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日替わり

309
日記。
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2022年5月の記事一覧

どいつもこいつも!🥰

どいつもこいつも
かわいそう!

Self-Love Gorilla だれでも

その日の主役がだれになるかは予想がつかない。あとから決まる。

冷たい麺を食べたあと、上野をよくわからないまま歩きはじめた我々は不忍口の交差点に立ち、見える範囲の木のあつまりをゆびさしてはあれが多分公園、いやあっちが公園、いやどっちも公園とか言って迷った。
結果目に見える範囲ぜんぶ公園でした。

広場で開かれている陶器市は低いテントの繋ぎ合わせ。そのしたに何百何千の器たちがどこまでも並ぶ。テントの

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永遠でないからこそ怖がらずに済むこともあるよ

一生ひとりという意味を
わかってもらえなかった。
人生なにがあるか
わからないよだとか。

うん、わからないよ。
なにがあるかわからないね。
でも私でなくなることはないよ。
私である以上
一生ひとりだよ。
お父さん、さようなら。
お母さん、さようなら。
お兄ちゃん、さようなら。
あとランダムな順番で
友達もいつかさようなら。

君の順番がくるとき、きっと
寂しくなくて、よかった。
寂しくなくて本当

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右足のかかとずたずた

右足のかかと
いつのまにかずたずた。
いつのまにか怪我をしやすい
わたしの右足のかかと。

おじさんのひとさしゆびは
犬に噛まれて感覚がない。
犬に噛まれて怪我したい。
心のなかに住まわせたい。

毎日いましかない。
生きているだけでしあわせな
地獄。

ゆくえ

泣くとき、理屈で泣く。感情による動作ではなくて、理性による。涙の流れ道にははじまりの点とおわりの点、すなわちできごととそれを受けとめる気持ちとの二点があり、あたまのなかに浮かぶそれらの点のあいだに、意図的にせよおのずからにせよ言葉の筋道ができた瞬間、二点を結ぶ軌道で涙は流れます。

古くからある喫茶店の女将の話を聞いても、幸せについての問答をしても、どの昔話にうなずいても、ゆくえのなさがかなしかっ

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おじさんこども

(こどおじという略語が既にあり
混同される可能性もあるため
おじさんこどもという複合語を
用いています)

おじさんこどもになってしまいました。
赤ちゃんのような見た目を
奇跡的に保ち続けることにより
かわいいおじさんというものも
理論的にはありえるのですが、
かわいいおじさんは
かわいいおじさんであって、
おじさんこどもではありません。
外見についてそう呼んだ別の概念です。

(話は逸れるが、

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ピマン

ピーマン。🫑。
ピーマンってよく考えたらなに(笑)
あまりにもあたりまえすぎて
疑問に思わなかったけれど
ピーマンってなに。
ブロッコリーもいかついけど
英語でもbroccoliだから違和感はない。
ピーマンは英語だとgreen pepper。
ピーマンは、なに。

あのピーマンのことピーマンって呼んでるの、日本人だけみたいです。フランス語のpiment[ぴまん]に由来しているといわれているけれ

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風のいれもの

伝えきれなかったあきらめが
瓶のなかで鳴ります。
雨より早く落ちる星。

宝物抱いて
自己肯定感にしなよ。
宝物抱いて、
自己肯定感にしなよ……。

忘れたいことのない人たちへ、
忘れたいことだらけだと
特別なうつわが必要になるよ。
ここにあるよと
教えてくれる風のいれもの。

ささいなことで笑えるようになるよ、ぬかるみを歩いていると。それは事実だけどそういう嘘をついている人もたまにいるからたまに

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鯛のあたまが売っていた。
150円だというから買う。

うちに帰ってラップを解き、
顔半分をめくってみる。
あばらだの、
よくわからない白くてふよふよした
脂身みたいなものが折り重なっている。
おまけつきだね。
いわゆるあらというものか。

それとはべつに、たまたま
自分の体のすべてがいやだった。
なにかいらいらするとおもったら
自分の体のすべてが不愉快だった。

鱗をとるあいだ、鯛と目が合った。

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自戒

だれかのなにかを
じぶんのなにかを
だれにもみえないものだとしても
守り生きぬくことが
誠実である。

きれいごとですね。

世のために奉仕するとか、
物事を成就するとか、
他者との愛を育むとか、
そういうことではない。
ことがすぎれば
それらはなにも残らない。
それらは誠実の部品ではあるが
全体構造とは全く関係がない。
たまたまその人の生活が
それらで成り立っていたというだけ。

じぶんのなにか

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花篋をば賜りけり

平家物語は高校生のときに、祇園精舎、那須与一、大原御幸だけかいつまんで習った記憶がある。祇園精舎は暗記させられる部分だし那須与一はかっこいいシーンだからやるとして、大原御幸を授業でやるというのはあまり聞かない気がする。

大原御幸のなかに花がたみをば賜りけりという表現がある。

後白河院が到着したときたまたま建礼門院は花摘みに出かけているところで、別の尼が後白河院を迎える。つつじの花を摘んだ花籠を

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透明になるときの音

むかしから有名だという
パン屋に入ると
むかしから生きている人たちが
狭い店内にぱんぱんで
パンとパンのあいだで
パンを選んでいる。

パンのショーケースは
店の奥までつづいており、
その向こうがわに五、六人
パン売りびとが横並びにいて、
パン買いびとたちが
パンを指さしながら
パンの名前を言うのを待っている。

なにがいいかときかれ、
カレーパン、桜、栗と答えた。
一緒に歩いてきた人は
右から二

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申し訳ございません

なにあれ、
なんか申し訳ございませんとかゆってる。
ロータリーを見下ろすと
バス側面の液晶に行き先ではなく、
「申し訳ございません」とだけ。
なにが……?

こういった言葉だけで半日笑う。
どちらかというと
いつもぐずぐずしてますが、
わらいのつぼというものあり。
一緒にいるひとが
わかってくれたらうれしい。
わからない人もいるからね。
バスで笑いたい。
コスパいい笑い。

このわかるひと、わから

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そでくちの肌色

ひとすじの光のような前小口。
カーテンの外を走りまわる声。
一緒になって遊びたい。
いいとおもうものこうかんこしよう。

風が薫る、キラキラと鳴る車輪。
水たまりをまたたく轍。
一度こなごなになった空も
ゆっくりと水面にもどるよ。
さんページかぜでめくれる。
さんページゆびでもどる。

この空を待っていたぞとばかり、
ひとすじの光のような上腕の内。
色の違う夏の皮膚たち、歩く。
おかしくなったのう

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