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メキシコ人の優しさとモラル

海外に住んでいてると、その国の「国民性」みたいなのが段々と見えてきます。

ずっと日本で暮らしていたからこそ、「ここが違うな」ということに目がいきやすかったり。


日本で生まれ育ち、そして数年メキシコに住んでいる私が感じる「メキシコ人」は、「優しいけどモラルが低い」という印象です。


「メキシコ人」と大きな主語で話しますが、みんながみんなではありません。そしてただの私の主観です。あしからず。


最近、そう強く感じる出来事がありました。


2ヶ月ほど日本に一時帰国しており、1週間半前くらいにメキシコに帰ってきました。
私がメキシコに帰る日本→メキシコの飛行機でのこと。

その日の乗客は見た感じ90%がメキシコ人(メキシコ人ではなくてもラテン系。日本人ではない。)でした。

まず最初に驚いたのが、搭乗時刻10分前なのにすでに搭乗ゲート前は長蛇の列。列といっても綺麗に1列ではなく、途中で左右に分岐したり2列なのか3列なのかわからなくなっていたりとカオスな状態です。

「(なぜこんなに早く並ぶんだ・・・)」と疑問を持ちながらも、先に帰国していたメキシコ人の夫から「早く並ばないと手荷物棚がなくなるから絶対に並んで!」と言われていたので、よく分からないけれど「多分ここ」と思われる最後尾に並びます。


そしていざ搭乗開始。
私は一応優先搭乗のグループ2だったので早めに入れたのですが、見ている感じ優先搭乗じゃないエコノミーの人も普通に入ってきてる状態。まぁいいやと思いながらも、ちゃんと並んでいたおかげで割と早めに搭乗ができていた私、持っていた持ち込みサイズのキャリーケースを荷物棚に入れようと思うと

場所がない

もうすでに手荷物を入れる場所がない。


私の席は9D。私の同列シートとなる9Eと9Fはまだ空席。
なのにすでに「9DEF」と書かれたシート棚にはしっかりキャリーケースが綺麗におさまっていてスペースがない状態です。

「なんで!?」と困惑しながらも、運良く反対側にスペースを発見。そこにスーツケースを入れようと持ち上げると、すかさずメキシコ人紳士がスマートに手助けしてくれて、他の荷物をどかしたりしながら代わりに収納してくれました。ありがたい。


誰かが困っている時、特に女性や年寄り、子供が困っている時にメキシコ人はすぐに助けようとしてくれます。

日本人も優しいですし、そうしたシーンで手助けする人も多いと思いますが、なんとなく最初に「手伝ったほうがいいのかな?」という考える時間がある場合が多い気がします。

その結果、「一瞬迷ってから本当に手助けが必要そうな場合に助ける」または「手助けしようと思ったけど、いらなそうだったから何もしなかった」といった感じになりやすいような。

もちろん私を含めてです。私もよく、「あ、声かけてあげたほうがいいかな?」と心の中で自問自答して、アクションを起こせる時もあれば結局何もできない時が多々あります。

でも、メキシコ人ってそうした迷いが一切なくて、当たり前のように手助けしてくれます。(レディーファーストの文化や母親を敬う文化が根強いということもあるかもしれません。)

そうしたメキシコ人の瞬発的に行動ができる親切さって本当に素敵だと思いますし、私も見習いたいなと思います。

でも。


そんな風に「目の前にいる他人」には優しくできるのに、「目に見えない他人」にはなかなか配慮してくれない。そんなことも感じちゃいます。

というのも、日本とメキシコを直行便でつなぐ「アエロメヒコ航空」では、機内持ち込みの荷物が一人10kgまでと制限されています。

なのに。
みんな(本当にみんな)明らかに10kg以上と思われる手荷物を持ち込んでいるんです。小さなキャリーケースとパンパンのリュックサックと、特大サイズのお土産袋を1つがデフォルト。人によってはそのお土産袋が2になったり3になったりします。

みんながみんなそんなたくさんの荷物を持ち込んだら、手荷物棚が足りなくなることなんで自明ですし、そうすると13時間ものフライトで足元に大きな荷物を置かなきゃいけない人が出てきます。

搭乗スタート後、当然手荷物棚は争奪戦のようになり、後から乗り込んだ人たちは「荷物を置く場所がない!」と文句ブーブー。
客室乗務員の方は、「それらはお客様の問題だからこちらではどうしようもできない」とサポートなし。

「なんだかなぁ・・・」と思ってしまいます。

さっき私の荷物を入れるのを親切に手助けしてくれた男性も、結局彼と彼の家族グループ(私の後方座席に座っていた)が、私の列シートの荷物棚を陣取ってスーツケース3つ入れているから私が困ってたわけで・・・

目の前に困っている人がいたらすぐに親切に手助けができる「優しさ」を持ちながらも、自分の目の前にはいない「誰か」に迷惑をかけることは厭わない。


そんなところが日本人とは真逆だなぁと思ったりするので、なんだか興味深いです。

日本人って「直接的な親切」に対して恥ずかしさやためらいがあったりするけど、「周りの人が迷惑するかもしれないから」という他者への配慮はハンパない。

誰かに迷惑かけないようにルールを守る。それって当たり前のことだけど、でも世界的に見ると結構すごいことなのかもって思います。


アエロメヒコでメキシコに行く予定の方には、搭乗前に早めに並んでおくことと荷物棚確保に全力を注ぐことをおすすめします。


【あとがき】
メキシコ人の夫がよく言うのが、「メキシコ人は自分と自分の周りの人(主に家族)の利益を優先する。他者はどうでもいい」ということ。(彼がそういう考えなのではなく、メキシコ人のよくあるマインドセットがそんな感じということ。)

どうでもいいと言うと聞こえが悪いですが、「自分と家族がとっても大事」というのは素敵な考え方でもあると思います。

日本には「他者ばかり気遣って家族に対しては冷たい」もしくは「他者には優しいけど自分には優しくない」という人、結構いますよね。謙遜の文化もあるかもしれませんが自分・家族ファーストっていうのも悪くないのかなと思ったり。どちらも良いとこどりできたら最高ですね。


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