マガジンのカバー画像

うたの日366

271
うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。
運営しているクリエイター

2020年2月の記事一覧

2020/2/29(うたの日366)

ころされる夢はいい夢らしいよとぼくをころした人がいう朝/nu_ko(2019/1/11「自由詠」) な…

toron*
4年前
13

2020/2/28(うたの日366)

潔癖にRockとLockを言い分ける舌と私の舌とが交わる/がね(2018/6/9「Rock」) めちゃくちゃ…

toron*
4年前
11

2020/2/27(うたの日366)

ブラックのアイスコーヒー無理矢理に通過させたる喉、変声期/高村七子(2018/8/22「アイスコ…

toron*
4年前
9

2020/2/26(うたの日366)

「夢なんかねえよ」とUFOキャッチャーにつぶやく君のマジな横顔/まつぼっくり(2019/1/13「UF…

toron*
4年前
13

2020/2/25(うたの日366)

つり革に身を委ねている青年のもっと遠くにある目的地/田村わごむ (2018/10/18「身」) 事…

toron*
4年前
11

2020/2/24(うたの日366)

東にはうつくしいきみが暮らしおり朝はいつでもそちらから来る/まちか (2018/12/31「東」) …

toron*
4年前
12

2020/2/23(うたの日366)

人間の頃は自分が嫌だった 夜のガソリンスタンドにいる/白黒つけたいカフェオーレ(2015/6/13「ゾンビ」) 「ゾンビ」部屋に出された短歌なので、ゾンビになってしまった景として読めばいいのかもしれないが、別に「ゾンビ」として解釈しなくても心に残る短歌だと思う。小説や映画の導入部分のような印象があり、その向こうに物語があることを感じさせる。 上の句と、ガソリンスタンドという場面設定になぜか腑に落ちる。ガソリンスタンドは新たな場所へ向かう経由地的な雰囲気がある。ただ、それは人

2020/2/22(うたの日366)

手のなかに異国料理の熱をまだ分けあっている夜の散策/高野 蒔 (2019/3/11「自由詠」) 「…

toron*
4年前
12

2020/2/21(うたの日366)

「ビンゴ」って君が手を上げはしゃぐから僕はビンゴの人じゃなくなる/チェリー(2018/1/9「自…

toron*
4年前
10

2020/2/20(うたの日366)

捕食者とふ権利を我は行使せり鯛焼きなどは頭からゆく/千仗千紘(2019/4/10「自由詠」) 上…

toron*
4年前
10

2020/2/19(うたの日366)

押し倒す両腕の間のやわらかなブラックホール 覚悟はいいか/浦賀エリ(2014/4/9「黒」) 「…

toron*
4年前
10

2020/2/18(うたの日366)

わたくしはbananaの後ろのほうのnaだ あの奔放を受け止めるnaだ/すみまろ(2019/8/3「バナナ…

toron*
4年前
10

2020/2/17(うたの日366)

この星の他には知らずゆるやかに絶滅していくわたしとあなた/かもと(2019/6/22「他」) 「…

toron*
4年前
6

2020/2/16(うたの日366)

知らないでいるのだバームクーヘンも自分がどんな木だったのかを/WPP(2017/4/8「バームクーヘン」) バームクーヘンという素材がもともと好きで惹かれがちなのだけれども、これは上手いなあ、と思った。 まず、バームクーヘンは木ではない。それでも、輪切りにされて並んでいるバームクーヘンたちは自らを元々は木だと思って並んでいる、というのが、どこか可笑しい。でも、永遠に自分の元の姿というか木ではないことを知らないままなんだろうと考えると、せつない。バームクーヘンに感情移入させら