先程、「『不動産ID』の仕様策定も標準化団体を設立してそこでやるべき」を書きましたが、その中で簡単にアメリカの「不動産ID」に触れました。
ついでなので、参考までにその詳細を紹介しておきたいと思います。因みに、日本語での情報は一切ありませんでした。 <酷い話しだ。
(追記:関連で、「不動産IDが『ルール』でなく『仕様』であるべき理由」も書きました)
まず、米国版の「不動産ID」と言っても、RESO(Real Estate Standards Organization)標準は総合的な不動産標準なので、データフォーマットやデータ・ディクショナリーやWeb APIを含めた一連の仕様の中の一つにすぎません。
(追記:RESOについて、「不動産の標準化組織 RESO(Real Estate Standards Organization)とは」を書きました)
固有のIDは、RESO Unique Identifiersとして規定され、その内の一つがRESO UPI(RESO Universal Property Identifier、RESO ユニバーサル・プロパティ・アイデンティファイアー)です。
この、RESO Universal Property Identifier (UPI)が、日本でいう「不動産ID」に相当するわけです。
このRESOのページには、UPIビルダーといって、住所入れるとUPIに変換してくれるツールがあって、逆のUPI入れると住所が表示されたりもします。なにげに、それらの変換処理を提供するAPIも用意されているという、便利な感じになっています。
(英語圏だとAPIの仕様書とかこういう感じのが多いーブラウザ上で実行して試せたりするやつ)
RESO UPIの仕様書はここ(ZIP)。正式名称は「Universal Property Identification System Specification v1.0」。
具体的なサンプルは「US-36061-N-S-010237502R1-113」みたいな感じ。内訳は、{COUNTRY}-{SUB-COUNTRY}-{SUB-COUNTY}-{PROPTYPE}-{LOCAL-ID}-{SUB-PROPERTY-ID}、みたいな。
因みに、{LOCAL-ID}はどこから来るかというと、“parcel number”って言って、行政が課税などをする対象としてID番号を振っているのでそれを元にしているとのこと。
日本の「不動産ID」は法務局の「不動産番号」を元にすると言っているから筆単位にIDがつく=複数筆にまたがる土地を取引する場合の不動産IDの取り扱いの問題がでてくる。一方で、日本の宅地の評価単位は、「1筆単位で評価するのではなく、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)ごと」だから、そのIDのほうが楽だったかもしれんとも思いながら、日本の場合、土地と家屋別で登記したりして権利設定するし、まぁ、実際はかならずしもその単位ごとに取引されるとも限らないし、そのIDをどこで入手するのか方法が謎だし、そもそも存在するのかどうか分からんし、と、いろいろある。それであれば登記簿謄本の入手方法はずっと簡単で不動産番号はすでに広く使われているからってのもありますけれどもね。
以上っす。