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伊佐 知美
2017年6月22日 22:55
たくさんの思い出が詰まった部屋をぐるり、夕陽のなかで見渡した時に「あぁ、私はこの家に長く住んでいたんだな」と当たり前のことを思う。実家の話。懐かしい匂いのする通りをふらり歩いたり、その道の向こうに記憶の中の君を見たり。本当に実物だったりするから、地元はたのしい。久しぶり、と声を交わす。私は幼少期に何度か引っ越しを繰り返した。最初の小学校は、東京の田無だった。今は西東京と名前を変えてしま
2017年6月18日 23:17
新緑揺れる、青森県十和田市の湖と渓谷。風吹けばゆらり、ふわり、サワサワと音を立てて流れてゆく水と、私たちの時間。まるであれはなかったかのように、砂のように。消えゆく。軸をなくしてしまったようだと、平衡感覚が時空を超えてゆく幻想が見える。帰国してからもうすぐ2ヶ月が経とうとしている。身の回りを浮遊している諸々に追いつけなくて、ただただ沈殿を待っていた私は、「長かったな」とつぶやく。目
2017年6月12日 23:35
梅雨入りしたはずなのに、からり晴れ渡る京都の空。日が暮れるのに合わせて少しずつ曇っていったけれど、夏に向けて青々とし始めた緑と、ぼやけた白とオレンジのマーブルは美しくて、私はこのまましばらく眺めていたいなぁ、とその建物のなかで思っていた。最近発売されたという京都のおしゃれなガイドブックは、知っている人たちの名前が誌面をところどころで賑わせていた。あまりこの土地に詳しくない私は、行ってみよう