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スピッツ「グリーン」 誰も信じちゃいないのに 誰かを探してた 君のような

この曲は決してメジャーとは言えません。ですが、とても魅力的で、スピッツファンにとって、大切な曲です。
一部、草野さんが少々尖って、周りを批判的に歌っているように感じる部分もあって、当時は「へえ、こんな歌詞も書くんですね」と驚いたことを思い出します。

アルバム「醒めない」(2016年7月27日)の 6曲目。ロックテイストが強めの前奏から、

「どん底から見上げた 青い空とか
砂漠で味わった 甘い水とか
欲しがって 誰も信じちゃいないのに
誰かを探してた
君のような」

という歌詞の入り。かっこいい!

アルバムの表題曲「醒めない」で、「50歳になってもまだロックの魅力に引きつけられたままだ」と歌った。
この「グリーン」でもその流れで、「今でも、君を欲しがってるよ!」と歌い切っている。

ただ、「君」が何を指しているのかというのは、なかなか難しいところがある。
恋愛対象の「パートナー」と読み解くこともできるけど、スピッツを愛してくれる「ファン」だと解釈することもできるんじゃないかと思ってる。

「コピペでつくられた 流行りの愛の歌
お約束の上でだけ 楽しめる遊戯
つばはいて みんなが大好きなもの 好きになれなかった
可哀想かい?」

ここ、激しい歌詞。草野さんらしくないなあ、と。でも50歳になって、敢えて強い表現を選んだのかもしれないね。こんな50歳、かっこいいし、尖ってて大好き。まん丸オヤジより、絶対に「トンガリ50」がいい。

サビは

「今芽吹いたばっかの種 初めて見たグリーンだ
あこがれに届きそうなんだ 情念が
あふれているよ あふれているよ」
「でも悩みの時代を経て 久しぶりの自由だ
ときめきに溺れそうなんだ 最速で どこにでも行くよ
君が望むのならば すべてを壊せる」

やっぱり、ファンへのラブソングっぽいと思いません?

「情念」って、あまり歌詞では使わないですよね。
辞書で引くと「感情が刺激されて生ずる想念。抑えがたい愛憎の感情」。
なんかとっても強い意思を感じる言葉選択ですね。

歌詞の最後ではその部分をさらに強化するようにこんな風に歌ってる。

「あこがれに届きそうなんだ 情念が 脳内の 火焰土器に あふれているよ あふれているよ」

火焔土器って・・・。

狂おしいほどのファンへの感謝として、この曲に草野さんの情念が込められているように感じる。ありがたい、ありがたい曲。

2022年9月 トラジロウ

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