Tomoko Ibu

Living in Mongolia時々、小説、俳句を載せます。

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最近の記事

おばけに寄せる心(エッセー)

私はおばけを見たことがありません。おばけの屁のようなものは感じたことがあるのです。近所の墓に墓参りに行くと、呼んでもないのに付いてきた猫の毛が逆 立って、ものすごく興奮するのを見ました。猫は敏感なのかもしれません。盆や彼岸の思い出といえば、墓の花入れに何ヶ月も放置された菊の花が腐りきった何 ともいえない荘厳な香りと正気を失う猫のことです。当時私はおばけが怖かった。姿を見せず、姑息に人を怖がらせる誰かだと思っていたからでしょうね。 今はもういないある友達とある夏一緒に仕事をし

    • 8月半ばにお目にかかります。

      • 5月 インターネット句会

        123 番 人が皆余命を生きる衣更 2 点 353 番 留守居する犬の写真を待つスマホ 0 点 396 番 宵闇に君を訪ねる大伽藍 1 点 555 番 良く当たる占師の噂豆ごはん 1 点 864 番 善悪の境失う春霞 0 点

        • 草原

          月は生まれず ちゃりんちゃりんと星星だけが出てた夜 地上はこれ以上無い闇でした 私の片足は大ねずみの掘った穴に わっと落ちてしまいました うぃうぃっと大ねずみが鳴きました 誰よりも早く起きた太陽が だらだらと寝る羊を浮かび上がらせた朝 どれほど長い影が西の山まで伸びたことか まだ薄暗いもやの中に 耳の敏い犬は 猛然と走るバイクを見つけました

        おばけに寄せる心(エッセー)

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        • 1本

        記事

          Үхнэ

          Би үхнэ Үхнэ Зогсоосон ч амжихгүй шүү Үхэх юм Санаа зовоод ч амжихгүй шүү Яасан ч үхэх юм Үхэх юм Амьдарч байгаа учираас Амьдарна гэдэг чинь үхэнэ гэсэн үг учираас Би үхнэ Өнөөдөрийн амьдралыг залгах гэж Өчигдөр байсан гэж үү Мар

          死にます

          私死にます。 死ぬんです。 止めても無駄です。 死にますから。 心配しても無駄です。 どうせ死にますから。 死ぬんです、 生きていますから。 生きるというのは、 死ぬということですから 私は死にます。 今日の暮らしを繋ぐために 昨日がありましたか? 明日の為に 今日を生きますか? そうしたら、 死ぬ日の為に 今日はありますか? 未来の死を思って 今日悲しまないなら、 明日死が訪れても 悲しまないはずです。 木々が緑に濡れる今頃 生まれたのは 死を喜ぶためでも 悲しむため

          死にます

          今日は誕生日なので、自分の為に詩を書きました。

          今日は誕生日なので、自分の為に詩を書きました。

          改訂版

          уйлуулчихлаа шдээ Өнөөдөр нэгэн лам дээр очив. Өнөөдөр бас л ойчиртой. Өчигдөр миний найз бид хоёр шүтээнээ тахиулах гээд тэр ламд үлдээсэн юм. Тэгээд өнөөдөр тэр шүтээнээ авах ёстой байлаа. Миний найз саяхан 45 хүрсэн, мууртайгаа 2 улах

          モンゴル語で書いた短編「泣かしちゃったじゃないの」アップしました。そのうち日本語にします。

          モンゴル語で書いた短編「泣かしちゃったじゃないの」アップしました。そのうち日本語にします。

          Уйлуулчихлаа шдээ

          Өнөөдөр нэгэн лам дээр очив. Өчигдөрминий найз бид шүтээнээ тахиулах гээд тэр ламд үлдээсэн юм. Тэгээд өнөөдөр тэршүтээнээ авах ёстой байлаа. Миний найз саяхан 45 хүрсэн, мууртайгаа 2 улааамьдардаг. Ойр ойрхон тэр цагаан муур нь өвдөөд мини

          Уйлуулчихлаа шдээ

          花のような

           ああ、そうですか。あなたが?その匂いに気付いたとは・・・。素晴らしい。誰もがその匂いに気付くとは限らないのです。今までの功徳にも依ります。何よりも縁と言うものがあるのです。大師様は偉大です。大師様の匂いは御自身の戒の厳守と修行の果以外の何ものでも無いのです。それは、偏在するとはいえ、いつでも誰にでも感じられるものでもないのです。現に貴方も、再び大師様をお参りされて御覧なさい。次には恐らく障碍が生じてそれを感じられないでしょう。実際今日あなたは大師様からこのような匂いを頂ける

          花のような

          苺 第三章、第四章

          絨毯のような緑の濃淡は、その中へと進むと鬱蒼と道路を覆った。正午を過ぎようとしていた。義姉は用意してきた弁当を私に開かせて、始終窓の外を眺めて沈黙を貫いている男にも勧めた。男は声と息の間の音を出して断った。この若者が、『妻』では無い誰かと一緒か、一人だったら、この熨して来るような疲れは無かっただろう。そうだとしたら、義姉は苺狩りを諦めただろうか? この男が免許を持っていたとしたら、兄は途中で警察を呼んだだろうか? 『妻』は、もし義姉と知り合いでなかったとしたらもっと強く我

          苺 第三章、第四章

          苺 第二章

          車はいつしか人気のない道を走った。草原はなだらかに広がり、所々に雲が大きな影を造った。遠くに見えていた山々はいつの間にか視界から消えていた。ゆるかった登り坂が徐々に角度を急にして、向こう側の景色が見え始めた。遠くにあった山は深い森に覆われた稜線を所々に現した。ようやく車が峠を登り切るか、という時だった。対向車線を大きなトラックが通り過ぎようとした。そのトラックの後ろから何か影のような物が飛び出してきたと同時に「ドンッ」という重い音が聞こえた。次の瞬間、私の身体は後部座席の床に

          苺 第二章

          小説第一章あげました。誤字脱字あるかと思うけど、おいおい直します。

          小説第一章あげました。誤字脱字あるかと思うけど、おいおい直します。

          「いちごをつみに、い、き、ま、しょう」 義姉がスピーカーから流れるピアノ曲に合わせて自作の歌詞を歌っている。彼女が頭を預けているヘッドレストの裏にある小さな液晶画面には車内に流れる音楽とは全く関係ない映画が流れていた。中世ヨーロッパの衣装を着けた男女が入り乱れる。―こういう映画は沢山あるな―と、私は思った。「貴人」の喜怒哀楽、悲喜交々を描いた映画だ。テレビを点けるとよくやっている。私は普段から映画を見ないので端から理解するのを諦めていた。とはいえ、液晶の消し方も分からない。