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親が、我が子を傷つけるかもしれないということ

私はもともと、子どもが好きです。
よその子どもと遊ぶのも好きだし、かわいいな~と思っていたのですが、噂にたがわず、我が子となるともっともっともーっとかわいくて…。
近頃は私の声や表情に反応して笑顔をみせるようになったので、そんな姿を見ているとより愛おしさが増します。変顔のやりがいがあるってもんです。

ところが。
そんなかわいくて仕方がない息子に、イライラしてしまう日があります。
泣いて泣いて、どうしようもないときや、ようやく寝ついてくれたかなと思ったら、またパッと目を覚まして泣いて…が延々続くとき。おしゃぶりを吸っていれば大人しいのに、うまく吸えず口から繰り返し吐き出してしまうとき。
仕事のあと、一日の疲れもたまり眠気も襲ってきている深夜に大きな声で泣き続けられると、どうしても段々気が立ってきてしまうのです。

つい「なんでやねん…!」「はよ寝てくれ」と声を漏らしてしまったり、やがては抱き方や動きも乱雑になってしまっていたりして。恐らくイライラが赤ちゃんに伝わっているんでしょう。こんなときは大体負のスパイラル。ますます寝なくなっていくだけです。
くたくたになりながら寝かしつけた後、冷静な自分を取り戻し、息子の天使のような寝顔を見ていると、さっきまでの行動が本当に情けなくなります。ごめんな、と半泣きになりながら頭を撫でた夜が、これまで何度かありました。


イライラが生む、自分じゃない自分

赤ちゃんが泣くのは、仕方のないこと。
頭では判っているし、そのこと自体は受け入れているのに、それでもイライラしてしまうのは何なのでしょう。
私はこれまで虐待のニュースを見るたびに、「どうして可愛い子どもにこんなことしてしまうんだ」と、怒りを覚えることしかありませんでした。手を出す親は、なんて最悪な奴なんだと思っていました。
もちろん虐待は絶対にいけないことだと思います。ただ、子をもったいま思うのは「虐待はどんな親にも起こり得る」ことを理解することが大事なのではないかということです。ふとした拍子に、子どもを傷つけてしまうリスクが自分に絶対にないとは言い切れないなと思うようになったのです。

子どもがどうしても泣きやまず、ほとほと疲れて途方に暮れてしまったとき、「子どもがかわいい、愛おしい」と思う自分とは少し違う人格がむくりと湧いてくるのを感じて、後から恐ろしくなります。こんなにも愛する我が子を、ひと時ぞんざいに扱いかけている、自分じゃない自分のような人格。
その人格が抑えきれなくなって、暴力という一線を越えるかどうかの違いだけであって、自分の本位でないままに我が子に手を出してしまったり、冷静になれないまま悲しい結果へと突き進んでしまっていたりといった例が、きっとこれまでにもいくつもあったのではないかと感じるようになりました。また、暴力に至らないまでも、そうした状況下では子どもと接する際の注意力も散漫になって、思わぬ怪我に繋がりかねないという心配があります。

イライラしてしまうときというのは、大体の場合もともと心に余裕がないものです。例えば、時間に追われているとき。「明日仕事で早いから、自分も早く眠りたいのに寝てくれない」「やらなければならないことがあるのに、ただただ時間ばかりが過ぎていく」。そうした焦りが、ストレスに繋がっていきます。あと眠いときもそう。結局は自分の都合じゃないか、って感じですが、まぁ親も人間だししょうがない。余裕があるときは、とことん付き合うぞーって気持ちで臨めるんですけどね。

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「コロナ疲れ」で高まる虐待へのリスク

新型コロナウイルスの影響で自粛自粛の生活が続きます。思うままに行動できない不自由さ、感染しないようにと常に臨戦態勢の心、先の見通せない不安。少なからずそのストレスは私たちの中に蓄積されていて、やり場に困っている状況です。
海外では、そんな環境ゆえに、DVや虐待が増加しているという報告も出てきました。日本でもそのリスクは、この先高まる一方だと思います。ウイルスの直接の脅威から子どもを守るということはもちろんですが、いわゆる"二次被害"で傷ついてしまう子どもが出ないように、親に対する体制的なケアが必要だと感じます。

そして何より、親自身が自分のストレスに、疲れに、自覚的になることが大事。私は、自分の心や体のコンディションが悪いときは、無理して子どもに関わるべきではないなと感じています。どうしても自分が世話をしなくてはいけないという場面では仕方がありませんが、夫婦でバトンタッチできるなら、できる範囲でそうする。
あと、「自分、イライラしてるわ」って気付いたら、子どもが泣いていても安全な場所に置いてしばらく離れること。これは厚生労働省の「赤ちゃんが泣きやまない」という題の資料にも書いてありました(本気で子どもの「泣き」に悩んでいたころに、検索して発見したものです苦笑 「泣かれてイライラしても、当然のことです」という言葉に、救われた気持ちになりました)。心を立て直してからもう一度向き合うと、色々うまくいくことが多いなぁと実感しています。

人を守らないといけないこんなときだからこそ、緊張状態でいる自分を積極的に労わってやる。あんまり情報をとりすぎるのもしんどいなぁ、と思っていて、そんなときは"変わらない日常"の方にしばらく意識を向けてみるようにしています。朝のゴミ出しで外に出たとき、青空が気持ちいいなぁって一瞬感じるだけでも少し心が和らいだり。そういう小さな心の解放をこまめにやりながら、余裕をもって子どもと接していきたいものです。


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