義務と嫉妬

ヨーロッパでは、夏の休暇に海外に旅行に行く人は多い。2020年には、コロナ規制で国境が閉められたり、テストが必須だったりして、リスクが大きいからと、国内旅行に切り替えた人も多かったが、今は海外からの旅行者の入国に規制がある国は少ない。


残念ながら、日本は現在で約2年半、未だ鎖国中。
2022年6月からは、ビジネスや学生などでビザを取得する場合以外の、
一般の旅行客の受け入れを始めたが、添乗員付きツアー参加者のみ。
入国後のPCRテストも未だ行われている。以前の様には未だ入れない。


私の日本の友人が「海外に行きたい」などと呟いているのを聞いて、「ヨーロッパのどこのくにも日本人観光客にコロナの制限はないよ?」と言うと、「沖縄さえ行かないで!みたいな警告を政府がしているのに、海外までなんて行けないよ」と返事が来た。

そもそも、オミクロン株は、肺炎を起こす人が少ない。
感染力が強いので、感染者数は多いが、病院の酸素マスク付きの病床数を圧迫しないという理由で、どこの国も規制を減らしている。感染者数に拘って規制を続けていては、人々のフラストレーションが溜まるどころか、経済が回らない。

さて、私はこの規制というものについて思う事は、日本人は一般的に身体(健康)についての認識が高いと思う。飛沫感染するとか、エアゾルとか、ウィルスがどう感染するかを一般の人々が理解している確率が、こちらの人に比べれば随分高い様に思われる。
そんなこんなで、私の住む国では、〈咳やくしゃみは肘で覆ってやりましょう〉は、マナー指導。
〈マスクをつけましょう〉〈レストランに行ってはいけません〉〈外国には行ってはいけません〉〈室内スポーツは禁止〉〈会える人数は1人まで〉これらは、マナーではなく規制で、つまり守らないと罰金という事になった。
罰金付きの規制にしなければ、やらない人だらけになっている。これは、エゴなどの性格的な問題ではない。ウィルス感染の仕組みを全く理解していないからだと思われる。
先にも書いたように、一般的に、健康についての仕組みの理解という面においての興味関心がやたら低い
 
日本人は健康(病気)に関して興味関心がある人が多く、自分と社会を守るためにその得た知識で、予防対策などを実行していく人が多い。


私の目から見ると、その国民の性質を国が“利用”して、規制を出さない。
規制を出さないということは補償をしなくてよい。
私の住む国では、レストランは閉めなくてはいけない代わりに、
国からの補償を受ける。
義務と権利が成り立っている。
※全てのヨーロッパの国がそうではありません。経済状況によります。
それにしても、日本政府にとっては、こんなに扱いやすい良い国民。


さて、話を戻して、海外旅行。
そんなこんなで、規制のないうちにヨーロッパ人はこぞって旅行に出かける。ヨーロッパの大規模な国際空港が、人手不足で大混乱をきたしているニュースを日本でも見られたことでしょう。
日本人は、海外に出てはいけないという規制は、内からも外からもないのに、行かない。

             なぜだろうか?

海外旅行に行って、万が一オミクロンにかかった場合、「ほらやっぱり」とバッシングに合う。これが怖くて、皆が自分で決断をして行動はしない。
私は、それはそれで良い考え方だと思う。調和・協調性を大切にする民族は世界に貴重だ。抜きん出ず、足並みを揃えて、横並びに歩んでいく。動物でもそうやって、種族の存続を守っている種もある。
 
ただ、他人をバッシングするのは、これは、ただの嫉妬ではないだろうか?
自分で決断をして行動した人が本当は羨ましい。
だから、そういう人が躓いた時には、「ほら、やっぱり!」と言って、痛い目に合わせたい。そうすることで、“やらなかった自分”が正しかったと納得できる。
 
私の住む国の人たちも、「相当嫉妬深い(他人が羨ましい)」と自分たちで言う程だが(苦笑)、国が規制(義務)を打ち出していると、ある意味、そういう嫉妬をする隙を与えないなと思った。
義務は義務なので。
規制されていない行為をする事を、他人が咎める権利がない。

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