ハヤカワヒロミチ

広告をつくらないコピーライター。博報堂の博に電通の通と書いて博通という名前です。「人と…

ハヤカワヒロミチ

広告をつくらないコピーライター。博報堂の博に電通の通と書いて博通という名前です。「人と仕事」「キャリア」領域でのコンテンツプランニング、編集、ライティングを得意としていますが、ブランディングやネーミングのお仕事もコンスタントに手がけております。

マガジン

  • street wise

    毎週水曜日更新。ときどき水曜以外にも更新。どうしたら毎回こんなにくだらないことが書けるのだろうか、と書いている本人も呆れています。本当に申し訳ないです。

  • 仕事のはなし

    毎週月曜更新。『求人広告制作note』からリニューアル(2023.11.6)求人広告制作パーソンに向けて書いてきたものと、そうでないものが混在しておりますが、主に仕事の現場でひろったよもやま話でして、共通項があったりなかったり。どうぞよしなに。

  • 読感雑感

    読書感想文や書店など本にまつわるnoteをまとめます。ただし広告本は除く。

  • Lo-Fi音楽部

    うわっつらで音楽を聴いてきた男の“ちょっと古い”音楽噺です。本格的な理論や批評は一切ありません。それはRe:minderの先生がたに…

  • 広告本読書録

    「広告をつくらないコピーライター」であるぼくがこれまでに読んできた「広告本」の感想文です。なかには「広告本」ではないものもあります。しかし広告、特に企画やコピーライティングをするにあたって有益な本であれば分野を問わず紹介します。

最近の記事

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経済を底のほうから動かす仕事

求人広告をつくっていると、お客さまから学ぶことは本当に多いです。今回はそういう話です。 首都圏で3店舗ほど出店していた居酒屋さんから求人の依頼を受けたぼくは、営業と連れ立って取材にでかけます。先方の社長はまだ25歳と若い実業家だったのですが、ぼくが居酒屋店長経験者ということを知って、安心して任せてくれることになりました。 ところが、蓋をあけてみると、応募ゼロ。3日経っても1週間過ぎても、応募が来ません。まあ、求人広告は水物ですから、ないことはない。とはいえ、客先で信頼まで

    • 真鶴にて

      みなさんは真鶴という町をご存知だろうか。少し前に川上弘美さんの長編小説の舞台となった(タイトルもそのものズバリ)土地である。 どこらへんにあるか、というと小田原の先の、湯河原のちょっと手前。太平洋に突き出した真鶴半島とその脇の真鶴港、さらに岩海岸が主な観光名所だ。真鶴町真鶴と、真鶴町岩というふたつの町で構成されるこじんまりとした地域である。 こじんまりとした地域ではあるが地形は起伏が激しい。ぜんたいとしてフラットな場所はあまりなく、間違ってもタワーマンションは建たないだろ

      • 正しい転職者のふるまい方

        こう見えて会社を5回変えている。つまりいま籍を置いている会社は6社目ということになります。業界をゴロッと変えたことだってある。 労働政策研究・研修機構の調査によると日本人男性の生涯平均転職回数は約2.89回というから、僕はそこそこ転職のベテランといえるでしょう。 しかも最初の会社と5社目では転職に関するサービスを生業としていました。僕が介在することで何百人もの人の転職を成功させたわけです。中には失敗させてしまったこともあるでしょう。ごめんなさい。 加えてそれぞれの組織で

        • 営業的なもの:エレベーターのボタン押します

          この世にはびこる営業的なもの。 それは時に滑稽であり、時に信仰の対象にもなりえます。 営業的なもの。 コンプライアンスやガバナンスが浸透しつつあるビジネス界隈では既に過去の遺物、とする説があります。しかしその一方でいまだに一部の業界や組織では幅をきかせているとも言われています。 そんな、超営業的現象を探る連載の第2回。今回はあなたの会社にもいるかもしれない、過剰反応する営業マンにメスを入れて考察してみたいと思います。 過剰反応。 それは時に新しい環境に慣れたり、馴

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        経済を底のほうから動かす仕事

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          緊張すること

          前職の会社は出自が大阪ということもあり、社内には関西の風が吹きまくっていました。特に入社したばかりの頃はまだ人数も少なく、そのぶん人間関係は濃く、昼も夜もなくあちこちで吉本新喜劇が開催されていました。 てやんでぃべらんめぇオイラ生まれも育ちも江戸っ子でぃ、という人は確かいなかったんじゃないかな。いてもひとりかふたり。つまりべしゃりの達人で構成されている集団だったわけです。 どんなときも必ずボケる。 どんなときも必ずツッコむ。 どんなときも必ずオチをつける。 ふつうの会話

          『花火と残響』に「羨望と嫉妬」した日

          自分の半径5メートル圏内で起きた出来事を物語に仕立てる能力に名前をつけるとしたら、なんだろうか。 と、書き出した一行を読み返したら本当に気になってきたので、ここのところブレーンとして仲良くしてもらっているGeminiに聞いてみた。 すると「面白いですね!」と言われた。AIに、である。AIに面白いですねと言われると、なんだかちょっと誇らしい。こうやって人類はAIに取り込まれていくのだろうか。 早くも脱線してしまった。話を戻そう。 Geminiいわく 「日常物語化能力」

          『花火と残響』に「羨望と嫉妬」した日

          0.3秒のごあいさつ、3分間のおもてなし

          ずいぶん前の話になりますが、国内トップシェアのコインパーキング運営企業からお仕事の依頼をいただきました。 その会社はパーキングを生業にしながらもすでにそのまなざしをもう一段も二段も上に向けており、僕が取材にお邪魔した時点で総合モビリティカンパニーとしての存在感を発揮していらっしゃいました。 とはいえ現場で日々動き回るパーキングスタッフの人員は常に充足しているわけではなく、どちらかというとあまり倍率の高い職種ではないことから採用は決して楽観視できる状況ではありませんでした。

          0.3秒のごあいさつ、3分間のおもてなし

          十条にて

          東京にある区、といわれてパッと思い浮かぶのは千代田区、港区、渋谷区、新宿区あたりだろうか。世田谷区、品川区、目黒区、中央区が出てくる人はなかなかの通。好事家なら足立区、葛飾区、墨田区も顔を覗かせるかもしれない。 北区はどうだろう。 なかなか出てこないのではないか、北区は。 北区は日本に12個もある。北は札幌、南は熊本まで存在する。別に東京になくたっていいじゃないか、と思う人もいるはず。 しかしあるんだから仕方がない。1947年からあるんだし。 そして東京の北区にはと

          国会図書館へいこう

          AI、使ってますか? 最近あちこちで「セコムしてますか?」とでも言わんばかりにAIの活用が礼賛されています。僕もChat GPTやGeminiを発想のうんと手前のところやアイデアの壁打ち相手として使う場面が増えています。 特にGeminiは言葉がより滑らかであり、まるで本当に中の人がいるかのようなナビゲーションをしてくれるので、用もないのに「よう」と声をかけることもしばしば。 近づいてきてんなあ、AI。 そんなふうに思います。 そしてそんなふうに思うとともに、心のど

          国会図書館へいこう

          あなたはやっぱり本屋さんでカバーをつけてもらいますか?

          この夏は暑かった。 暑いとクーラーの効いた部屋に篭ることになる。 部屋に篭ってやることといえば、そうです、シムシティ読書です。 と、いうことで今年の7月から9月にかけてはガシガシと本屋さんを訪れた。そしてはじめましての本屋さんでは必ず書店謹製のカバーをつけてもらいました。 だいぶ溜まったので「あれ?これ、どこの本屋さんだっけ?」となる前に公開します。書店カバーシリーズ第3弾です。 第1弾はこちら! 調子に乗って書いた第2弾はこちら! さらに調子に乗ってお送りする第3

          あなたはやっぱり本屋さんでカバーをつけてもらいますか?

          2024年の長月を振り返る

          9月ってこんなに暑かったっけ?という話はすでにいろんな人が書いているので割愛します。9月ってこんなに三連休が多かったっけ?という話も同様。ま、こっちは単に暦の都合でしょう。 ところで三連休というと今年はあと2回もあるらしい。手元のカレンダーを見ると10月12日から14日までと11月2日から4日までだって。 「日本人は働きすぎだ」と社会に出たばかりの頃は言われていて「そうだそうだ」と思っていたんだけど、最近は「ニホンジンハヤスミスギデス」なんて外国人から斜め下に見られている

          2024年の長月を振り返る

          赤堤にて

          ひとことで世田谷と言ってもいろいろある。 成城や駒沢と言ったあきらかにハイソな地域もあれば、千歳船橋や上町などの下町情緒あふれる町もある。 そんなバラエティ豊かな世田谷区の中でも、ほぼ杉並区と同じ匂いが漂うエリアが赤堤だ。 全国レベルでの知名度のなさで知られる赤堤は、それでもれっきとした世田谷区内にある。京王線下高井戸駅から歩いて10分というロケーションだけに北部方面より杉並の風が流れてくるのもやむなし。 町内を走る世田谷線は『松原駅』を名乗ってはいるものの、駅の位置

          なぜ「読まれない」ものにお金を払うのか?

          ついこないだ、あるクライアントからトップインタビューの依頼をいただきました。企業のトップがインタビューに起用される時というのはだいたい以下の状況だったりします。 ・代表が魅力的 ・代表が交代した ・代表の姿が見えない ・事業を大幅にピボットした ・業績が極端に落ち込んだ ・落ち込んだ業績が回復した ・事業内容が複雑でわかりにくい ・採用に力を入れるフェーズに入った ・広報が入社したばかりでやる気満々 まあ他にもあるでしょうけどこれぐらいで。 で、そのクライアントも上記の

          なぜ「読まれない」ものにお金を払うのか?

          営業的なもの:消える社長室の壁

          この世にはびこる営業的なもの。 それは時に滑稽であり、時に信仰の対象にもなりえます。 営業的なもの。 コンプライアンスやガバナンスが浸透しつつあるビジネス界隈では既に過去の遺物、とする説があります。しかしその一方でいまだに一部の業界や組織では幅をきかせているとも言われています。 たとえば月ごとの営業目標。 こちらのnoteの冒頭でも書きましたが、ほとんどすべての営業会社では営業日数が少なくても月の目標数字は変動しません。変わらないどころか前年や前月と比較して上がるケ

          営業的なもの:消える社長室の壁

          彼らの仕事道具

          先週、僕の仕事道具について書いたら古舘伊知郎さんの著作紹介のおかげで反応が良かった。ありがとう、古舘さん。ありがとう、ひろのぶと株式会社のみなさん。 そこで調子に乗って(悪い癖ですね)仕事の相棒でもあるデザイナーの仕事道具について書いてみることにします。 マックが登場する前のグラフィックデザイナーのデスク周り。それはもう、僕のようなアイテムマニアにとってワンダーランドです。「これはなんですか?」「あれは何に使うんですか?」質問魔の僕は常に先輩デザイナーに怒られていました。

          鶯谷駅にて

          昭和61年の4月から鶯谷にあるコピー学校に通っていた。講師はなかなか豪華で元電通の山川浩二さん(糸井重里さんを発掘した人)や鈴木清順監督(ツィゴイネルワイゼン)、現役のコピーライターとしては竹内基臣さんが華を添えていた。 岩崎俊一さんも講師陣に名前があがっていたが、僕が入学する前年に生徒の一人を連れて辞めてしまっていた。本当なら俺がドナドナされるはずだったのに、とワイシャツの裾を噛みながら悔やんだが周囲からは馬鹿か?と罵られるだけだった。 同じ学内には演劇ミュージカル科や