Wikipediaで説明出来ない事を言葉で説明したい。染色体異常とは?
次男は、18トリソミーと言う染色体異常を持っていました。
18トリソミーとは、下記Wikipediaより
【文献によって、誤差はありますが、発生率は1/3000〜1/10000人で、高齢出産になるほど発生するリスクは高まる。 流産する確率も、50-90%と高く、生後の生存率も低く、2ヶ月までには半数が亡くなり、1年生存率は10%程度である。性差で見ると男児の平均寿命は2-3ヶ月、女児の平均寿命は10ヶ月】
流産もするし、障害があって早死にする。文献、ネットの言葉では、そんな言葉しか並らんでなかったのです。
あー、恐ろしや。恐ろしや。これだけ読んだら、完全に罰ゲームです。
でも、産まれて来た息子は天使でした。
お医者さんは、元気に産まれたとしても、笑ったりしないって言っていました。でも、息子は、よく笑ってくれたし、おおらかな子でした。
Wikipediaを否定するわけではないけど、天使な要素を多く含みますって書いててくれれば良かったのにと思います。
沢山の幸せを運んで来てくれました。
初めて息子の病気を知った時
妊娠19週、羊水検査の結果18トリソミーと言う診断を受けました。病気の事をよく知らなかったので、悲しかったとかは、正直なくて、キョトン、そういう感じでした。
例えるなら、生活領域の思いもしない所に排泄物が落ちていたとか、そういう類いの衝撃。思ってもいない時に、パンチの強い物が登場して、なんて言って良いのか分からなくなる。
例えば、それが、リビングや台所に急にあったら、ええっ!って、
なんでー!!ってなる、そんな衝撃でした。
妊娠初期の頃から、胎児の異常を指摘されていたので、頭が真っ白になることもなく、悲しいとかもなく、ただ純粋に驚きだけでした。
「へぇー、ビックリしました。予想外でした。はははー」ってヘラヘラしていました。
羊水検査の結果、18番目の染色体が三本ありました。だから、18トリソミーです。ダウン症は、21番目の染色体が3本あるので、21トリソミーです
担当医は、18トリソミーの赤ちゃんと遭遇した事がなかったようで、確率や憶測でしか話が出来ませんでした。
こんなミミズが並んだ絵を見せられて、3本あります。って言われても
染色体って、あまりにも馴染みのないもので、染色体って何だろう?と考えてもウンともスンとも想像すら出来ないレベルの話でした。
妊娠・出産は、スゴク神秘的で不思議な現象だと思います。おなかが大きくなって、ドンドン身体も変わっていって、
ある日、激しい痛みと共に2000gとか3000gの胎児、羊水に胎盤、それが次々にズボボボッと下から出る。不思議だと思いません?
ピッコロ大魔王が、口から卵を産むシーンは、子供ごころに衝撃的で印象深い物でした。TVでそのシーンが放送された翌日から、子供達はゆで卵を見たらナメック星人になりきり、卵を口に含んで出す事をしていましたよね。
私達にとって、ナメック星人が口から卵を産む事は非日常であるように、
10ヶ月、自分のお腹で赤ちゃんを育てて下から産むと言うのも
経験した事のない人からすると日常からかけ離れた出来事ですよね
ナメック星人の出産・人間の出産どちらも不思議で
言葉では表せない神秘的な出来事のだと思うんです
話を戻しますと文献がこう示している、染色体がこうだからとか、
ダウン症だから、18トリソミーだから、染色体で分類して、
ふるい分ける事が出来ても、
その人自身の存在を一括りにする事は出来ないのです。
正直、こういう風に思えたのは、息子を産んだあとでした。
それまでは、染色体異常・障害を持っている事は可哀想な事だと思っていました。
そして私は、息子の障害や病気を理由に、天秤にかけ中絶しようと考えていました。
その中で人工中絶について調べていると、年間に16万人の人が中絶手術を受けている事を知りました。自殺者は2万人/年なのに対してスゴイ数ですよね。
沢山の小さな命が、産まれる前に終わりを迎えている事を知って怖いと感じずにはいられませんでした。
私の場合、夫や両親の理解もあり産む事は出来たのですが、
年齢的な問題、社会的な問題、様々な問題から
産む事を選べない人もいるのが事実だと思います
出生前診断、人工中絶や倫理や命に関する話、障害児の治療に制限をかける事、デリケートな問題だから、なかなか語られる事の少ない話。
炎上したり、批判する人がいるから、声にださなかったり
当人でないから話すべきではないと言って話さなかったりする
違っていても見て見ぬ振りをするより、
色んな意見を吐き出して、興味を持って考える事で
問題が何か?何を変えれば良いのか?が見えて来るんじゃないかなって
思うんです。
それに気が付く人が、一人でも多くいれば
少しずつ小さな命にも優しい社会になっていくのではないか
こう言う検査が存在するのだから、止むを得ずに中絶する女性に対しても
精神的なサポートが受けらたり、
理解を得る事ができるのではと思います
息子は、10ヶ月という限られた時間しか生きられなかったけど、
彼は、色んな事を分かってて自分達に道を作ってくれたのではないかと勝手に思ってるんです。
知的障害があって、短命だから可哀想な子供では全然ありませんでした。
彼は、笑う事とはなんぞや、楽しく生きる事とはなんぞと言う
大切な事を沢山教えてくれました。
嬉しい事に、家族でもない人から「産んでくれて、本当にありがとうね」って言葉をもらう事がありました。
こう言う言葉って、息子が結婚式で言ってくれたり、息子の嫁が感極まったときに「産んで下さってありがとうございます」って言ってくれるか、言ってくれないかって言葉のはずなのに
もう、王族の子供でも産んだじゃないかなと勘違いするほど、
身に余るほどの有り難いお言葉を沢山もらいました。
出産・障害・医療、様々なケースがあり、
何が正しいとか何がどうとかそう言う事を発信するのではなく、
あくまで、個人的な経験を書かせてもらってます。
誰かの参考になる、ならないかは分かりませんが、
こんな夫婦がいて、家族がいたと言う話です
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