「霞が関パワポ」「官僚パワポ」
以前、「いまだに蔓延する『霞が関パワポ』の問題点」で詳しく書きました通り、官僚が作るあの破綻したPDFファイル(霞が関パワポ)だけで仕様を公開してくるかどうかも注目していましたが、最終版では、まともな文章版も用意してきたことだけは、評価をするというか、あまりにも当然のことではありますね。
むしろ、いまだに「霞が関パワポ」版も用意して公開もしている、ということ自体、感性が異常です(さんざん指摘されていることなのに気が付かないという内向き思考というか利用者度外視というか傲慢さというか)。読みにくいし伝わりにくいし害にしかならないし、作るのも無駄な労働だろうし、削除して頂いて構いません。
「不動産IDで『おとり広告』を排除」が消えた
以前、「不動産IDで『おとり広告』が無くなる、というデタラメ」で詳しく書きました通り、不動産IDで「おとり広告」は排除出来ません。しかしながら、国交省の当初からの資料では、不動産IDの「ユースケース・メリット」の一つにずっと挙げていました。そして、それを元に日経新聞も誤報レベルの記事で報道してしまっていました。
今回の発表では、「おとり広告」の排除、なんていう一文どころか、単語も完全に消え失せていました。ま、当然です。 まともな文章版にはなく、「霞が関パワポ」版にはまだ残っていました。Orz。一体、どこの**があんな事を言い出したのだろう。トンデモナイ無知だ。
その他
ざっと読んで、ぱっと思いついただけで、これだけの問題点あるので、あとからもっともっと沢山出てくるかも知れません。
追記:
ぐちゃぐちゃな「霞が関パワポ」版だけに存在する内容ですが、
あー、やっぱり。おそらく「標準化(団体・活動)」という概念すら知らないんだろうなぁ。本来であればいの一番に登場する言葉のはずなのに。
「『不動産ID』の仕様策定も標準化団体を設立してそこでやるべき」でも(他でも)書いてきましたが、「日本の不動産業関係者はみな、『お上がやることでしょ』と思考停止してきただけなのです」
日本の報道機関も同様に無知だし、どうにもならんすね。
情けない。
続き:「不動産IDが『ルール』でも『ガイドライン』でもあるべきではない理由」
関連note:「『不動産ID』についてひとこと」、「バズワード化する「不動産ID」〜日経新聞の記事についての感想」、「標準化が進まない日本〜理由は『自分が損をしてでも人の足を引っ張ろうとする日本人』? 」、「米国版『不動産ID』、RESO UPIの事例を紹介」 、「『不動産ID』の仕様策定も標準化団体を設立してそこでやるべき」、「不動産情報デジタル標準化の覚書」
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