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春はもうすぐ

錦糸町から外房線快速の上総一ノ宮行に乗って1時間ちょっと、大網駅で初めて降りた。ロータリーへ出ると、白里車庫行の小湊鉄道バスがぽつんと停まっていた。

高い青空。
特長のない小さな駅前も、見慣れないデザインの路線バスを見るとちょっと旅行気分になる。
バスは真ん中が乗車口。スイカが使えないとわかって小銭入れを見たら百円玉が4つ。
後ろのほうの席を選んで腰を掛けた。乗客は斜め前の初老男性と僕だけ。
男性が乗車券の綴りの必要なところを切り取ろうとしていた。10円券や50円券を切り離して車掌に渡すのが楽しかった幼かった頃を思い出した。

走り出すとバスはあっという間に街部を離れ、九十九里浜方向に真っ直ぐ続く道を行った。
左右の車窓には冬の田畑。海が近い空は広い。

2人しか乗せていないバスは、ガタガタと揺れながら飛ばした。20分ぐらい乗った。
掲示版に「白里中学校前420円」の表示。
「困った、足りない」
バスは僕のために停まり、僕は両替機に千円を崩して運転席の隣の投入口に420円を落とした。
すると、運転手が「バスが停まる前に席を立たないでください」と言った。

訪ね先までは、バス通りから折れて細い道を行く。
海岸まではまだ5㎞ぐらいあるようだから、潮風は気のせいか。
畦道。里山。
畑を焼いた焦げた匂い。
中学校の体育館からアニメの音楽が聞こえた。何かの行事の練習をしているのだろう。

ずっと前に亡くなった祖母の実家は白里海岸の数キロ北へいった海岸からすぐだった。
たぶん10歳ぐらいまでは夏休みのたびに泊まりに来ていたはず。
素っ裸で砂浜で遊んでいる幼児だった僕の白黒写真を覚えている。

上着を脱いで、のんびりと歩いた。

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