見出し画像

決めたの、一緒に歩く未来を選んでみよう【#Nikon #Z6】

初めてカメラを手にした日がいつだったかは、残念だけれど正確には覚えていない。たしか、小学生くらいのことだったと思う。スマートフォンはまだなかったから、きっとフィルムカメラを、ジリジリ、と巻いて撮っていたんだろう。

でも、ずっと写真を撮ることが好きだった、という記憶だけは確かにある。というか撮った瞬間のことを、今でも鮮明に思い出せたりする。ファインダーから覗いた感じ、シャッターを切る音。その時に私が、なんと声をかけていたか?

そう、昔から「写る」よりも「撮る」方が好きだった。先日お盆で実家に帰省したのだけれど、やっぱりアルバムには自分の写真があまりなかった。「そこに並んで」とか「もう少し右」とか、中学生の頃、部活動の仲間に記念撮影の指示を出して、撮った写真たちがたくさん棚に眠る。

思い出を、その瞬間を。やがて過ぎていってしまうだろう、もしかしたら記憶からこぼれ落ちてしまうであろうその日々たちを。まだ子どもだった私が、「残しておきたい」と感じていたかどうかは、悲しいかな思い出せない。でも、「風や空気、一瞬を切り取る」という行為を、とても愛しく思っていたことだけは、今でもやっぱりはっきりと覚えてる。

***

大人になって、東京へ行って、金融業界へ就職をして、けれど憧れていた「たっぷりの写真で構成される」雑誌の編集者になるという夢が諦められなくて。20代後半、趣味みたいな副業でだったけれど、やっとの思いでウェブメディアの編集者として働き始めた時。

ある日突然、横浜の私の家に届いた小包が、新潟で暮らす叔父が送ってくれたカメラだった。

自分の書いた記事や、iPadで撮った写真を、ポツポツとSNSにアップし始めた私をそっと応援してくれていた叔父。「写真を仕事にするならば、いいカメラを持ちなさい」と、大切なお古を私に送ることを決めてくれた。

35mm、単焦点。F1.8のレンズと一緒に手のひらに届いたデジタル一眼レフ、「NikonD50」。その時の私は「わぁ、なんだか本格的なカメラだなぁ」という感想しか持てなかったけれど、今なら「入門編」としてどれだけそのカメラが優れているか、すぐに分かる。

当然だけど、それからはまた一層と、撮ることが楽しくなって。いつしか私は、書くことと撮ることを本業に据え、そしてカメラを片手に、そのまま世界を旅するようになっていた。

仕事を続けるうち、電子機器の装備は変わっていった。最近まで使っていた旅の相棒カメラは、叔父の次にカメラの大切さを教えてくれた、昔付き合っていた人と買いに行ったカメラだった。

たくさんの国や街や、海や川、空の上、砂漠の夜、遺跡の朝をともに旅して。その間の諸々については今までもたくさんnoteで書いてきたから、割愛するけど。とても美しい、日々だった。

でもそうだなぁ、3年とか、それくらいが経った頃だったかなぁ。ある朝、やっぱり電源が入らなくなってしまって(砂漠の頃から、怪しいなとは思っていたんだ)。

でもって、ちょうどその頃。なんだか暮らしの全部について、「今を、このまま続けていくの?」と切なく首を傾げたい気分だった。気分じゃなくて、正直に言えば、真剣に取捨選択を、考えていた。

「このままで、いいのかな」という気持ちが、拭えなかった。否、何に不満を抱いていたとかではないのだけれど、正直に言えばもう一段二段、ステージを上げたかった。

編集者に憧れていた私が、カメラを手にして、ライターとして旅を始めた時のような。「延長線上にはあるけれど、今のまま進んでいたら、届かない何かへ」手を伸ばすためには、何かを大きく、変えなければいけない気がしていた。

変えたかった。

1年続けたシェアハウスを解散して、4年勤めた会社を退職してフリーランスになって、立ち上げから5年目まで関わったウェブメディアの編集部を卒業して。仕事と暮らす場所と働き方を、自分ができる範囲で大きく変えた。

「さて、そして。ついにカメラも壊れてしまったぞ?」。

そんな時、「カメラが壊れちゃったみたいで、悲しい」という深夜の悲しみのつぶやき(Twitter)を、拾ってくださったのが大好きなGENIC編集部さんだった。「もしかしたら、力になれるかもしれません」。

Nikonが、肝入りで開発・販売に踏み切った、新しいミラーレス一眼「Z  6」。Nikonが60年採用し続けているFマウントではなく、新たにZマウントというシステムを採用して初めて発売したカメラシリーズ。一緒に育ててくれる女性を探している、ということだった。

「マウント」というのはカメラのボディとレンズをつなぐ部分の呼び名。ただつなぐだけじゃなくて、オートフォーカス・絞り値など撮影に関する重要な情報を伝える役割も担っている。から、新しいマウントの採用は、これまでのレンズがダイレクトにはつながらなくなるので(Nikonの場合はマウントアダプターFTZを使えば、つなぐことはできるけれども!)、新しいマウントのレンズも用意されることとなった。だから、カメラメーカーにとって、マウントの変更は大きすぎる決断、なのだと思う

「でも、なぜ今このタイミングで、マウントを変える決断を?」と聞いたら、Nikonの担当者の方は、こう言っていた。

「マウントの変更は、今までNikonのカメラを使ってくださってきたお客様の 『資産(ボディとレンズ)』に直接的に影響を及ぼすこと。だからこそ、ずっと踏み切れなかったんだけれども、写真を撮る=光を操る行為。100年以上光学技術を追い続けてきたNikonは、撮影技術を飛躍的に向上させるために、マウントの変更が絶対に有効だ、という結論に至っていた。『より良い未来を作るため』に、変えなければと考えて(伊佐の意訳)

「より良い未来を作るために、変えなければならない」。

共鳴、といったら言い過ぎかもしれないけれど。でもその話を聞いた時、私は「Z 6と一緒になら、どこか遠くへ行けるかもしれない」と光を見た気がしたの。

Nikonと一緒に、歩く未来を選んでみよう。そう決めて、私はもう一つ新しい挑戦だった、フィリピン・セブ島とマルタ島への語学留学に向かう飛行機に乗る。

フィリピン・セブ島にて。NIKKOR Z 35mm f/1.8 単焦点レンズで

ファインダーを覗いたら、今までと少し違う世界が見えた気がした。ちょっぴり重いけれども、手にすっと馴染むグリップの感じは、あの頃叔父がくれたカメラを使っていた頃の、フレッシュな気持ちを思い起こさせてくれた。今までずっと55mmの画角を愛していたけど、カメラを変えたら、70mmの世界も愛せるようになって。

イタリア・シチリア島の宿のテラスから見えた景色。NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 レンズと

「今日は写真を撮るんだ」と、天候を今まで以上に気にしながら「撮るぞ」と気合いが入るようにもなる。

今月、私はまた新しい旅に出る。今まで一人で旅をしてきたけれど、ヨーロッパ各国を、もうひとりの旅人と一緒にめぐる。

夕景や夜景はとくにキレイ

少しずつ、すこしずつ、新しいことにスライドをしてきた2019年。後半戦の次の旅では、どんな景色が見られるだろう?

覗いた世界は、今までよりもずっと、クリアで輪郭がはっきりしている気がしてる。Z 6と歩く世界を、2019年の後半も、ゆっくり楽しんでいけたらいいなと思っている。

人物撮影時は、瞳AFを使うのにハマってる





いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。