2022年秋アニメ感想 サイバーパンク:エッジランナーズ
この街で伝説になるやつはみんな死んだやつさ。てめぇもせいぜい、あがくように生きることだな。
まずは俺たちが住む、この素敵な街の紹介から始めようか。
ナイト・シティ。
この街に長がいるのかどうか知らねぇし、国の管理が行き届いているのかどうかも知らねぇ。この街にいるのは、天上人とドブみてぇな掃きだめに住んでいる底辺クソ野郎だけだ。
見ろよ、日本語だ。あっちにもこっちにも日本語。天上人にお住まいになっているクソ共はみんな「アラサカ」とかいうジャップの企業にお勤めだ。奴らは俺たちの国を根こそぎ買いしめて、自分流に変えやがった。ここはアメリカだぜ。クソジャップめ。どこの国かわかりゃしねぇ。
そんなクソみてぇな天上人に見下ろされながら、俺たちは這い回るように日々生きている。どうせあがいてもろくでもない人生しか送れないんだ。好きにやらせてもらうさ。ジャップの企業にお勤めして、毎日下らない仕事を繰り返すよりも、俺は俺らしく太く短く生きて、名前が残っていけばそれも悪くないだろ。そういう生き方ができる街が俺たちの街:ナイト・シティさ。最低の街だが、サイコーの街でもあるのさ。
『サイバーパンク:エッジランナーズ』の元ネタはポーランドのゲーム制作会社が作った『サイバーパンク2077』だ。さらに元ネタはテーブルトークRPGらしいが……。ハッ! 俺はゲームなんてやらねぇんだ。知らねぇな。
『エッジランナーズ』はゲームの前日譚的な話らしいが……過去のことはどうでもいいさ。アニメを作ったのはTRIGGER。『キルラキル』や『リトルウィッチアカデミア』とかいうガキくせぇアニメを作ったところだ。小便くせぇ連中だが、いい仕事をするんだぜ。監督は今石洋之。こいつの名前は俺でも知ってるぜ。“伝説”だからな。『天元突破グレンラガン』『パンティ&ストッキング』そして『キルラキル』。見た目はパッとしないオッサンだが、腕前は超一流だ。オッサンの作ったイカしたアニメは、世界中で知らねぇやつのほうが少ない。
アニメはゲームをベースに作られているそうだ。だからアニメで見た風景をゲームでなぞることもできる。最近のアニメじゃロケハンってやつもやるそうだが、このアニメに関しては、ゲームの中をロケハンして美術設定を起こしたそうだ。なかなか粋なことするじゃねえか。
お話しはとあるストリートチルドレン……ナイト・シティのクソ底辺のガキが、いかにして登りつめて、伝説になっていったかが語られる。天上人アラサカに一杯食わした、サイコーなお話しさ。
どこから始めようか。
伝説ってやつは、そいつのお話しだけですべて語れるわけじゃねぇ。いろんな要素が絡み合って、やっと一つの伝説ってやつになるのさ。
そうだな……デイビッド・マルティネスっていうガキの話から始めよう。
ディビッドが何者か……というとアラサカアカデミーに通うガキだ。おっと、席を立つのはまだ早いぜ。ちぃと長い話になるが付き合ってもらう。
俺たちの街じゃなんでもアラサカだ。学校もアラサカ。アラサカが学校を運営して、就職先もアラサカ。クソ……。国はなんにもしねぇのかよ。どーせ水も電気もアラサカだ。ディビッドってガキはそういうアラサカの学校に通っていたんだ。
成績はあんがい悪くなかったみたいだぜ。おつむの出来は良かったんだ。
だが頭の出来はよくたって、上流階級のお坊ちゃんが通う学校じゃ、浮いてしまうのも仕方ない。ディビッドの家庭はクソみたいな底辺だった。父親はいなかった。母親は救急救命士。立派な仕事だが、給料は安いし、身寄りのない1人親だったからどうにかこうにか上流階級の暮らしにかじりついている……そういう状態さ。母親との関係は冷め切っていたし、天上人のお坊ちゃん達はディビッドみたいな暮らしのガキを見下してやがった。学校の中にも外にもディビッドの仲間なんていやしねぇ。
第1話の絵を見てくれ。ディビッドはナイト・シティのクソみたいなスラムを歩いているだろ。スラムは家なし仕事なし正気なしのクソ共しかいねぇ。ディビッドはそういう連中と一線を引いている。スラムに住んでいるが、スラムに馴染んでない。第1話の頃はまだアラサカの出世コースにすがりついていたのさ。
だが、交通事故を起こしてしまう。どこかの抗争に巻き込まれたのさ。派手な襲撃戦でディビッドとその母親が乗っていた車が吹っ飛んじまった。間もなくトラウマ・チームが駆けつけたが……ナイト・シティに“公的機関”はほとんどない。トラウマ・チームも“民間”の医療企業だ。民間の救急チームは金のあるやつしか救わない……知ってるだろ? それで瀕死のディビッドの母親はその場に放置されて、そのままおだぶつさ。
最低な話だろ。だから人命に関わる公的サービスは国が運営し続けるべきだったんだ。どこの誰だよ、「民間に任せればサービスの質が上がって、価格競争が起きるから値段も安くなる」とか言ってたやつは。資本主義の原理になにもかも委ねた結果、金のあるやつしか救われない世界ができちまった。俺たちが豚共のエサみたいな暮らしをするようになったのは、資本主義のせいさ。新自由主義(ネオリベラリズム)なんて滅んじまえ!
ディビッドのその後を見ろよ。第2話じゃ、ディビッドが一線を引いていたスラムのクソどもと同じ場所にいる。あのガキはとうとう、スラムのクソ共と同じ場所に堕ちちまったのさ。
親も金も失って、とうとう進退窮まったディビッドだったが、親のパソコンを調べていると、知らねぇ口座が一つあることに気付いた。そこに結構なお金が入ってやがった。事故ったときの母親の荷物を引き受けたんだが、そこにはなんだかわからねぇ軍用のインプラント・サンデヴィスタンが混じってた。
わかるか? ディビッドの母親は、息子をアラサカの学校に通わせるために、アブねぇ仕事をやっていたのさ。救急救命士だったからな。そこでちょいとモノをちょろまかしてたのさ。泣ける話だろ。息子の将来のために、母ちゃんは1人罪を被り続けていたのさ。
そこからの話が傑作だ。ディビッドはその軍用インプラント・サンデヴィスタンを自分の体に入れちまったのさ。ちょうど例のインプラントは盗難騒ぎが起きていて、買い手はつかねぇ。しかも合う合わないが極端なヤベー代物だ。ディビッドは覚悟を決めたのさ。どうせクソったれな人生だ、堕ちるんだったらどこまでもって、サンデヴィスタンを自分の体に入れちまったのさ。
そのサンデヴィスタンを体に入れるとどうなるか。ハハッ! すげぇんだぜ! 体がサイコーにハイになって、ものすごいスピードで走れるし、異常な力が出せるんだ。体中にクロムとか入れなくても、スーパーマンになれるのさ。チートアイテムだったんだよ。
特にサンデヴィスタンが発動したときの映像がサイコーでな。自分がどう動いたのか、周りがどう動いたのか、ぜんぶ残像になって見えるようになるんだ。ちょいとカラフルなブレットタイムってやつだな。インプラントを装着しているやつには、その瞬間に起きている全部の現象が見えてるんだ。
時間はすべて連なっているものじゃなくて、フレームごとに区切られている……っていう話は知ってるか。まあ、考え方の一つだな。映画ってやつは、画が動いているわけじゃねぇ。ものすごいスピードで静止コマを連続させているから、人間の目には動いて見える。現実も1秒1秒の動きが静止コマだったら……どうだ。ディビッドは現実が静止コマになっている瞬間が見えるようになったのさ。
あんなイメージを、TRIGGERの奴らはクスリも使わず描いたんだ。イカレた連中だろ。だから最高なんだ。
さあ第2話だ。ディビッドは「堕ち」ちまった。アラサカの出世コースから外れた。するとどうなるかわかるよな。ナイト・シティには天上人と底辺クソ野郎しかいねぇ。ディビッドは晴れてクソ野郎の世界に堕ちてきたのさ。
だがあいつにはまだ運があった。電車の中でルーシーって女と出会うことになる。良い尻したイカした女さ。やべ、勃起してきたぜ。とにかく見ているだけでもたまんねぇ女さ。ルーシーはその時、小遣い稼ぎのスリをやっていたんだが、そこでディビッドとルーシーは出会った。
第1話を憶えているか。ディビッドは通学の途中でこのたまんねぇ尻をした女を見かけていた。だが、いつも残像のように感じていた。それはまだディビッドがあちらの世界に堕ちていなかったからさ。ルーシーはアラサカの成功者の中に紛れ込んでいたけど、本当はあちらの世界の人間じゃない。幻覚みたいな存在だったのさ。
ルーシーは腕のいいスリだったが、サンデヴィスタンを入れているディビッドからすればスローだった。そんなディビッドにルーシーは手を出して失敗するんだが……逆に脅しかけてやるとディビッドは「一緒にやる」と申し出たんだ。ルーシーが狙っているのはアラサカのメモリーだけ。ディビッドもアラサカの連中には恨みがあったから、一緒にやりたいと申し出たんだ。
それで一瞬はいいコンビだったんだが……。「美人局」ってやつだな。手を繋いで一緒のベッドに入って目を覚ますと、こわーいおじさんがいたってやつさ。ドキドキワクワクの初体験が怖い体験に早変わりだ。
このオッサンがメインって野郎で、ナイト・シティでもやべーソロさ。実はディビッドの体に入れたサンデヴィスタンってやつは、本当はメインってやつが受け取る手はずになっていた。それを知らないでディビッドってやつは自分の体に入れちまった。
だがディビッドってやつはもともと頭の良い奴だった。体をえぐられてサンデヴィスタンを抜き取られる……ってところで取引をしたのさ。「俺はサンデヴィスタンの力を一日何度も使える」ってな。サンデヴィスタンってやつはピーキーな代物だから、一日のうちになんども力が使えるもんじゃねぇんだ。本当なら激しい副作用が来るはずだ。ところがディビッドってやつは何度も力を使えて、副作用も起きない。まあ、一日で何発も射精できるやつって感じだな。ディビッドはメインの前で、一日に10発もイケるところを見せたわけさ。これが決定打さ。
ここまでサンデヴィスタンに適合できる人間はいない。俺がお前の手足になってやる……。ディビッドはメインにそう申し出たのさ。メインは苦し紛れか知らねぇがそう言うディビッドを面白がって、自分のチームに入れた。
ここからがやっとディビッド伝説の始まりさ。ずいぶん待たせたな。
だがディビッドの体にサンデヴィスタンが入ったことはアラサカの連中にも気付かれていて、ディビッドは知らずに監視対象になっていた。アラサカの連中、なにか危ない何かを企んでいて、ディビッドをモルモットにする気さ。資本主義の豚は恐ろしいねぇ、人間の命や人生をなんとも思ってちゃいねぇ。
チームに入ってみると、メインは恐ろしい男だが、面倒見のいい男でもあるんだ。まだガキでしかなかったディビッドを案外かわいがったの。きちんと教育するし、危なすぎる仕事には回さない。収入が入ったら、下っ端のガキにもきっちり分配する。メインは義理堅いいい男だったからな。
憶えてるか、ディビッドには父親がいなかった。強い男のロールモデルってやつがなかった。ディビッドはメインの姿に「父親」を見始めたのさ。
それからはディビッドは意外といいチームメンバーになって、メインやルーシーといろんな悪さをした。ディビッドがアラサカアカデミーに通っていたときは、ずっとダチ1人もいなかった。心許せる仲間1人いない。孤独だった。ディビッドはメインのチームに入って、ようやく気の許せる仲間と巡り会えたのさ。むしろ底辺の世界の方にディビッドは馴染んじまったのさ。
ナイトシティで危険な仕事を請け負う連中のことを「ソロ」って呼んでいる。出世コースから外れてどうにもならなくなったクズどもが仕方なくやるような仕事さ。だがそのソロってやつの雇い主をずーっと遡っていくと、不思議なことに天上人に行き着く。
ナイトシティでも凄腕のソロだったメインのボスはファラデーってやつだった。こいつは素性の知れねぇやつだと言われているが、どうやらミリテクの社員らしい。ジャップの企業、アラサカのライバル企業のミリテクだ。どうりでいけ好かねぇスーツ着て高級車乗っていやがる。
俺たちはそういう天上人の依頼を受けて、相手側企業にダメージを与えるような仕事をやっている。依頼主は誰なのかも知らず、それが何なのか知らず奪ったり破壊したり……そんなことをやって、誰に利するのかってそりゃ大企業の天上人ってわけさ。大企業の綺麗な履歴書の社員じゃできないような仕事を、俺たちが代わりにやってあげているのさ。
ナイトシティはどこまでもいっても、資本主義の奴隷なのさ。俺たちドロップアウトした底辺ゴミは豚共の理屈から自由であるつもりだったけどさ……自由なんてものはどこにもありやしない。ナイトシティって場所はそれ自体が巨大な牢獄――ヘヘッ、俺も詩人みてぇだろ。
お前らの時代じゃどうだか知らんが、俺たちの時代じゃ、体はどんどん改造するものだ。体中にインプラントやクロムを入れてどんどんパワーアップする。こうやって俺たちは“人間”を超えるのさ。こいつがサイコーにハイでな! へへ、わかるか、パンチ一撃でコンクリートの壁を破壊できたりもするのさ。俺たちはお金次第で、いくらでも超人になれるのさ。
まっ、そうまでしなくちゃいけねぇのは、俺たちは天上人になれなかったから……だけどさ。天上人の綺麗な体の連中にゃわからねぇだろうな。天上世界にいけなかった代わりに、俺たちは自分の体を改造する。このイカレた世の中を生きるためには、体をいじるしかないのさ。
でもな、俺たちのアメコミヒーローじゃあねぇんだ。体をいくら改造したって、脳みそがそれに追いついてくれるわけじゃねぇ。インプラントとクロムで銃弾を弾き飛ばす体、何メートルでも跳躍できる足、鋼鉄を砕く拳を手に入れることができるわけだが、人間の脳みそはそんなふうにできることを想定していない。脳みそが想定していない以上の身体能力を人間が発揮し続けたらどうなるか……。そいつがサイバーサイコシスだ。「人間性の崩壊」ってやつだな。
全身クロムだらけで生身もなくなっちまったやつほど、サイバーサイコシスになりやすい。脳みそが想定していない以上に体を使い続けていると、壊れちまうのさ。俺たちは人間以上の存在になれるが、それは神様が許しちゃくれねぇのさ。
その予兆がやってくると、死神ってやつが微笑みにやってくる。……お前達はこういうのを「伏線」っていうんだろ。知らねぇけど。
第4話『Luckyyou/ツキが回ってきて』でサイバーサイコシスがどういったものかわかりやすく説明される。ようするにイカレたやつそのものが出てくる。小便男の登場だ。ケケッ、ジャップのアニメだけど表向き海外製だから、チャチなモザイクなしで逸物が堂々と出てきやがる(なんでジャップはチンコにモザイクかけるんだろうな? 意味不明だぜ。ジャップにしかわからねぇルールでもあるのか?)。この無限に小便たらしながら暴走するイカレ野郎のおかげで、見ていればどんなバカにでもサイバーサイコシスがどういうものかはっきりわかる。
続く第5話『All Eyez On Me/刺さる目線』で疑似体験ながらサイバーサイコシスがどういった状態なのかが深掘りされていく。
その次の第6話でメインがサイバーサイコシス化だ。メインに迫ってくる運命を、3話もかけて丁寧に掘り下げられた……ってわけさ。
そういえば第6話には奇妙なシーンがあったな。まだ生身でヒョロヒョロだったメインが、荒野を1人で走っている。ありゃなんだったんだろうな?
俺たちはな、エッジランナーだ。要するにカミソリの上を這い回っているナメクジみたいなものさ。ナイトシティの底辺から這い上がろうと思ったら、危ない綱の上をどんどん突っ走らなくちゃいけねぇ。立ち止まったら終わりだ。全身をサイボーグ化させて、一番危険な仕事を、ビビってねぇみたいなフリして飛び込んでいかなくちゃいけねぇ。そうしなくちゃ、ナイトシティで名前が語り継がれることもない。
俺は思うのさ。人間はな、世の中に対して何かを残してぇのさ。女は子供を残すことができる。だが男は何を残せる? “俺がいた”という証をどうやって残せる。出世コースから一度外れちまったやつはどうやって俺がここにいた、という証を残せる? ナイトシティの底辺に堕ちちまったやつはよ……。もうチャンスはねぇのか?
飛び込むしかねぇのさ。命綱をつけずにバンジージャンプさ。それで一番高いところから飛び降りたやつが、死ぬ代わりに名前だけが残る。この街で名前が語り継がれるのは、死んだやつだけなんだ。
メインはいい男だったさ。アブねぇ仕事を一杯こなして、仲間の面倒を見て、ソロ界隈にも知られたやつだった。でも死んだら……ボンッ! 一瞬して忘れ去られた。「メイン? 誰だそいつは……!」。ナイトシティの掃きだめで生きるってそういうことさ。自分がそこにいたという記録も記憶すらも残されない。
だがナイトシティの底辺共はみんな思う。俺だけは憶えて欲しい。情けねぇやつはベッドで女をヒィヒィ言わせながら突き上げている最中に、泣きながら言うのさ――「僕のこと忘れないでねぇ」ってさ。だがいくらテメェの逸物で一生懸命突いても、死んだら忘れられる。もともとゴミだからな、俺たちは。お前もその辺に捨ててあったゴミがなんだったか、憶えてねぇだろ。俺たちはそういう存在だ。
俺たちの世界で寿命まで生きる……なんて希望は持っちゃいけねぇ。というかそんなのは無理だし、クソを撒き散らすだけのジジイまで生きる意味はもっとない。俺たちは生きている意味、存在している意味が欲しいんだ。ただ長く生きている時間を引き延ばしたい……そんなこと考えている奴ぁいねぇのさ。
だからみんないつかはでけぇ仕事をやりたいと思うのさ。底辺の仕事から這い上がってフィクサーにお目通りを願って……な。
第7話以降のディビッドは伝説への挑戦だ。あのガキはメインが果たせなかった高みを目指したのさ。たいしたもんだぜ。最初の頃は、1人じゃなんにもできない、アラサカアカデミーのお坊ちゃんだと思ってたんだがな。
だがそれはサイバーサイコシス化との戦いでもあった。あのガキも、最終的には全身クロムだらけになっていやがったからな。テメェの人生が終わるか、テメェの理性が終わるか……そのギリギリの戦いを挑んだのさ。そうやってやつは――伝説になった。
まだ見てねぇってなら『サイバーパンク:エッジランナーズ』はオススメだぜ。とにかくサイコーにイカレたアニメだ。とにかくもアクションがいい。特にクライマックスに向けたアクションはぶっ飛んでやがるぜ。前半のアクションがオママゴトに見えるくらいさ。
あれだけの動きを手作業で作り上げたってのが信じられねぇぜ。TRIGGERの連中は本当にクスリもインプラントも入れてねぇのか。奴らはサイコーのサイコだぜ。
原作の『サイバーパンク2077』はリアルなスタイルで作られたクライムアクションで、あれはあれでサイコーだったんだが、TRIGGERが作り出した……躍動感っていうのか? 現実を超えた動きをいかにして「表現」するか……そいつがサイコーだったんだ。サンディヴィスタンを発動させたときのあのカラフルなブレットタイムもそうだし、サイバーサイコシス化したときの目の痙攣。リアルじゃねぇんだ。カーチェイスもそうだな、ぜんぜんリアルじゃねぇ。シュール……超現実ってやつだな。リアルな表現の中ではあり得ないケレンをアニメの中で作りやがった。「漫画的」だからこそ、リアル/写実的表現を超えることができた。こういう表現ができるからアニメはサイコーなんだ。
本当にTRIGGERの連中はクスリやってねぇのか? 逆に危ねぇかもしれねぇな、それは。
へへッ、おめえさんは「どうせアニメなんて、ジャップのデブのオタク連中しか見ねぇだろ」……とか思ってやがるな。そうでもないぜ。アニメが発表された後、本家『サイバーパンク2077』に復帰したプレイヤーが1日で100万人にもなった。日本だけじゃねぇんだぜ、世界中でアニメが視聴され、ゲームに戻ってきた連中がそれだけいたのさ。
『サイバーパンク2077』はゲームが発売された最初の頃ってのはあまり評判がよくなかった。バグだらけでな。旧世代ゲーム機であるPS4ではゲームにならないような状態だったとか言われている。未完成状態で発売されちまったのさ。
それから1年かけてデバッグとアップデートを繰り返して完成形にもっていったんだが、その頃には『サイバーパンク2077』は忘れられたゲームになっちまってた。ゲームってやつは発売から数日か数週で評価が確定しちまうんだろ? ゲームやっているオタク連中からすれば、『サイバーパンク2077』はバグだらけの中途半端な作品……ということで忘れ去られかけていたのさ。
それがこのアニメが救った。ゲームの販促としては最高の効果を上げたといっていいな。このアニメはアニメの中だけで伝説を作っただけじゃねぇ。アニメの外でも伝説を作ったのさ。たいした作品だろ?
※ 今回の感想文はナイトシティの住人に聞き書きして仕上げました。……ウソです。
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