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BtoBマーケで顧客体験と成果を両立するフォーム設置方法【海外事例】

前回に続き、BtoBのWebサイトで設置されているフォームについて、顧客体験を阻害していないか、どうすれば顧客体験と成果を両立する形でフォームを設置できるのか調べてみました。海外事例を交えながらご紹介したいと思います。

日本の入力フォームの現状

現在の日本のWebサイトは、ホワイトペーパーなどの有益なコンテンツを見るためには、たくさんのフォーム入力が必要であることが多いと思います。

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出典:ジョブカン資料請求ページより


企業からするとリードを獲得することは最も重要な部分であり、そのためにコンテンツを閲覧する顧客にフォームを入力させ、その情報を得ることが優先されがちです。ただし、Webサイトの訪問者、顧客の視点から見ると必ずしも良い体験ではありません。

実際、2016年のLinkedInの調査では、フォーム付きのコンテンツに遭遇した人は60%以上に及び、そのうち87%がフォーム入力を理由にアクセスしなかったとされています。

多くの場合、コンテンツはフォーム入力後に表示され、フォーム入力後、実際にコンテンツにアクセスするまでにメールで資料へのリンクが送られてきたり、何度もクリックしなければならないこともよくあります。これではコンテンツ閲覧までに時間がかかりすぎるため離脱される可能性もあり、結果的にフォーム入力した人もコンテンツを読んでいないかもしれません。

一方、海外では、リード獲得と、顧客体験を両立するために、フォームの効果検証を行いながら、効果の低いものは減らし、最適な設置を目指した取り組みが行われている事例がありました。

海外事例:最適なフォーム設置を検証→フォームを廃止

PathFactory社(カナダ・トロント)では、現状置いているフォームの回答数、閲覧数などのデータから、どこに置いているフォームが機能しているのか分析(*1)していました。

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(*1)出典:https://www.pathfactory.com/blog/marketing-forms-strategy/より

フォーム設置の効果検証として、以下のような3つのテストを行ったそうです。

①コンテンツを一定時間閲覧した後にポップアップで表示されるフォームを検証
コンテンツに訪問した顧客のうち半分に対しては、通常通りフォーム入力後に初めてコンテンツを表示し、もう半分はフォーム入力なしでコンテンツの閲覧を開始でき、一定時間(1分など)閲覧した後に初めてポップアップでフォームを表示して、両者の反応を比較

②コンテンツ全体の内、半分は閲覧のためのフォーム入力を不要にして検証フォームを設置していたコンテンツのうち半分はフォーム入力が不要にし、コンテンツにアクセスするまでの時間を短縮することで、顧客のサイトのアクセス時間が伸びるか検証

③入力が任意なフォームを設置して検証
コンテンツを表示しようとすると、フォームは出てきますが、入力を拒否しても資料を閲覧できるため、顧客にはフォーム入力が、「命令」というよりも「提案」しているように見え、アプローチがソフトになり、本当に共感している人だけが入力するようになるか検証

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出典:PathFactory社の入力が任意のフォーム

このようにフォーム設置の方法による違いを確認しながら、フォームの最適な設置を探っていったようです。

フォームを無くしてもマーケティングが上手くいく理由:コンテンツを回遊させて、データを取る仕組み

Pathfactoryでは、先述のようなテストの結果、コンテンツ閲覧に関しては、フォームを無くした方がマーケティングの成果が出ることがわかったそうです。
フォームを設置して、顧客にマイナスな思いをさせるよりも、自由にコンテンツを楽しんでもらい、そのコンテンツ閲覧状況のデータを収集する方がいいと考え、PathFactoryはコンテンツ閲覧のためのフォームを全て廃止しました。

フォームの廃止に合わせて、顧客の行動に基づいて、Webサイト全体の中から、次に見るべき関連コンテンツをリコメンドする仕組みを構築しました。
これによって、サイト内のいずれかのコンテンツを閲覧した時点で、その行動に基づいてさらに別のコンテンツがリコメンドされる(Youtubeのおすすめ動画機能のようなもの)ようになります。

具体的には、顧客が興味があるコンテンツをリコメンドする仕組みを使用し、以下のような流れでマーケティングを行っています。

1:
顧客が選んだコンテンツから、顧客の興味や購買プロセスの段階に応じて、次に読むべきコンテンツをリコメンド

2:
各コンテンツに費やした時間と、その合計時間を記録

3:
1,2のデータを活かしてターゲットを絞った新たなコンテンツをポップアップで提案し、顧客をサイトに留め、閲覧を続けさせる

4:
十分な時間やコンテンツ数の閲覧が確認ができれば、自社に興味を持っているとみなし、より詳細な説明を聞くためのデモや商談を提案し、フォーム入力を求める

5:
得られた顧客のコンテンツ閲覧データを営業担当に渡し、顧客の興味の度合いや、最も関心のあるトピックを理解した上で営業する

単一のコンテンツ閲覧のためのフォームを廃止しても、自由に顧客にコンテンツを閲覧してもらうことで、より詳細にニーズを把握でき、質の高いリード獲得と顧客体験を両立できているようです。

まとめ:コンテンツ閲覧前のフォーム入力を無くしてもマーケはできる

一般的にはフォームを減らすとリード数が減ってしまうのではないかと思われるため、フォームを減らすことに対して抵抗感があるの高いかもしれません。しかし、海外では、フォームを減らし、顧客体験を上げながらも成果を上げることができている例もありました。

もし、サービスとの関連性が比較的低いTOFU向けのホワイトペーパーなど、全てのコンテンツ閲覧に対して、入力項目の多いフォームを設置していることがあれば、顧客体験を上げるためにフォームを戦略的に減らし、結果的に成果を最大化することも検討する余地があると思いました。

おわりに

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企画にあたって調べた海外のサービスや事例などの情報を発信していきたいと思いますので、よろしければフォローお願いします!

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