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「ひま」から生まれる、素敵な何か。

夏休みがおわった。

私も仕事はポツリポツリしかせず、毎日息子といっしょに過ごした。

週に1〜2回は、友達と遊んだり、どこかに出かけたりはしたけれど、それ以外は近所や家でのんびり過ごした。


息子の学校は、決められた宿題がない。
そして、習い事は1つもしていない。

そんな息子の夏休みは、すべての時間が「自由」だ。

ここまで「自由」な夏休みを過ごしている小学生は、少ないのかもしない。

そう思いはじめると、ムクムクと不安が湧いてくる。「何かしたほうがいいんじゃないか。習い事をはじめてみるのはどうか・・・」と思い、いろいろ提案してみたけれど、すべて却下。

というわけで、小学生の息子とオールフリーな夏休みを過ごすこととなったのだけれど。そんな中で、息子から「予想外のプレゼント」をもらうことになる。



わが家には「自由時間」と呼ばれる時間がある。

宿題なし、習い事なしの息子にとって、夏休みのすべての時間が「自由時間」なのだけれど。

わが家にとっての「自由時間」とは、「デジタル機器を自由に使える時間」ということを意味している。ゲームでも、YouTubeでも、テレビでも、アニメでも、映画でも、その時の気分でお好きにどうぞ、という時間だ。

学校があるときは、「帰宅後から夜ご飯まで」がその時間だ。3時に学校が終わって、そのあとも学校に残って遊ぶことが多いので、4時半〜5時半くらいに帰宅する。6時〜7時くらいに夜ご飯を食べるので、だいたい1日1時間〜2時間くらい、デジタル時間を過ごしている。

休日もその日の過ごし方にもよるけれど、4時から夜ご飯までを自由時間にしている。親の休憩時間もかねて、休日はちょっぴりデジタル時間が長めだ。

夏休みのデジタル時間も、基本的にはその休日の感じを引き継ぐことにした。



夏休みに入って間もない頃、私と息子はオールフリーの1日の中でも、少しずつリズムを作っていった。

午前中は、一緒にプールや川に行ったり、買い物に行ったり、ちょっと曇っている日は公園に行ったり、どこかしら外に出るようにした。

昼ごはんを食べた後から、自由時間がはじまる4時までの間をどう過ごすか、だ。午後の外は暑すぎて、出る気になれない。


昼ごはんを食べた後、私が後片付けをしたり、夜ごはんの下ごしらえをしたりする1時間くらいの間、息子は「ひま」だ。

カウンターキッチンからリビングをチラッと見ると、息子が猫とモフモフしている。

15分経っても、30分経っても、まだモフモフしている。

私も猫とモフモフするのは大好きだけれど、さすがに30分をモフモフだけに使うことはしない。スマホをいじりながら、とかならアリだけれど。


「りんりん、久しぶりに絵でも書いてみたら?折り紙は?幼稚園のとき好きやったやん。よくやってたやん。」

「今はそんな気分じゃない。」

一瞬で却下される。「なんて無意味な時間なんだろう」と思い、なぜか焦る気持ちが湧いてくる。なんで私が焦らないといけないんだろうと思いながらも。


そんな中、ふと頭に疑問がよぎる。

もし放っておいたら、
いつまでモフモフし続けるんだろう。

そんな興味が、急にムクムクと湧き上がってきた。いつもなら「母ちゃん片付け終わったよー!今からなにするー?」と声をかけるところを、声をかけずに観察してみることにした。


「母ちゃん、そろそろ片付け終わったー?」

息子にそう声をかけられたのは、モフモフし始めてから、おおよそ75分後だった。ここまでモフモフ、つまりボーッとできるなんて。



夏休みがはじまってしばらくは、昼食後の「超ロングモフモフ時間」が続いた。

でもそれから少しずつ少しずつ、なぜだか超ロングモフモフ時間が減っていった。


今日もモフモフしているなぁと思っていたら、急にスクッと立ち上がって、レゴで遊びはじめる。真剣な顔をして、チマチマと小さなブロックをつけたり外したりして、たまに「みてみて!」と完成したものを見せにきてくれる。


今日もモフモフしているなぁと思っていたら、急にムクッと起き上がって、ドラゴンボールを読みはじめる。数ヶ月前、まだ字のよめない息子に、父ちゃんは自分が大好きなドラゴンボールの漫画を読み聞かせはじめた。やっと24巻まで読み終えたところだ。その日はソファに座って1巻を読んでいて、復習してるのかなと思いきや、ある日は30巻を読んでいた。予習だろうか。絵だけを見ている息子は、ページをめくるのが異様に早い。でも、顔は妙に真剣だ。絵だけでも、案外話を理解できたりするのかもしれない。

今日もモフモフしているなぁと思っていたら、急に立ち上がって、ティッシュを続けて5枚くらい引き出しよった。もったいないなぁと思いながらも様子を見ていたら、いそいそとキッチンにやってきて、ティッシュを水で濡らしてギュッとしぼっている。リビングに戻っていき、なぜかトンカチをひっぱり出してきて、そのティッシュをトントントンと叩きはじめた。四角くペッタンコに整えられたティッシュを、洗濯バサミではさんで、干している。次の日に見てみるとそれは乾いていて、まるで小さなハガキみたいになっていた。そこに鉛筆で絵をかこうとしている。


今日もモフモフしているなぁと思っていたら、急にピョンッと起き上がって、引き出しからカラフルな輪ゴムを何本も盗んでいった。その輪ゴムたちを、ひたすらハサミでチョキチョキと細かく切り刻みはじめた。切り刻んだそれらをガラスのコップに入れて、水を注いでいる。それにラップをして、そっと冷凍庫にしまっていた。次の日にはカチコチに凍ったその「カラフル輪ゴム入り氷」を「うつくしーい!」と言いながら愛でていた。


レゴとかドラゴンボールとか、私的にも想定内の暇つぶしから、なんだかクリエイティブな予想のできない暇つぶしまで。

息子の心に突然湧いてくるのであろう「やりたい!」が、なんだかかわいくておもしろくて。

そんな息子の様子を、家事をしながらひっそりと見守る時間を、私は好きになった。



テレビやYouTubeを見すぎてしまうと
ゲームをやりすぎてしまうと

こういう時間が少なくなってしまうんだ。

ふと、そんなことを思った。


息子はきっと疲れているときに猫とモフモフしている。モフモフしながらボーッとして頭を休ませているような気がする。「超ロングモフモフ時間」は、新学期から夏休みに入るまでに蓄積していた疲れを癒やしていたのかもしれない。

疲れが消えたら、きっと自然と何かやりたくなるのだろう。息子がモフモフしているところから、急に思いついたように動き出す、あの瞬間が好きだ。空気が急に濃ゆくなって、空気が急に動き出すあの感じ。



休む。頭の中を1度からっぽにする。

やりたいことがポンッと湧いてくる。

体が勝手に動き出す。

やる。

休む。頭の中を1度からっぽにする。

やりたいことがポンッと湧いてくる。

体が勝手に動き出す。

やる。

休む・・・


なんて無理のないリズムなんだろう。

ボーッとしている息子を見ていると、「◯◯とかやってみたら?」なんて、ついつい口出ししちゃうこともあるけれど。

「せっかくの夏休み。有意義に過ごしてほしい」という気持ちから、予定をツメツメに入れたくなっちゃう気持ちが湧いてくることもあるけれど。


やりたいことはきっと、私が探してあげるものじゃないんだ。

私にとっての「有意義」と、息子にとっての「有意義」は、ちょっぴり違うのかもしれない。

違う、というよりも、私が間違っていたのかもしれない。「人間が本来持っている自然なリズム」に逆らって生きてきたのかもしれない。

息子のやりたいことは、息子の心の底から湧いてくるもので、湧いてくる前にはどうやら1度ボーッとする必要があるらしい。

それなら、ボーッとしている時間だって、「有意義な時間」だと言える。

息子のリズムを観察していて、なんだかそんなふうに思えてきた。



「意味だらけの生活」を送ることに慣れている私にとって、息子が「ひま」そうにしていると、なぜか焦ってしまっていた。

ひまそうにしているくらいなら、習い事や勉強でもして、少しでもできることを増やした方がいいのかな。

ひまそうにしているくらいなら、まだYouTubeやテレビを見て、新しいことや知識を取り入れて「意味のある時間」を過ごした方がいいのかな。

ひまそうにしているくらいなら、まだゲームでもして「わかりやすく楽しい時間」を過ごした方がいいのかな。

そんなふうに思うことだってあるけれど。


「ひま」からポコッと生まれるあの「何か」には、なんだかすごく「意味がある」ように思えてならない。

どう意味があるかなんて、ちっともわからないけれど。

「ひま」はなんとか埋めるものではなくて、「ひま」という時間そのものに意味があるのかもしれない。



「今日なにするー?」
「今からなにするー?」

そんな風に過ごす日々は、なんだか久しぶりだった。

「今日なにするー?」と息子と話していると、不思議と私の頭にだってポコッ浮かぶ何かがあった。

それは、川だったり、プールだったり、公園だったり、森だったり、ショッピングモールだったり、スーパーだったり、「行きたい場所」だったりする。

今日はどうしても窓をピカピカにしたいんだとか、扇風機のほこりをとってあげたいんだとか、そんな「気になっていること」だったりする。

ピザを焼いてみたいとか、明太子を食べたいとか、黄色のツブツブのついたチョコドーナツを食べたいとか、「なんで急にそんなことを思ったんだろう」みたいなことだったりする。

そのポコッと頭に浮かぶ、意味がありそうでなさそうな何かを、息子のそれらとすり合わせつつ、一つ一つ叶えてあげる日々。

退屈なような、満たされているような。

意味だらけの生活に戻りたいような
戻りたくないような。

夏休みってそんな感じでいいのかもしれない。1つだけ確かなのは、夏休みが終わった今、なんだか妙に私の体も心も充電されているということだ。

私も息子といっしょに、すごくすごく久しぶりに「夏休み」を過ごしたのかもしれない。



「ひま」から生まれる、素敵な何か。

そんなフワッとした言葉でしか表現できないけれど。それは、私が夏休みに息子からもらった「プレゼント」だ。



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