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後編:プロ24年目でフリーランスになったフォトグラファーが1年目なのにナショナルジオグラフィックの表紙を撮影できた!

どうも、晴れ男☀️花井亨Toru Hanai(@toruhanai)です。

 ナショナルジオグラフィック(トラベラーフランス版東北特集号2020年1月発売)の取材旅行は2019年の真夏でした。全行程ででおよそ1万回のシャッターを押した中で表紙の写真に選ばれたのがこちらです。

 何処だかご存知ですか?

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山寺のこと何も知りませんでした!

 山形県山形市にあります、宝珠山立石寺です。山寺という名で知られる天台宗のお寺です。松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を読んだ場所としても知られています。しかしながら私は、

こちらに取材に行くことが決まるまで、山寺のこと何も知りませんでした!

 フランスから来日したナショナルジオグラフィックトラベラーの編集長と同じくらいのフレッシュな気持ちで、山寺に入山しました。

あらかじめナショジオ編集部からの写真心得として、「トラベル写真ではなく、ドキュメンタリー写真である」とあったので、今回、私に求められているものは、絵葉書のような美しい写真ではない、それが必要ならそれ専門のフォトグラファーの方か地元の方にお任せすればいいはず。今回私に求められいたものは、この日、この時にしかない瞬間や感動を撮れるか?その1点に集中しました。

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 さながら編集長が芭蕉なら、私は弟子の曽良でしょう。芭蕉とともに山を登り、同じ感動を共有したい。そんな想いで登山口から山門に歩みを進めました。こういう撮影の時に特に私が意識することは以下のとおりです。

📷道を戻ることは出来るが、光を戻すことは出来ない。
📷同じ道でも、行きと帰りとは景色は全く違う。
📷風景といえども、(入り込む人も含め)本当にいい場面は一瞬。
📷そして、せっかく初見なので、その感覚を最大限に活かす。

 ただ、この日私は2つの重要な情報をミスっていました。ひとつは

 山寺の石段は全部で1050段もある事。

 そして、もうひとつは

 この日はこの夏一番の暑さで、山形県なのに36℃もあったこと!

 私以外の人は山登りにあわせて軽装ですが、そこはフォトグラファー。24−70mm f2.8と70-200 f2.8をつけた2台のSonyα9と予備のバッテリーや念の為の超広角レンズを’当然’持っての登山。登りはさながら修行の気分でした(汗)

 その苦労もあり、山寺のハイライト、納経堂では晴れ男の本領を発揮して最高の天気と光線を得られ、このナショナルジオグラフィックトラベラー東北特集号の表紙を飾るショットに巡り会えました。

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 私にこの素晴らしい景色に対して俳句を読むことは出来ませんが、俳句を読むようにシャッターをおしました。ちなみに余談ですが表紙採用の写真は’登り’ではなく、’下り’のときに撮ったショットです。息の整い方が違うのか、同じ場所でも行きと帰りとでは写真が全然違いました。だから、「さっき撮ったから、いいかな。」ということは決してなく、もっともっと素晴らしい瞬間があるから、それを撮る準備をいつでもしていないといけないな。そう感じることも出来ました。
 

きっと下りでは、登りでは聞こえなかった

  岩にしみ入る蝉の声

が聞こえたのかもしれません。

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