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“プラットフォーム”とは、お皿の下に差し込まれたお皿である。 【マーケティング戦略の観察】

僕がここ1か月に書いたビジネスニュース系の記事は「キャッシュレス決済」とか「スマートストア」とか「ラストワンマイル」といった話しが多かったが、これらはすべて結局のところ、各社間の“プラットフォーム戦略の争い”が気になってるということでまとめられる。

でもこの“プラットフォーム”って言葉は、広くてあいまいな言葉なので、持論を簡単に整理しておくことする。

1、プラットフォームとは

まず、辞書を引くとこういう説明がでてくる。

プラットフォームとは、コンピュータにおいて、ソフトウェアが動作するための土台(基盤)として機能する部分のことである。
プラットフォームとは、そもそも「壇上」や「足場」といった意味を持つ英語である。

つまり語源のはじまりとしてはOSだ。
Windowsのように、その上に各種のソフトをたくさん載せて動く“基盤のこと”である。

近年の大物でいうと、スマートフォン自体がこれにあたるがあまりにオバケなので、もう少し専門業態に特化したのを挙げると「Apple Music」や「楽天市場」がそうだ。

2、プラットフォーマーの条件

ユーザーが集まる“場”を準備して、各社のソフトにはそこの上に乗っかってもらう。プラットフォーマーによる独裁のようにもみえる仕組みだが、意外と“三方よし”のビジネスモデルといえる。

1、「ユーザー」は、あちこちのサイトを探索して比較検討しながら購入するのは大変(いつまでも見逃し感があり検索時間が伸びる)

2、「メーカー」は、一から自社で人の集まる場所からつくって維持継続するのは大変(コンテンツがかたよるので人が集まりにくい)

3、「プラットフォーマー」は、コンテンツを山ほど自分で一からつくるのは大変(多様性に欠けたサイトになる)

こう考えると、現代のプラットフォームになるには、いくつかの“欠かせない条件”があるのが見てとれる。

1、ユーザーが集まっている  (ユーザーがたくさんアクセスする機会を準備できる)

2、類似のことをやりたがっている企業が複数社あり、プラットフォーマー側は中立的にフラットに多くの企業を誘えるポジションにある

3、そのプラットフォームには後追いではつくりにくいユニークネスがある

3、プラットフォームを生み出すパターン

ここ数年みていると、
新たなプラットフォームを生み出す時には、主に3つほどのパターンがあるなと思う。

1、新たなプラットフォームを生み出すと宣告し、あらかじめONする企業を募る (Nintendo Switchなど)

2、似たサービスが市場にないため、とにかく自走するつもりでプラットフォームを先にリリースし、後追いでONする企業にも乗っかってもらう(Amazon Echoなど)

3、すでに複数社の類似コンテンツが市場に出回っているのを発見し、それらを集約できるプラットフォームを後発的に発明する

僕としては、これの「3」に特に興味がある。
イメージのしやすさでいうと、
昔から伝統的にリクルート社がこの「3」をビジネスにしちゃうのが得意だった。就職情報がてんでばらばらだったものをひとつに集約する。美容院や結婚式場が各社バラバラで電話で予約受付していたものをひとつに集約する。

あらためて2020年代、“すでに世の中に出回っているが、まだ集約されていないもの”に気づけることが大きな差を持つのではと予想している。
テクノロジー技術が高まっているので、過去の固定観念で「こんなのできるわけない」と思い込まずに、生活者をよく観察し、何がどうなると便利かを発見することが大切だ。

最近でいうと、
部屋中のあらゆる物理リモコンの電波をひとつのデバイスに集約し、まとめてボイスコントロールできるようにしてしまう技術。

いろんなポイントカードを、ひとつのカードで兼ねてしまう技術。

居酒屋のテーブルにあるメニューを、ひとつのアプリにデジタル化してしまい、そのまま注文までできてしまう技術。

いろんなアイデアを現実化できうる技術がうまれている。

4、プラットフォームとは、お皿の下に差し込まれたお皿である

プラットフォームのことを考える時、僕はいつも“お皿の下のお皿”を想像してしまう。

フレンチとかにいくと、そういう重ねるお皿がある。

一番下にあるお皿は意味がないように思えるが、大きなお皿なので、その上にいくつも小鉢をおくこともできる。

“プラットフォームの争い”というのは、もうそのお皿だけでも成立しているのに、いつのまにかそのお皿の下に“そっと差し込まれたお皿”である。下へ下へと差し込み合う。
一番下にあるほど、上に乗っているものたちの課金を集めることができる。

そういう目線でみると、「ああ、このプラットフォームは、あのお皿とあのお皿のあいだに差し込まれたお皿だな」とか、分析できるようになってくる。

“スマートスピーカー”は、どのお皿とどのお皿のあいだに差し込まれたお皿か。いろんなレストランのテイクアウトがアプリでできちゃう“LINEポケオ”は、どのあいだに差し込まれたお皿か。
じょうずに下のほうに差し込む瞬間を見ると、感心するよ。

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