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エネルギーは「漲(みなぎ)る」エナジーは「吸い取られる」

語勢としては1980年代まではドイツ語語源のエネルギー
(Energy)が優勢で、手塚治虫が亡くなり(1989(平成元)年)
「ウィザードリィ」でエナジードレインが使われたのと
『美少女戦士セーラームーン』シリーズで「エナジーを
吸い取られる」表現が強くなって以降は英語語源の
エナジー優勢と言われている単語ですが。

https://www.fcenergie.de/start.html

これに加えてジャパンエナジーを名乗っていたJOMOが
結果的にENEOSに(合祀)合併されたこともあり、
特に平成時代においてエナジーの意味が負の方面に
位置付けられた単語になっていたのは想像に難くない。


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/JOMO_CUP

まあ結びつけ方としては乱暴な一面もあるのですが、
エナジーってコトバ自体がいつも結局見城徹の喰い物に
しかなっていなかった「尾崎豊の末路みたいなもの」
でしかないのは一面の真実ではあると。

一応卑近な例で言うと、こんなお題が提示されたことが
あったのですがそれに対しての解答をリライトして
ひとまず展開してみる。

たとえば尾崎豊数曲や、ドラゴンボールや妖怪人間
だったり。
でも、「カバー曲」の印象として捉えたらこの三つは
三者三様だなあ。
 尾崎豊はこの頃から漂ってたヤク漬けソニーのヤバさ
と、ゼロ年代を盗み取った挙げ句TOBして株式市場
からもトンズラした幻冬舎とその社長(見城徹)の陰が
チラチラして一番印象が悪い(歌のトーンだけを考え
れば実力差こそ出やすいけど、あまり無理せずに歌える
曲が多くてドギツくないから使われやすいのですが)。

 ドラゴンボールはまあ魔改造日本産アニメのいまや
柱ですからヘタに文句を言いたくないところ(まあ
ほとんどは後半のビーイング路線ではなく「ワンピース」
にまでつながる田中公平路線の支持が大半でしょうし)。
妖怪人間ベムは元のアニメが不運レベルだったのは
「ドロロンえん魔くん」並みだったわけだし、「怪物
くん」などと同じくNTVコスプレキッズ向けドラマ
路線に乗っかったのもあって、今時期に受けたのを
生暖かく見守りたい一面はある、と。

(なので元図書館司書の基礎行動としては、カドが取れて
ガワだけになってしまったところと、(厳冬)社と、
文春の文庫だけは「綺麗に捨てられている、黄色い
護美捨て場」で拾ってくるもの、になるんですけど)

 まあ婉曲表現を使うのは、もともと日本語なんてデレデレ
した長ったらしいコトバではあるので、別にそんなにも
長いことを気に病むことはないんですよ、といふ寛容の
日本語論を信用しているからだな、と思う。

しいて日本語だけで語ろうとすると、えらくふにゃふにゃ
して足腰のない、わかりにくい文章である、(中略)
それはそのはずで、(中略)情緒を牛のよだれのごとく
メリもハリもなくだらだらと書きつらねたものだから、
あの方式(平安女流文学方式)でガッチリした論理的な
文章を書くのは無理なのである。

高島俊男「漢字と日本人」p118

でもそれを「かな文字」と連綿で同人誌的に書き継いで
きた歴史があったからこそ筆文字をベースした文学が
成立したわけであり、その種別と目的が別れていたから
こそ韻を踏みまくるだけのスカしたラップ文に対して
「オヤジギャグ」といふ大事な堀川が出来たのは
双方にとっても幸せだった、と観ることも出来るような。

実は言語というのは、その言語を話す種族の、世界の
切りとりかたの体系である。だから話すことばによって
世界のありようがことなる。言語は思想そのものなのだ。

高島俊男「漢字と日本人」p178

最期は市井の論客として亡くなられてしまいましたが、
ゼロ年代に読む価値のある文章と言語論を百花繚乱だった
頃の「週刊文春」で逐一やっていた、手本はやはり
高島俊男の「漢字と日本人」(文春新書198)かなと。

みんなそれぞれの環境条件があり種族の性質があっての
相違なんだから優劣ではないのに、一本道思想だから、
自分たちとちがうのは自分たちよりおくれているのだと
思うのである。

高島俊男「漢字と日本人」p163

まあ最後に判断するのはあくまで自分だし、ナンシー
関もかつて提唱したように、

「あらゆるコトバは使い手を選ぶ」

なので、あとは「孤独のグルメ」のゴローちゃんの如く
「今日の私(がしっくりくるコトバ)は何バラだ」
で使えばいいのが、道具としてしっくりくるかを選び取る為の
「コトバ」の真髄ってモノでしょう。

なので、やっぱり平成のマイナスイメージにひたすら
まみれたエナジーに縋(すが)るのは厭なので、
私は順接にエネルギーを使うことになるんだろうな、と。

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