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日本でも食べたい!モロッコの熟成肉オムレツ

海外に行って一番楽しみなのが、現地の市場を見ることだ。モロッコでも、市場に行くのを楽しみにしていた。

中でも印象的だったのが古都フェズの市場だ。石畳みの迷路のような道、あたりまえのように荷物を運んでいるラバ(ロバてウマの混種)、数時間おきに聞こえてくるコーランの放送、ジェラバという民族衣装を纏う人。まるで中世の時代にタイムスリップしたような不思議な感覚になる場所だ。

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市場には、ラクダの頭、生きたままの鶏、てかてかした内臓のお店、香ばしいパンの共同窯、もりもりに積まれたフレッシュハーブ、個性豊かな専門店ばかりで見ていて飽きない。そんな市場でみかける、ある不思議な食べものが気になった。黄色いバターのような中に肉の塊のような物が練り込まれている。なんだろう?

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「これはクリア(Khlia)という、生肉を脂につけこんだ物で、モロッコ人は大好き。朝ごはんで、卵と一緒にオムレツみたいにして食べると最高に美味しいよ」とモロッコ人のガイドさん。ガイドブックではあまり見かけたことがない謎の食べ物、そして地元では家庭の味として愛されてよく食されているというのだから、怪しい見た目におののきながらも、一口食べてみたいと思った。

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クリアは羊、牛肉などの肉にハーブと混ぜ込んでから乾かし、脂に漬け込んで寝かせた物。砂漠の国モロッコの伝統的な保存食で、以前は冷蔵庫がない時に誕生したもので、常温でもお肉が1年は持つという。熱は入っていないので、コンフィとも違う。また、まわりの脂も肉の旨味が溶け込んでいて、バター以上に美味しいのだとか。

思いがけず、食べることができたのはシンガポール資本であの紅茶が有名なTWCのコーヒー版のカフェDar El Bachaメニューの中に、クリアのオムレツがあった。これは、食べておかなくては!同行者みんな同じオムレツをオーダーした。そこは高級コーヒー店、思っていたモロッコスタイルではないが、クリアは食べることができた。フワフワのオムレツの中に、小さく刻まれてまばらに入っている。

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「ベーコンのような風味でクセになりそう」一口食べてそう思った。コーンビーフのような見ためでもあるけど、噛めば噛むほど味わい深い。あ〜、ここでしか食べられない味。しっかりとかみしめながら味わって食べた。

実は、日本に帰国してから、モロッコで食べたクリアが恋しくなって、コーンビーフを代用してオムレツをつくってみた。何かが足りない。程よい塩気、食感、臭みのなさ、旨味など。クリアは容器に入っているとはいえ、肉は検疫というハードルがあり日本では入手困難だ。いつか、輸入が可能になったら日本でも話題になるだろうと思う。

でも、それまで待てないから、またモロッコへ行く予感がしている。まだあまり知られていない魅惑のクリアの味を求めて。





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