消えた、ジミー・ペイジ [短編小説]
寝苦しい夜だった。
夜間でも、気温は25度を下回らず湿度も高い。
扇風機は室内の生暖かい空気をかき混ぜているだけで、いっこうに涼しさは感じられない。
さっき入浴したばかりなのに、既に肌が汗ばんでいるようだ。
なかなか寝付くことができず、私は寝返りを打つ。
溜め息をつき、薄く目蓋を開く。
月明かりのせいで、室内はぼんやりとした仄暗さだ。
暗がりの中でも、タンスや本棚の輪郭がおぼろげに分かる。
その時、視界の隅で何かが動いたように見えた。
目を細め、首をそちらの方向に向ける。