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実社会とつながるアクション-ゴミ美術館-


「学びの先に何があるのか?」
今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学4年生の担任をしており、学校で学んだことをどのように社会に開いていくのかを考えながら実践を行なっています。

私自身、昨年度まで沖永良部島で地域おこし協力隊(教育コーディネーター)として活動しており、町にある人・モノ・コトを繋ぎながら子どもたちの学びと社会を接続していく学びをつくる中で、ここに生まれる価値に気づくことができました。実践記事はこちら

今勤めている学校でも子どもたちが学校で学んだことを実社会に出たときに転移できるような概念的な理解を育める実践を積み重ねてきています。この1年間の学びも緩やかにつながっており、これまでPYPの4年間で子どもたちが学んできたことが今回のアクションの小さな種まきになっていたのではないかなと感じました。

▼ この1年間の学びの軌跡(クリックすると詳細が開きます)
Unit 1 … 政治は市民生活に影響する 
Unit 2 … 人々は生きるために自然に対応する
Unit 3 … 水の利用と管理は、地域の開発と持続可能性に影響を与える
Unit 4 … 歴史上の出来事や人物が今の暮らしに影響している
Unit 5 … 身体の変化は心の変化をもたらす
Unit 6 … アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

今私たちがどのようなプロジェクトを考えているのかというと、ゴミ美術館を岐阜市の美殿町でオープンする企画です!

・ゴミ美術館の概要(若干変更する場合もあります)

3月20日(水)10時〜12時 オープン @旧山田屋旅館
◎ プログラム
① 美殿町周辺をクリーンアップ & 拾ったゴミでアートづくり
② 子どもたちが作成したゴミアートの展示と鑑賞会

・プロジェクトが生まれた背景

Unit3(2023年9月〜10月)で「私たちが住んでいる岐阜市では水がどのように管理されているのか?」について探究し、学んだことを社会に向けたアクションに繋げるアイデアとして子どもたちから長良川のクリーンアップ作戦のアイデアが出てきました。
このユニットでは、岐阜市の上下水道の施設の見学、長良川の環境調査を通して、岐阜市の水は綺麗に保たれるために税金を使って管理されていることを学んできました。しかし、家庭から流れる油による影響やポイ捨てを川の周辺で起きていることで影響が少しずつ出ている話も聞きました。このことについて学んできた子どもたちが生み出したのが清流長良川周辺の清掃活動でした。

・実際のクリーンアップ活動の様子

ゴミを実際に拾ってみると、様々な種類のゴミが落ちていることに気づく子どもたち。そして、ゴミが多く落ちている場所の特徴として、信号の横の堤防に沢山のゴミが落ちていることを発見し、これは信号待ちの間に多くのゴミを捨てるドライバーがいると推測をしていました。また、拾ったゴミを集めてみると「何かゴミで作れそう!」「もしかしたらこのゴミは売れるかもしれない!」と拾ったゴミに価値を生み出している子どもたちの声がありました。この時に生まれたアイデアが「ゴミ美術館」のアイデアです。

・いよいよゴミ美術館をカタチに

対話型鑑賞のプレゼンの様子

そして時は流れ、Unit6(2024年2月〜3月)のアートの鑑賞と創造について探究していく学習に入っていきました。ユニットの前半では、アートの鑑賞スキルを深める中で、アートには作った人の思いや価値観がこめられてることを学んできました。
そして、いよいよこの1年間で学んできたことをアートを通して伝えていく最終課題に入っていきました。この時に再び、ゴミ美術館のアイデアの発起人である1人の子どもが「ゴミ美術館をしたい!」と再び声を出してくれました。この時点で残された期間は2週間とちょっとです。もう既にゴミ美術館を手伝ってくれる地域の方は見つかってる状況でした。この際思いっきり子どもの声をカタチにするサポートができたらと思い、この企画が再び動き始めました。

・子どもたちがつくるゴミアートのテーマ

子どもたちがこれから作っていくゴミアートのテーマとして次の2つを設定しました。背景としては、このユニットで子どもたちに「アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる」ことを体感しながらこの意味をアートともに作り上げる機会になるといいなと考えています。
① 自分自身の成長や葛藤(Unit5)を表すアート
② 社会の中に起きている問題(Unit2-4)を表すアート
まずは、頭で考えるより手を動かしながらアートを作っていくことを大切にし、子どもたちは思いのままにテーマに沿って作り始めました。ゴミ美術館の発起人である生徒は「ポイ捨てが起きている社会の問題」についてゴミを使ったアートで表現するアイデアを生み出していました。どのようなアートになるのか楽しみです。

・会場の準備

早速、ゴミ美術館の発起人である児童の繋がりで生まれたゴミ美術館の会場を貸し出してくれる方との挨拶も兼ねて、会場の清掃のサポートに子どもたちと保護者で行ってきました。
どのようにしてこの場所を繋がったのかというと、この場所を運営されている方の考え方に共感した保護者の方がゴミ美術館のアイデアを話したところ「是非一緒にやりましょう!」ということで賛同をして下さり、今回このプロジェクトが偶発的に実現することになりました。

実際に会場を掃除するために土日であるのにも関わらず保護者や子どもたちも有志で集まり、みんなで雪が降る中ワイワイ掃除を行いました。歴史がある場所でもあることから、昔の新聞が出てきたり、不思議な形をした石が出てきたり今では見られない家具が見れたりと、楽しみながら準備を行うことができました。

こうやって、緩やかに学校での学びが地域社会と繋がっていくことは子どもにとっても学びが社会とつながっていくことや、自分たちが学んだことを社会に発信していけることを感じるきっかけになるのではないかなと思いました。

3月20日に向けて残り1週間。ゆっくり急ぎながら、丁寧にこのプロジェクトを進めていけたらと思います。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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