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ドラマ「コタキ兄弟の四苦八苦」【第3話の分析&感想】 A案かB案か、プレゼンバトルの勝者は?

「変なドラマだな」と思う。今回の第3話は喫茶店から一歩もでなかった。いわゆるワンシチュエーションドラマである。場面が動かない以上、ドラマを推し進めるのは“会話”である。コタキ兄弟に喫茶店店員さっちゃんの3人と、ゲストの大学生を加えた4人による会話劇。とても演劇的だ。

今回のレンタルおやじ依頼は恋愛相談だ。オフィシャルの“あらすじ”説明がわかりやすいので引用しよう。

1月24日(金)放送 「三、曠夫受苦」
無職の兄弟、一路(古舘寛治)と二路(滝藤賢一)が始めたレンタル兄弟おやじ。今回の依頼は、男子大学生からの恋愛相談!坂井君(望月歩)は、女性との初デートの場所に悩んでいた…A案は「水族館」、B案は「耳をすませば」
迷える若者のため張り切る兄弟のアドバイスだが、モテない兄とモテる弟で意見は真っ二つ。さっちゃん(芳根京子)も巻き込む大騒動に

A案とB案。
どちらがいいか決められないという。
コタキ兄弟はいつも、他人の人生の「右か、左か」の分岐点に立ち合う羽目になる。
兄は右を薦め、弟は左を薦める。前回の当記事から再掲しよう。

兄は、“過ち”を指摘し、自白を求める。
弟は、“過ち”を許し、逃亡を薦める。

兄は、回り道になろうとも人間社会で生きていくには“理性や道徳”は重んじるべきと考える節があり、
弟は、“刹那的で動物的で”あっても欲求本能を優先するべきだと考えるタチである。

今回の2人のアドバイスは、“持ち時間1分間のプレゼンバトル”の形式で繰り広げられた。タイムキーパーさっちゃん。

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兄はA案の「水族館」を推薦し、おうちデートを非難している。弟はB案の「おうちデート」押し。
プレゼン内容を文字起こししたので転載する。

先攻、兄。

デート。ね。デートというものは男女が互いの距離を縮めるために共に行う催しであって、まずは互いを知るために会い、回数を重ね、その先におうちデートというものが達成される。それがはじめからおうち、はじめから距離ゼロでいいんですかー?密室でふたり。(精神的な)距離が縮まってないうちからの、距離ゼロ。もう無謀でしょう!出会い頭の衝突に等しい!
(1分間タイムオーバーで打ち切り)

後攻、弟。

オサカナを見るより、部屋で彼女とイチャイチャしたい。おしまい。
(53秒も残して終了。「他に言うことねえもん」)


両極端である。
兄弟は、混じり合わず、相乗効果を出さず、わかり合わぬまま、第3話までを終える。

兄は慎重すぎて気が小さく器量も小さすぎるが、弟は軽率すぎて軽はずみで深みも重みもない。
そして、こうしてセリフを文字起こししてみると、“思想が極端”というほどの個性ある意見でもないのも、コタキ兄弟の残念なところだ。ありきたりの事をふたりとも語っている。両極端なだけで。

このふたりがどう混じり合う時がくるのか?それが楽しみだ。
ふたりとも、他人を思いやる気持ちだけはある。表現やアプローチ方法が違うだけで。すごくイヤな奴らではなくて、可愛げがある。
いまのところ、それだけが兄弟の共通点だ。

(おわり)
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