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メイドインアビス第2期 第5話の度し難感想 地の底にいたのはヴエコ……。

前回

 ベラフの部屋。ぬいぐるみ? 生き物? たぶん生き物だと思うけど、こういうフワフワした生き物が並べて置かれている。
 ……こういうの、好きなんだ。他の成れ果て住人の中にも、こういうフワフワの生き物を愛でている人がいたけれど、人間は根源的にこういうフワフワの生き物が好きなんだ……とでも、いうのだろうか。

 一方、帰り道がわからなくなったレグ。リュウサザイの攻撃を受けて、腕の一部が欠けてしまう。ボンドルド卿との戦いでも、欠けることはなかったのに……。
 そうそう、草がちょっと育ってるね。でも見たところ、花も実も付けていない。葉だけがやたらと大きい。これはたぶん植物が木とか花とかを獲得する以前の、かなり原始的な姿なのではないかと。植物はほとんど育たないけど、育つと葉がただただ大きくなっていくだけ……という状態。

 何かを吐き出すリュウサザイ。えっと……小石を口に含み、唾液と混ぜて、ペッとやっている感じかなぁ? ただの唾液だけじゃなさそうだけど……。

 窮地を救ってくれたのは、意外! ガブールンだった。こうして並ぶとでかいな。尻尾も生えてるし。レグの身長を150センチくらいだと仮定して(もっと小さいような気がするけど)、ガブールンの大きさはざっと8~9メートルくらい? 鉄人28号くらいありそうだ。

 ガブールンの話を聞いてみましょう。

ガブールン「ファプタはお前がお前だと疑わしくなり、試したのだ。檣楼層についたお前はファプタを探しもしなかった。……欠落した情報を戻さねば。
レグ「なあ、教えてくれ。僕はなんなんだ?」
ガブールン「知らん。お前のごとき干渉器は情報にない。我は干渉器。見て、知り、集める。各々の層には干渉器が置かれたが、他のものの通信は途絶えて久しい。不全を起こしたか、連れさらわれたか。お前の意匠は我と似るが、干渉器は層をまたがぬ。果たして作りしものは同一なのか」
レグ「作り主を知っているのか?」
ガブールン「その情報は与えられていらざれる。どこへでも行けるお前が解き明かしてくる」

 まず、リコとナナチの毛が切り取られて、ケモノの尻穴に突っ込まれていたのは、ケモノ除けの呪具だそうだ。原理はわからないけど、ファプタはこの辺りではケモノに襲われない存在だから、自身の匂いをリコとナナチに擦り付けたかをして、さらに動物の死骸の胎内に埋めて、回りのケモノたちが警戒するように差し向けた……という感じかなぁ?
 『ジュラシックパーク3』では、強い恐竜のオシッコを採取して、ねぐらの周囲に撒いて、弱い恐竜を近付けさせないようにしていたけれど。オシッコを撒いていると、そこが強い恐竜のナワバリだと弱い恐竜が勘違いして、テリトリーに入ってこなくなる。それに似たようなことをしたのかな。
 ファプタはリコとナナチに対しては護符を与えたけれど、レグに対しては何もせず。本当に自分が知っているレグであれば、真っ先に自分のところに戻ってくるはずだ……なのに、どうして戻ってこないの……という感じかな。

 ガブールンの語る干渉器ってなんだろう? 「干渉」というくらいだから、「干渉すること」を目的なんだろうけど……。よくわからない。

 ガブールンの話では、レグのような機械は、他にもいた……らしい。
 ここで『メイドインアビス』第1期第2話に出てきた、ライザが残したメモを見てみよう。レグ……のようなものが描かれているが細かいところが違う、ということは最初の頃から言われていた。ということは、このスケッチはレグではなく、別の個体。もしかしたら、このスケッチ通りの個体も、どこかで登場するかも……。
 第6層の中にもいくつもの層があって、その各地域に“干渉器”と呼ばれるロボットたちがいた……ということだろう(それぞれの場所を守護していたのだろうか)。しかし、経年劣化や襲撃されたりで、機能不全を起こしてしまった個体も出てきている。干渉器は層をまたがないから、機能不全を起こしてしまった個体がどうなったかは、それぞれのロボットは知らない。
 もう少し詳しく知りたいが、ガブールンはどうやら情報を持っていない。ガブールンがどうしてファプタに付き従っているのか、とか気になることはまだまだ多い。

 三賢のワズキャン。変わり果てたなぁ……。口はどうなっているのだろう。
 姿は変わり果てたが、とても陽気。陽気ということは、現状の生活に非常に幸福を感じているということ。異形がひしめく成れ果て村の暮らしに、不満を感じていないのだ。

 この布巾みたいなの、気になるなぁ。微妙に声を上げてるから、これも生き物? こんなのも、元は人間なのだろうか。

 ムーギィに言葉を教わる。
 言語の作り方はなかなか手が込んでいる。こういう異世界ものの言語の作り方でよくあるのは、日本語の対応語を作ること。例えば「ア=○」「イ=○」「ウ=○」「エ=○」「オ=○」と言葉一つ一つに別の文字/音を当てはめていく。ほとんどのファンタジー作品はこうやって作られる。これで、喋るときにちょっと外国語っぽい発音で喋れば、それっぽく聞こえるようになるし、きちんとした一貫性も出る。文字の法則性は、よくあるのはカタカナを横倒しにしたり、逆さまにしたり……。
 でも、こういう言語の作り方だと、ある程度勘のいい人であれば、すぐに見破られてしまう。背景にファンタジー言語で隠しメッセージを置いたりしていても、すぐに解読されてしまう。
 そこで言語学に詳しい人は、母音から作り出したりする。例えば日本語の場合は「a・i・u・e・o」の5種類をベースに子音と組み合わせて言葉を発している。ちょっとした雑学で言うと、実は日本語の母音は明治時代に整理されたので、その以前はもう少し母音のパターンがあった。
 話を戻すと、日本語は母音パターンが少ないといわれている。昔、なにかの本で読んだが、アフリカのとある部族では母音のパターンはそれこそ100パターンくらいあって、日本人には発音もできなければ聞き分けすらできず、表記すらできないような母音も存在するとか。そういうところから言語や文法を作っていくと、より異国語っぽいものができあがる。
 そういうのを真面目にやっている作品といえば、ご存じ『指輪物語』。作者であるトールキン先生はもともと言語学の先生で、まずは遊びでオリジナルの言語を作り出す……というところから異世界創造をはじめている。

 さて、成れ果てでの言語だけど、複数の意味が混じり合っているようだ。
 例えば「ジャコフフ」。意味は頼むが4割、特別が3割、刺激が3割。ジャコフフの意味は、「頼む」がメインだけど、その後ろに「特別」で「刺激的」というニュアンスが付随してくる。
 確かに言葉にはニュアンスというものがあって、日本語の「貴」という語の入る言葉は大抵「高貴・気品」といったニュアンスが入っている。「貴」という語の裏の意味を読み取ることもできるが、無視もできる。成れ果ての言語には、そういうニュアンスが最初から入っている……ということだろう。
 こんなファンタジー言語、私も見たのは初めて。よくこんなの考えついたなぁ……。
 言語がこうなっている、ということは、一つの言葉でも、たぶん複数パターンがあるんじゃないかと思われる。へりくだった言い方、見下した言い方、とか。成れ果て住人は「言い方」で情報を伝えるのではなく、それに対応した言語で情報を伝える感じなのだろう。
 文字として書く場合は、線の1本1本でニュアンスが変わっちゃう……みたいな感じがかな。とにかくも、よくあるパターンから外して、まったく独自の発想で異世界が作られている。こんなの、よく思いついたなぁ……。

 この文字は「イルブル」。この村のことを示しているが、意味の中には、「村が5割、ゆりかごが4割、母が1割」となっている。なんと「村」を示す意味は5割程度。意味の半分が別の意味となっている。「ゆりかご」「母」というニュアンスが入っているところから見て、この場所は相当居心地、ということだろう。

 人間が人間と認められるのは、生後8週間以上の胎児になってからだそうだ。それ以前は人間ではなく「胎芽」。国によっては、生後8週間以降の胎児を殺すことは、殺人となる。8週間以上の胎児を中絶しようとするのは、「殺人」となるからダメ……という理屈があるそうな。
 さてこの成れ果て村だが、住人は人間であることを捨ててしまっている。「母のゆりかご」を意味する村の中で、無限の居心地の良さを謳歌している。胎児になる以前のなにものかになってしまった人たちだ。

 何気ない描写だけど、本が置いてあるねぇ。文字は地上のもののようだ。成れ果てになる以前に持ってきていた本だろう。成れ果てになった後も、大事に保管しているようだ。

 文字を書き写すリコ。鉛筆に使っているのは木炭の棒。木炭の棒に紙か布を巻き付けて、手が黒くならないようにしている。
 成れ果て文字を書き写しているけれど……。こうやって書き写しても、読み方がわからなくなるんじゃない?

 村の端っこには、誰も入らない領域がある。そこは成れ果ての者たちにとって、本能的に忌避される場所だ。
 そんな場所に潜っていくリコ……。第6層で下降したり上昇したり……という描写を見るとヒヤヒヤする。上昇不可の呪いを喰らっちゃうんじゃないか……って。でも、ここは大丈夫らしい。イルブルの村全体が上昇不可の呪いから解放されているっぽいけど、やっぱり怖い。
 ヘルメットはどこから出てきたのだろう? 買えたのかな?

 穴の底にいたのは……ヴエロエルコ。ヴエコさんだった。
 生きてたんだ! しかも人間のままで。でも、いったいいつからここにいるんだろう。ヴエコは探掘家や白笛のことも知らない。ここが「6層」と区分されている場所ということも知らない。そういった制度が生まれる前からここにいる。

 ヴエコの話をまとめると……第6層に到達したガンジャ達はその後、この場所に村を作ろうとしたそうだ。その時、中心になったのが現在3賢になっているワズキャンやベラフだね(あと1人誰だろう?)。
 その村を作る時に、反対したヴエゴは地下の暗がりに幽閉されてしまった。

 イルブル、母のゆりかごを名前に冠する村では、人々は人間であることをやめてしまった。人間であることをやめて、ただただ自分の欲望を無限に摂取し続ける。欲望に溺れ続けるためには、もはや肉体は邪魔だから捨ててしまう。荒廃してしまいそうだけど、「清算」というものがあるから、ある一定以上、他人には干渉しない。歪んだ世界だけど、意外なことにこんな場所にも「秩序」なるものが生まれた。
 ワズキャンの今の様子からしても、相当満足を得ているようだし。その当人にとっては居心地のいい場所なのだ。

「なんの話だっけ。ああ、自分は悪いやつだよ。欲にくらんで、人以上の者になりたくて、こんなところに来ただけじゃなく……」

 あー……不死になったんだね。たぶん呪いも無効。ってことは、成れ果てにならずとも、不死になれることができるんだ。「ある場所」では。第5層の祭祀場ではナナチとミーティが生まれたわけだけど、場所によって「生まれるもの」が違うのか……。さて、誰を依り代にして不死になったのか……。余罪もありそうだけど、その話はこれからだね。

 ヴエゴにとってシャバは何年ぶりのものなのだろう? ヴエゴがあの場所に幽閉されて以来、人はきっと増えただろうし、きちんと市場みたいに整えられているし、驚くくらいには様子は変わっているのだろう。

 こんなのよくあったなぁ……。市場に売ってたんだろうけど。

 ベラフの家へやってくるリコ。
 ベラフも変わり果てていて、日がな一日中、喫ミーティをしてばかりの自堕落の生活を送っていた。第1話のとき、あんなに偉そうに説法してたのに……。肉体を失って、欲望だけの存在になると、そうなってしまうのか……。

 ミーティを連れてきたのは……ボンちゃん! お前、気軽に6層にやってきてたのか。上昇不可はどうなったんだ。帰還不能じゃなかったのかよ。
 ボンのことだから、呪いを回避する方法とか知っていたりするんだろうなぁ……。
 ボンが置いていったミーティは最悪のトラップだ。ミーティと再会したとたん、ナナチは冒険の意欲を完全に失ってしまった。「欲望」に溺れてしまった。ボンのやつ、こうなると読んでミーティを連れてきて、ベラフの前でちらつかせたんだろうな……。

 さて、ミーティについて、
「本物の不死だ。愛と○○、媒介して強力に結晶化したもの。ある意味での奈落の化身」
※○○部分聞き取れず。
 ということは、成れ果て住人はすべてが完全な不死というわけじゃないんだ。ミーティが奇跡的に生まれた不死。私たちはナナチが成れ果ての中の「大成功」と思っていたが、実は大成功はミーティのほう。……いや、ナナチとミーティ、セットで大成功と言うべきか。

 ミーティを手に入れることができなかったベラフは、「イルブル」に代償を払い、ミーティを“生んで”もらった。
 ……ということは複製品なんだ。というか「イルブルに頼んで」ってどういうこと? あの清算のドロドロって、そんなこともできちゃうのか。対価さえ払えばなんでも手に入るけど、良いものほど対価は大きい。労働と日数で支払えるものじゃないんだなぁ……。

 さて、ナナチを取り返すために、リコはどうする……?

つづき


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