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2020/2/26(うたの日366)
「夢なんかねえよ」とUFOキャッチャーにつぶやく君のマジな横顔/まつぼっくり
(2019/1/13「UFO」)
UFOキャッチャーは100円で1回か2回だけチャンスを与えられて、クレーンを下ろして景品をキャッチする場所を決められる。ただ、下ろす場所を間違えて空振りしたり上手に下ろせたとしてもアームの膂力が足りなくて、取り落としてしまうことも多い。また、はじめから景品なんて半ばあきらめて、100円をゲームに投下して暇を潰すこともある。…将来の夢があり。それに向けて努力しても勿論その通りの夢が叶うひとの方が少ない。その事実と、UFOキャッチャーとの絡ませ方がすごく上手い。
はじめから多くを期待してしまうと、失敗したときに激しくダメージを受けてしまう。「夢なんかねえよ」と吐く「君」の「マジな横顔」は、本気で将来の夢がないというわけではないと読んだ。夢はあるけれど、自分や周辺の様々な状況のせいで難しかったり、それかUFOキャッチャーをしながら将来の話をするのは何処となくシュールな気がするので、主体が君に話を振ったのかもしれない。主体の方はきっと「夢がある」状態で君はそれを気安く口に出せないようにも思える。なので「夢なんかねえよ」というのは君が自分に云い聞かせているセリフなのだろう。主体は「君」の横顔しか見ていないわけだけれど、これは君が何かを掴もうとずっと前を向いているからなのだから。…小説のワンシーンのようですごくすきな短歌。
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