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#12 調子にのったフジテレビ新人アナが公共の場で衝撃的なつまずき

もう入社22年目になりました。でも、つい昨日のことのようだと言ったら大袈裟なんですけれども、ものすごく鮮明に覚えてることがありまして。

20代のとき、もうすごく短気で、ことあるごとに切れるっていう、もう本当やばい人だったんですけれども、よくそれでアナウンサーやってましたよね(苦笑)いや、でもあれですよ、理不尽にあっちこっちに切れてるわけではなく、なんか納得がいかないことがあると、話し合うというよりも、つい切れてしまうっていう、本当に危険な人間だったんですが…

入社した当時はですね、まだ地下鉄、りんかい線が通っていませんでした。
東京以外のお住まいの方はよくわからないなと思われるかもしれませんが、今でこそフジテレビがあるお台場は地下鉄が通って、山手線、いわゆる都心の環状線ですね。この路線と接続して、ものすごく便利になったんですけれども、僕が入社した当時は、ゆりかもめという、あれ何て言うんでしたけ?モノレールではなくて、なんか新交通システムなんて名前になっていたかと思いますが。

お台場にいくにはその、ゆりかもめという乗り物、もしくは東京駅、品川駅からのバスしかなかったんですね。すると、休日のイメージとはもう全然違くてですね、ゆりかもめって、そもそも通勤仕様に作られてなくて、ボックスシートばっかりで、そんなにたくさん人乗れないんですよ。だから、もう朝とかものすごい満員電車になってしまって、もうぎゅうぎゅう詰め。しかも、ほとんどフジテレビ関係者
バスもそうなんですよ。バスは当時、東京駅から出たバスはいわゆるはとバスみたいな、いわゆる観光バス的なバスで、路線バスのようなああいう普通の通勤バスではなかったんですよ。席に限りがあるから、早い者勝ちで並ばないといけない。

で、そのバス停に、この人会社で見たことあるかも、みたいな先輩がたくさんいるわけです。向こうは向こうで当然ね、アナウンサーとして入社してますから僕のことがわかるわけですよ、面識ないんだけれども。でも、そこで自分が前に並んでいたら、乗ることができて、定員になるとうしろにいた先輩方が弾かれる。早い者勝ちだから仕方がないんだけど、それはそれでストレスだなと思って、もうしょうがないから満員状態のゆりかもめで通っていたんです。

体当たりで突っ込んで乗車してきたおじさん

ある日、自分が扉の近くに立っていたとき、ものすごい勢いで走ってドーンとぶつかって、体格のいいおじさんが体当たりで乗ってきました。入社したてだったので当時23歳くらい。相手は30半ばから40前ぐらいに見えたんですけど、ぶつかって押し込んでのってきて、そのときに僕の後ろにいたおじいさんが倒れちゃったんですね。それを見て当時の僕がまた切れるわけです。そのぶつかってきた人に「すみませんの一言もないのか!」て。するとそのおじさんがすっと振り返って僕の顔を見て、数秒黙った後「すみませんでした」と一言だけ言ったんですよ。

それで終わりかと思いきやその日のお昼休み。

会社の廊下を歩いていたら向こうの方からだんだん近づいてくるシルエットが…お気づきだと思いますけれども。僕がキレた相手、まさにそのおじさんだったわけですね。

当然、気まずい。

切れた自分が悪いんですけれども。そんな公共の場でね。
「いや、あの朝は申し訳ございませんでした」と、そこで謝るわけですね。
気まずさ満点ですけど。
先方も「やや私も失礼しました」なんて、すれ違って終わったんですけれども。

ここから導き出された反省としてはですね、たくさんあるんですけれども、まずは、自分が正しいと思ってはいても、結果的には近しい人だったりもする可能性もあるわけで、なので、そうした言葉使いとか態度はその場限りだと思ってやると飛んだしっぺ返しが来ることがあるということ。自分の立ち振る舞い、行動、言動、そういったものは親に見られたり、もしくは恋人に見られたり、兄弟に見られたり、本当に近しい人たちに見られたとしても恥ずかしくないようなものであるべきだと。

その日を境にですね、切れるなら立場が明確な人に対して、ということで、上司にキレたりはしてたんですけど。よくこれで22年間、この会社で働くことができるなと思ってはいるんですが。ま、調子に乗っていたんでしょうね。ブイブイ言わせて(古い)ということではなくて。

他者の意見をよく聞く。そして、ちゃんとそれを咀嚼して自分のものにする。何より謙虚であるべき。というか、そうですね、誰から見られても決して恥ずかしくない行動をとるべきなんて当たり前のことを身をもって体験したお話でした。

(voicy 2022年4月6日配信)

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